ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

原因において自由な行為

2006年08月06日 23時58分38秒 | 刑法
原因において自由な行為について

平成13年度の問題で甲だけの罪責について。

「甲は,酒癖が悪く,酔うと是非善悪の判断力を失い妻乙や二人の間の子供Aに暴行を加えることを繰り返しており,そのことを自覚していた。甲は,ある日,酒を飲み始めたところ,3歳になるAが台所で茶わんを過って割ってしまったことを見とがめ,Aの顔を平手でたたくなどのせっかんを始めた。甲は,しばらく酒を飲みながら同様のせっかんを続けていたところ,それまで泣くだけであったAが反抗的なことを言ったことに逆上し,バットを持ち出してAの足を殴打し重傷を負わせた。甲は,Aが更に反抗したため,死んでも構わないと思いつつAの頭部をバットで強打し死亡させた。乙は,その間の一部始終を見ていたが,日ごろAが乙にも反抗的態度をとることもあって,甲の暴行を止めようとはしなかった。
 甲については,逆上しバットを持ち出す時点以降は是非善悪の判断力が著しく減退していたとして,甲の罪責を論ぜよ。」


勘違い
私がこの問題で勘違いしていたのは、故意と原因設定行為の離れです。

甲は、バットを持ち出して、Aの頭部をバットで強打しており、実行行為あり。そしてAが死亡で結果発生あり。さらに死んでも構わないとの未必の故意あり。
しかし、心神耗弱状態であった。

原因において自由な行為で、行為と責任の同時存在の原則を修正する自説では、
原因設定行為時に責任能力があれば、結果行為時に責任能力なくても結果行為は、原因行為時の決定に従った過程であるため、責任を問えるとするもの。

勘違いの部分
責任能力あるときの故意はせっかんのみで傷害の故意。
殺意を抱き、実行行為時は責任能力減衰
↓すなわち
原因設定行為時
 傷害の実行行為、傷害の故意、責任能力あり
結果行為時
 殺人の実行行為、殺人の故意、責任能力減衰
となり、あれれ、故意はいつの時点で必要なのかと思ったのです。

つまり、責任能力ある時に故意がなくてはならないのではないか?と。責任能力減衰時に故意を抱いても良いのか?と。

しかし、これは勘違いでした。

殺人の実行行為あり、殺人の故意あり、結果あり、因果関係あり。
でも、責任能力減衰だから原因において自由な行為の理論を持ち出す。
構成要件の評価は終わっているので、再度持ち出してはならないってことです。

しっかり勉強せねば!