民法の不当利得は混乱が生じやすいです。
H23年でも出された、転用物訴権もあります。
要件
①他人の財産又は労務によって利益を受けたこと
②他人に損失を及ぼしたこと
③①と②に因果関係があること
④法律上の原因がないこと
①は利得
②は損失
③は社会観念上の因果関係があればよく、詳細は④と合わせて検討すべき問題。
④は、転用物訴権について以下のように判例が触れています。
事案
丙の所有する建物を賃借した乙からの注文により請負人の甲が建物を修繕した
判旨
『建物の所有者丙が法律上の原因なくして…修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、丙と乙との間の賃貸借契約を全体としてみて、丙が対価関係無しに右利益を受けたときに限られるものと解するのが相当である。けだし、丙が乙との間の賃貸借契約において何らかの形で右利益に相当する出捐ないし負担をしたときは、丙の受けた右利益は法律上の原因に基づくものというべきであり、甲が丙に対して右利益につき不当利得としてその返還を請求することができるとするのは、丙に二重の負担を強いる結果となるからである。』
二重の負担を強いる結果となるというのはキーワードですね。
対価を支払ったのに、さらに返還請求されるのは不当だということです。
これより前のブルドーザー事件では、直接の因果関係が必要としていました、この判例は対価関係の有無で判断しています。
このようにしてみると、因果関係の問題と法律上の原因の有無の問題はセットのように見えますね。