Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

ふところの深いアメリカのリトルリーグ

2008-05-16 | リトルリーグ
今日の下の息子のリトルリーグの試合で、またまたアメリカ人のふところの深さに脱帽した。息子は、先週花粉症からくるひどい咳で、2試合欠席、今週は、スタマック・フルーの可能性で、学校もまた休みとまったく練習不足の状態。病気のため、体力も落ちている中、やっと今日体調がもどってきた。だが、今日は、きき腕の右肩が痛くて、ボールがうまく投げれない。恐ろしくついていない息子。こんなに悪いことが続くのもめずらしい。

しかし、息子は痛いのを我慢しながら、どうしても「試合でプレーしたい。」という。よっぽど試合をするのが面白いのだろう。私としては、無理して肩を痛めたりしたら大変と心配しながら監督のアルに聞くと、「やりたいのなら、やらせてみよう!」とまったくの太っ腹。普通の監督なら、肩を抑えながら、プレーしている子供を見たら、試合にださせないだろう。他のコーチたちも心配して私に聞くが、「アルが許可した。」と言うと、ふんふんとうなずいている。ボスであるアルの決定には、みんなハハーッとばかり従う。

息子のチーム、インディアンズは、ピッチャー以外は、みんな内野と外野を半分半分づつ公平に守備を回す。肩の痛い息子にボールが来ないように祈る。幸いほとんどボールが飛んでこなかったので、ほっとする。

しかし、バッティングの方は、肩の力が入らず、2三振をくらう。コーチたちも息子本来のバッティングができていないのを練習の時からすぐに見抜いていた。あーあ、これじゃあ、いくら頑張ってもバッティングも今日はうまくいかないなあ・・・と私もがっくりきていると・・・

相手は、なかなか強豪のカブスだが、2対2の同点で、最終回。2アウト満塁、1打サヨナラの最重要場面。なんと息子に打順が回ってきた。普通なら、あの肩をかばっているバッティングで、打てそうにまったく見えないから、あきらめるだろう。私は、祈るのみ!しかし、ここでインディアンズの親たちは、「タ~カ! タ~カ!」(息子のニックネーム)コールを大勢でし始めたのだ。すごい盛り上がりようだ。あんな状態でもみんな息子のことを信じてくれているのだ。この間、ゲームボールをもらったときの、息子の「どうしても塁にでたい。」という気持ちからヒットを打ったときのことも覚えてくれているのかと思ってしまうほど。

息子は、落ち着いてフォアボールを選ぶ。このリーグは、子供たちがピッチャーをしていて、フォアボールが出た場合は、攻撃側のコーチが投げる。カウントの残りの分コーチが投げる。アルが打ちやすい球を投げる。息子は打った!またまた、一瞬すごい盛り上がり。しかし、内野ゴロで、本塁に突入した選手がアウトで、ゲームセット。タイゲームとなった。しかし、みんなコーチたちが、「よく打った!いいヒットだった!」と口々にほめてくれた。試合後のミーティングでも、アルが「肩が痛いのに、最後よく打った。」と言ってくれた。

アメリカのリトルリーグは、どんな子にも平等にチャンスが与えられ、そのチャンスを生かそうと努力する子供たちの姿をみんな応援する。みんなでそれぞれの子供たちを育てていこうとする。決して、不得手な部分を徹底的につこうとはしない。いい所をのばしていく。日本の子供たちのように、ファンダメンタルを徹底的に教えられないけど、こんな風に楽しく野球を学んだ少年たちは、きっと一生野球を好きになって、末永く続けていくんだろうなあと思う。息子は、野球技術のあるアメリカ人の中では、決してうまく見えないけど、試合をしながら、野球をますます好きになっているようで、私も毎試合毎試合楽しみになってきた。