Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

公立小学校の英会話講師デビュー!~初日、ベテランALT(外国人講師)にいろいろ教えてもらう

2009-04-15 | 日本の教育一般
昨日は、いよいよさいたま市立の小学校の英会話の講師(JAT)の仕事始め。マニュアルに沿って、一緒の小学校に勤務しているJATの作られたレッスンプランをもとに、自分なりに頭の中で組み立ててみる。

前日、今年3年目になるそのベテランJAT、ユウコ先生の5年生の授業を見学させてもらう。5年生も私が担当する6年生も第1回の授業の内容が同じなため、授業の流れを参考にさせてもらう。ユウコ先生は、かなりエネジティックな雰囲気で、体全身を使って、子供たちをぐいぐい引き込んでいく。民間でも長く教えているベテラン英語講師なので、こういうのはお手の物なのだろう。目がきらきらしていて、若々しくて、いかにも英会話講師って雰囲気だ。冒頭で歌う「Hello Song」などもすごい迫力。ウーン、私にはまねができない。いいなあ、自分の教えるカラーがはっきりしていて。こんな面白い授業なら、子供たちも英語が大好きになるだろう。英会話講師というのもなかなか奥が深そうだ。いやいや、こんなに感心している場合ではない。

さて、昨日は初日のせいかあまりよく眠れず、寝不足の頭で、ALTとの打ち合わせのため、授業の1時間前に学校に到着。この日は、6年生3クラス担当。私と一緒に教えるALTのオスカーは、ユウコ先生と話している。ALTは、小学校勤務の日は、朝1時間目から来て、4時過ぎまで1日学校にいなければならない。

オスカーは、ボリビア人で、英語とスペインを両方操り、日本語もかなりわかるという頭の良さそうな落ち着いた感じの20代の若者。17歳ぐらいにボリビアを出て、アメリカのユタ州の大学を卒業し、コンピュータ関係の仕事について、4年前に日本にきたという。奥さんは日本人なので、去年生まれた赤ちゃんは、「将来3ヶ国語をしゃべるようになるだろう」と言う。ALTは、3年目で、中学生しか教えたことがなく、小学生を教えるのは初めてだという。

さっと、打ち合わせをして、あっという間に最初のクラス、6年1組へ。ここは、主任の先生のクラスなので、まとまっていることを期待。まず、先生が英会話のクラスのルールなどの説明している間、廊下で私たちは待機。ハローと挨拶しながら、教室に入って、自己紹介。せっかくなので、シカゴの生活などにもふれる。簡単な英語を使って説明する。世界地図で、シカゴの位置を確認。アメリカのシカゴといっても、知っている子は、どのクラスもあまりいなかった。シカゴって有名なようで、そうでもないのだと納得する。シカゴの摩天楼の写真、とくに全米一高いシアーズタワー、メジャーリーグのチーム、カブスやホワイトソックスの写真やキャップなども見せる。このとき、「シカゴのメジャーリーグのチーム名は何?」という英語の質問には、さすがに「カブス」や「ホワイトソックス」とチーム名を答える野球好きな男の子もいた。よっしゃ、それでいい!と叫びたくなるほど。「(カブスには)福留がいる!」と指摘する男の子もいたので、ますますうれしい!シカゴにいる友達、トリヤマさんからいただいた福留選手の大きな写真パネルを見せて、「福留はWBCでプレーしたね!」と強調。みんな英語でもしっかりわかったようだ。

ついでに、オバマ大統領の写真を見せると、「オバ~マ!」と口々に。「彼はシカゴの出身」だと指摘。これは受けたね。最後のクラスなんて、「Oh, Obama! Yes, we can!」と言う子もいて、若い担任の男の先生ものって、「 Change!」と合いの手を入れてくれる。しかし、私の話がどのくらいわかってもらえたのか?2組の若いアメリカ留学経験のある英語がしゃべれる先生だけは、しっかり通訳をしてくれたのだが・・・他の2人はほとんど、通訳なし。どこで日本語を入れるか先生たちも判断に迷うだろう。6年生なので、少しは知的な要素を入れようと努力はしてみたが・・・どの程度まで英語が理解できるのを判断するのは、かなりむつかしい。うちの2人の息子の年齢も言ったのだが、わかってくれたような子供もいるが、「私の年齢ではないか」というとんでもない勘違いしているような子供たちもいる。ときどき、「(担任の)先生、英語わかっているの?」などとちゃちゃを入れる子もいる。年配の主任の先生は、英語の授業を経験しているだけあって、教室に響き渡る大きな声で、英語をクリアに発音している。「ウーン、素晴らしい!」と心の中でひそかに感心する。

さて、みんなの注目の外人講師、オスカーの番だ。オスカーは、自分の祖国、ボリビアのことをまず説明する。地図で南米に位置するボリビアをみんな発見。私も初めて、その場所を知る。子供たちとともに異文化体験だ。スペイン語で、挨拶も練習。「オラ」というのを言うと、なぜか「(クレヨン)しんちゃんだ!」という反応の子供数人。(しんちゃんは、自分のことを「おらは・・・」というからだ。)オスカーは、「魚を食べない!」ときっぱり。子供たちはびっくりしている。魚がボリビアは捕れない。「どうしてだろう?」とオスカーが聞く。みんな考え込む。「内陸だからだ!」小さな声で鋭い発言をする子。オスカーの説明も同じ。周りは陸に囲まれて、山岳地や高原地も多い。

オスカーが持ってきたボリビアの写真をみんなで見る。オスカーの18歳の妹が美しい。石でできた遺跡や民族衣装のボリビア人など、子供たちは目を輝かして見ている。ウーン、これぞ、まさに異文化体験の授業だ。

オスカーがみんなに質問があるという。「僕はいくつだと思う?」「34」「26」「21」「31」などさまざまな予想がでる。中には40代もでてきて、「おいおい、オスカーに失礼だろ!」オスカーがみんなに手を挙げさせて、その年齢を問う。結局若い26歳が当たり!21歳と思った子供たちには、「サンキュウ!」とうれしそうだ。

自己紹介の後は、ウオーミング・アップとして、「Hello Song」のCDをかけて、簡単な振り付けをしながら歌う。慣れていないので、私はちょっと気恥ずかしい。前日、上の息子に、音楽を歌いながらふりを見せたら、「やめとけ!いい年をしたおばさんが6年生にそれをやるのは、恥ずかしい!絶対やらないほうがいい!」とくぎをさされる。しかし、やってみると、みんなのふりが、クラスによってさまざだった。オスカーも一緒にやってくれる。一斉に振り付けをしながら、歌うクラス。恥ずかしそうに少しだけ手を動かすクラスとさまざまだ。しかし、思ったよりもやってくれる。6年生ぐらいになると、誰もやらないかと思いきや、やってくれる子供もいるんだなあ!と感心する。

そして、おはじきじゃんけんゲーム。オスカーのアイディアで、「じゃんけんゲームをやろう、オスカー」と私が言うと、オスカーはわざとわからないふりをする。「ウーン、どうしよう・・・」と私が子供たちにふると、しばらくして、小さな声の英語でゆっくり「Rock...scissros...paper」と教えてくれる。

ゲームをやる前に一応じゃんけんの練習。思い切って、シカゴで使っていたじゃんけんのやり方を教える。「Rock, paper, scissors, shoot!」じゃんけんは、日本と同じように、アメリカでもいろんな言い方があるのだ。シカゴでは、この言い方が多かった。前もって、下の息子の家庭教師、若いアメリカ人のサラにもスカイプで話したときに確認すると、いろんな言い方があるが、最近はこの言い方をいつも使っているとのこと。さいたま市のマニュアルには、「Rock, scissors, paper, go」かgoの代わりに 1,2,3と書かれているため、この学校でもそう教えていたようだ。迷ったが、打ち合わせのとき、先生とも相談して、「新しい表現もやろう!」ということになって、思い切って、新しい表現を教える。「shoot」という単語が子供たちはわからなかったが、手振りで教えると、すぐにみんな慣れたよう。

オスカーと私で、デモンストレーションを見せる。2つの 木のチップを持って、向かい合って、「Hello! My name is Oscar. 」「Hello! My name is Kuni. Nice to meet you! 」「Nice to meet you, too」握手しながら、挨拶をし、じゃんけん。じゃんけんで負けたほうが、チップを渡す。チップがなくなったら、先生の所に行って、「Chip, please. 」「Here you are. 」「Thank you.」こんな簡単なやりとり。一斉にみんなやりだす。私も参加する。久し振りに子供たちと思い切りじゃんけんをして、楽しんじゃう。子供たちも結構楽しそうに英語を使って、チップをもらいあっている。6年生でもこんなシンプルなゲームも楽しめるのか・・・みんな座って、もらったチップの数を競って、ゲームの最後はチャンピオンを決めた。

そして、時間があるので、グループ・メイキング・ゲーム。これもデモンストレーションを見せる。超単純なゲーム。「Please make groups of 5!」と私たち先生が好きな数を言って、子供たちがその数のグループを作り、できたら座る。人数が少ないチームに大急ぎで私たちも加わる。できるだけ、男女交えてグループを作ることが大事と強調。これまた、なぜか盛り上がって、楽しい。本当に単純なゲームでOKなんだと感心。よかった。そりゃそうだ、むずかしい英語で説明してもわかるわけない。これでいいのだ。

そろそろ終わりの時間が近づく。1コマ45分とはいえ、結構盛りだくさんだったような気がする。オスカーのおかげで、子供たちも充実した時間を過ごしたのではないか。最後は、3人の先生が簡単に授業の感想を言う。オスカーは「とてもいい生徒たちだ!」とほめている。さすがだ。「私は、今日とても楽しんだ。来週もあそんでね!」と簡単に締めくくった。

終わりは、「Good bye Song」のCDを流しながら、子供たち1人1人とハイタッチをした。恥ずかしそうにする子もいれば、元気よくハイタッチをする子もいて、なかなか面白い。よかった、初日はオスカーのおかげで、無事に終わった。オスカーのことを大好きになった男の子たちもいて、まるで自分たちのヒーローのように「オスカー、サインして!」と無邪気に叫んでいる。やっぱり、この年齢は男の子の方が子供っぽい。

オスカーの話では、指示やゲームが子供たちにうけないようだとわかると、すぐに他のことにスイッチするのがこつらしい。だから、「常に、一つ多めに予備のゲームを用意しておくこと」とアドバイスをくれた。また、子供たちがいやなことを言ったら、適当にあしらうこと。むきになって相手をすると、ますます子供たちはそれを持ち出すらしい。ALTの仲間で、まともにそれを受けてしまい、いやになってやめた人がいたということだ。なるほどね。やはり、日本で数年教えているオスカーは子供たちのことをよく理解している。勉強になったわ!さあ、いよいよ次の日は、ALTなしの私1人での授業だ。~この項続く。



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4 コメント

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いよいよですね (yooo-shi)
2009-04-16 22:18:51
盛りだくさんの45分でしたね。子供たちの理解度がわからないので、はじめは苦労しそう。小学生は慣れることが目的みたいなので、楽しみながら頑張ってくださいね。
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Unknown (kuni)
2009-04-16 22:33:29
yooo-shi、励ましのコメントをありがとう!今日は1人でやりましたが、子供たちにわからせるコツが少しわかりました。これって、教える側も慣れですね。また、授業の様子を投稿しますので、ぜひ読んでください。
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見つけちゃいましたっ (ポポ)
2009-04-17 16:19:04
いい方にバトンタッチできて、救われました。ありがとうございます。

あの子たちは去年一年間も、英会話の時間を上手に楽しんでくれていました。その笑顔が、また今年もさらにバージョンアップしてくれそうで、嬉しいです。

末長くよろしくお願いします。
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Unknown (kuni)
2009-04-17 21:27:48
ポポさん、訪問いただき、ありがとう!ウーン、実は超ベテランのポポさんのあとを引き継ぐってことで、かなりのプレッシャーなんですよ。でも、子供たちかわいいですね。こんな気持ちになれたのは、久し振りかも。ポポさんも次のお仕事がんばってくださ~い!
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