舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

ベリーダンスの「小道具」

2008-06-11 01:39:37 | ダンス話&スタジオM
今日はベリーダンスの小道具の話です。
小道具といっても画像のようなヴェールとかソードとかジル(フィンガーシンバル)のことではありません。
それらを使わないときでも、ベリーダンスには常時必ず用いられる「小道具」があり、それらを使いこなすことがとても重要です。


ひとつめの小道具は髪の毛です。
イスラーム世界の女性たちが注意深く髪を隠しているのを見ればわかるとおり、かの地において髪の毛は女性の官能を象徴しています。
ベリーダンスで髪が重要な小道具としての役割を果たしているのはそのためですね。

したがって、なべて魅力的なベリーダンサーは髪の使い方も優れています。
髪を使うといってもその方法は十人十色で、最もオーソドックスに官能的にかきあげる仕草が美しい人もいれば、装飾品の一つのように髪の毛の軌跡を計算して効果的に揺らすダンサーもいます。

本当は髪の毛はベリーダンスのみならずすべてのダンスにおいて重要な小道具なんですけどね。
頭を揺らしてはいけないフラでさえ、アップにせず下ろしている場合は髪の毛の使い方も隠れた技術の一つです(あくまでも「隠れた」であって、表立って使い過ぎてはイケマセンぞ)。

フラを踊る時に髪をただモサモサと長~く後ろに垂らしているだけでは、ただの汚らしい邪魔物になってしまいます。
これは決して悪い冗談ではありません。特に髪が必要以上に長い場合、踊りで髪の流れを計算に入れず、なおかつ悪い姿勢で踊ったりなどしようものなら、おろした髪はさらに姿勢を悪く見せる困った効果を発揮してしまうのです。

ましてや髪が演出に与える影響がさらに大きなベリーダンスであればなおさらです。
第一に、ターバンを巻いたりポニーテイルにしたりせずにロングヘアをおろす場合はとりわけ、必ずつねに良い姿勢を心掛けることが重要だと私は思います。
そうしないと首や肩近辺が髪の毛に埋もれ、とても姿勢が悪く見えてしまいます。

第二に、相応しい髪の使い方は人それぞれです。
長さにもカットの仕方(ワンレングスなのか段が入っているのか)にも違いが出るし、ウェーブのかかり具合、もちろんどこも縛らないか一部だけまとめるかによっても髪の使い方は違ってきます。

私自身についていえば、普段はストレートのロングヘアですが舞台の時はたいていウェーブをかけますので、練習と本番とでも髪の使い方が変わってきます。
非常に微妙なウェーブのつき加減によっても髪の流れ方が変わるため、最終的には自分の経験から鑑みてぶっつけ本番で臨機応変に対応するしかありません。
誰か髪の使い方の上手いベリーダンサーがいると思っても、そっくりそのまま真似することはできないので注意が必要です。

逆に、自分がやりやすいように髪を使えるヘアスタイルを模索するのも一つの方法です。
私は研究を続けるうちにどんどん髪が短くなり、20年以上フラをやっている人間にはそぐわない長さになりました(笑)。ハワイ語仲間の方にも驚かれましたよ。
ただ私は前から言っているとおり長過ぎる髪は必ずしも美しくないと思っているので、長さがたっぷりしていることよりも「小道具」として最適な長さであることの方がずっと重要なのです。


で、ベリーダンスのもうひとつの小道具といえばスカートです。
ベリーダンスの衣装は、文字どおりの小道具であるジプシースカートではなくとも、フレアスカートやタイトスカート、マーメイドライン、果てはほとんどフンドシみたいな代物(品があるとは言い難いので私は好きではないが)まで、ほとんどがスカートであるといえます。
ハーレムパンツもベリーダンスっぽいアイテムではありますが、スカートのアンダーとして使うのでなければ、実際に舞台で使うことは案外少ないですね。

それなのになぜか日本のベリーダンサーはパンツで練習する人が多いです。
てか、なんだかほぼ全員パンツみたいなんだな。すごい人はスパッツとか。

これはいったいなぜなんでしょう。先生がレッスンウェアはパンツをはけと命じているのでしょうか。
もしそうでないのなら、私はスカートで練習することを断固としてお勧めします。

パンツの利点は脚の動きが分りやすいことだと思います。
確かに教える立場の人間ならパンツの方が生徒さんに親切でしょう。
しかし、ベリーダンスによく用いられる比較的タイトなスカートであれば、脚の動きはだいたい見えます。
そんなパンツでなければ見えないほどの脚の動きのディテールにこだわることより、スカートを小道具として使う踊り方に慣れることのほうが、美しいダンサーになるためには遥かに大切です。

うちの生徒さんには日常生活からすでに「パンツは絶対穿かない」という方がけっこう多いです。
ほんとのことをいえば、ベリーダンスやフラのようなフェミニンな踊りを踊る人なら、普段からスカートをはいた際のエレガントな動作に慣れることができれば理想的です。

しかし実際には普段はパンツばかりでスカートなんてはかないわ、という方も多いことでしょう。
それでも衣装のほとんどがスカートである以上、せめてレッスンのときだけはスカートをはくべきだと私は思います。
自分の脚の動きを確かめたければ、スカートとパンツを併用するのも一つの手です。
ただ「スカートをはくのはステージだけ」って状態はきょくりょく避けましょう。
そういうダンサーのスカートさばきはどうしてもエレガントさに欠けるきらいがあります。
というのは、パンツで練習してると「これはエレガントじゃないよ」って動きをしていても気づかないからなのです。


美しい踊りを追求しようとすると、どうしても手や腰の目立った動作に目がいきがちですが、これらの「小道具だと認識すらされていない小道具」をどのように使いこなすかが、じつはエレガントで官能的な踊りの鍵を握っているのです。

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