舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

「通の眼」養成講座

2008-06-22 02:21:24 | ダンス話&スタジオM
敬愛するオタクの師匠・岡田斗司夫さん(今やダイエット本で一般の方にも有名ですね)の受け売りではありますが、歌舞伎も落語も特撮映画も見る側の専門知識や美的感覚を必要とする高度なたしなみです。
見る目を持つ観客が少なくなれば真に価値のある作品が正しい評価を受けなくなり、遠からずそのジャンル自体が廃れてしまいます。

これはダンスも同じこと。フラにせよベリーダンスにせよ、たんなる運動ではなく文化性と芸術性を兼ね備えたダンスであり、美しく踊るにはもちろん、ただ見るためだけにも「通の眼」が要求されるのです。

だったらうちで養成しようじゃないの、「通の眼」をッ。

「基礎を徹底する!!」との決意のもと、基礎説明用かえるさんを伴って各クラスを回っているうちに、私は振付けよりも基本ステップよりもまず生徒さんの「見る目」を養うお手伝いをすべき、と思いいたりました。

今までに増して重点的に基礎を説明し、必要に応じて個別指導も取り入れたりしていると、どのクラスにも必ず意欲の高い生徒さんがいて、そういう方の踊りは目に見えて変わります。
そういう生徒さんたちは何か出来なかったことが技術的にできるようになったわけではなく、見るべき点がはっきりと理解できた方たちなのです。

よく「ひたすら練習しつづければいつか出来る」と信じてやみくもに自主トレに走り、自己研究を重ねてしまう人がいますが、これはまったく無益なばかりでなく逆効果を及ぼしかねません。
それよりまずは「見るべき点」がどこにあるかを見極めるべきなのです。

「見るべき点」は我々がいくら口で言っても納得できるものではありません。やはり自分自身で気づくしかないのです。
例えば我々が漠然と「腰がよく揺れているとか目立つところばかりを注視しないで、動かしてはいけないところが動いてないかも見てくださいね」と言ったところで、腰の動きをマスターしようと思っている生徒さんはついつい腰にばかり意識が行きがちです。
でも、そうしているうちは残念ながら「見る目」が備わったとはいえません。
そんなとき、「具体的にどこを見るべきか」を実体験でもって気づけるようにお手伝いするのが、もっかレッスン中の我々の使命なのです。

これら理詰めの説明を聞くまでもなく見る目を備えている人というのは、日頃から質の高い演技を見ることを心掛け、しかも演技の目立つ部分だけではなく全体を見渡している人のことです。
そういう人なら、今はまだでもきちんと練習を積めば必ず美しく踊れるようになるはずです。

ところで、私は見たもの聞いたものをそっくり同じように再現するのが得手です。
学生時代にやった語学の8割がたはこの技で乗り切りました。
同じように人の踊りを見ると、振り付けがどうではなくその人の雰囲気をカメレオンのように取り込むことがかなりのところまでできるのですが、この技は諸刃の剣です。
つまり、素晴らしい演技なら私の踊りに良い影響を与えますが、美しくないダンスも自分の好むと好まざるとに関わらずうっかり呑み込んでしまいやすいのですね(笑)。

これはおそらくどんな人にもある程度はあてはまることだと思います。
つまり、美しい演技ばかりを見ていれば審美眼や自分の技術の向上に有益な一方、そうでないものを見てしまうと悪影響を及ぼされるおそれがあります。

ですから、上質の演技を見るようにつとめながら見る目を養うことは、無闇矢鱈に自主練習を繰り返すより格段の効果があるのです。

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