舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

パウスカートにご用心

2008-06-27 23:41:39 | ダンス話&スタジオM
われらがスタジオMでは、フラのレッスン時にパウスカートをはく必要はありません。
それも「持ってないんならしょうがないわね、とりあえず穿かなくていいわよ」といった消極的な許可ではありません。
むしろ「パウスカートのほかにレッスン着がないか、逆に数多のレッスン着のバリエーションのひとつとしてどうぞ」くらいのノリです(笑)。

まず最初にはっきり断っておかねばならないのは、パウスカートは必ずしも伝統的な装いではないということです。

歴史を紐解けばパウスカート自体、決してフラの誕生とともに存在していたものではありません。まして練習着としてということであれば、その歴史はかなり浅いといっていいでしょう。
なにしろ母が留学していた'70年代初頭のオアフ島・イリマフラスタジオのレッスンではパウスカートはほとんど使われていませんでした。
もちろん当時からパウを練習着にしていた教室は探せばいくらでも出てくるでしょう。しかしイリマフラスタジオが当時そうとうメジャーな教室であったことを考えれば、レッスン時にパウスカートをはかないのは特異な例外ではなさそうです。

ついでに言っておくとフラ雑誌があたかもレッスンでパウスカートをはくのが当たり前かのように取り上げているのは、広告主様=フラグッズ業者の思惑が多分に絡んでいると、私は睨んでいます。
どの業界もそうですが、メディアは必ずしも真実を正しく伝える権威ではなく、そのときどきの利害関係によっていくらでも情報を操作することを読者はつねに念頭に置かなければならないわけで、この法則はフラ雑誌にもあてはまります。
この話をしだすと記事一つ書いちゃう(あるいは酒を酌み交わしながら熱く論じてしまう←まるっきり迷惑な酔いどれ親父だ)けど、今日はパウスカートの話に戻りましょう。

うちがとりたててレッスン着にパウスカートをおすすめしないのは、イリマの伝統を守るためってわけじゃありません。
そもそもレッスン着としてパウスカートは適切なのかということを甚だ疑問視しているためです。

以前「パウスカート再考」という記事でも問題点をいくつか挙げましたが、このところ重点的に基礎練習をやっているとその問題が如実に浮き彫りになります。
一言でいうならパウスカートは大雑把に揺れてしまうということです。

もちろんプロや見る目のある人が見れば、一見大雑把なパウスカートの揺れでも見分けがつき、その人の踊り方がどうであるか判断できます。
しかしまずこれから見る目を養い、それから自分の基礎を磨いていって...という過程にある人たちから見るとその違いはあまりにも微妙すぎて「揺れている」「揺れていない」の単純な二極対立に捉えてしまいがちなのです。
つまり、「あの人はスカートがよく揺れているから上手い」「あの人は揺れないから下手」という極論に走ってしまいます。

「見る目を養う」という第0段階(第一ですらない)の時点で躓き、スカートがよく揺れる=腰をたくさん振ることに価値を見出すようになってしまったら最後、上品で優雅な踊りなど永遠に望むべくもありません。
フラのステップ=腰の揺れはとても繊細なものです。それはどんなに速い曲でも同じで、迫力だけでは見る目のある人の目を誤魔化すことはできません。

またスカートの大雑把な揺れは微妙な動きだけではなく、「動いてはいけない部分」もあやふやにしてしまう傾向があります。
多くの人に見られる現象として「腰が揺れているように見せかけるために上半身を反対方向へ逃がす」というものがありますが、スカートの揺れに気を取られていると特にこの上半身の逃げを見落としやすいです。

ならスカートがまったく揺れないボディコンシャスな服やスパッツ、タイツなどがいいかというと、必ずしもそうではありません。
これらではスカートの揺れる余韻がまったく研究できないからですね。フラは「余韻」がとても大切なので、繊細な揺れが出る素材やデザインの服装が理想的です。

これからの時代、(自分が踊れるかどうかは別として)見る目を持った人がますます増えていくと思います。
そんなときダンサーによからぬ期待をしているスケベしか喜(悦)ばせられないような踊りではチョット恥ずかしいですよね。
本物を知る人にこそ通じる確かな質を求めていきたいものです。

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