前回、980円で購入した無印の”中華イヤホン”は、典型の価格相応以下であった。事実、これと同じ奴(多分)が百均で550円で売られていたからだ。
少しショックだが、百均レヴェルのイヤホンに私はまんまと騙された訳だ。
その後、1990円で買った中華スピーカは、値段を超える大当たりだった(”今時の中華音源”も参照です)。
商品レビューは余り信じない派だが、筐体の作りがシッカリしてて、重低音をしっかりと受け止め、心地よく弾き出すから、ジャズを聴くに丁度いい。でも、これだけレビューと品質が一致する商品も珍しい。
今時、あらゆるモノがネット上に氾濫し、全てが玉石混淆の時代。何をアテにモノを買えばいいのか?
しかし、一旦ハマると墓穴を掘るのが買い物というもんだ。モノを買い漁る人種とエロ爺はよく似ている。派手にパッケージ化された売り子の魅惑的な身体に、私めは簡単に引っ掛かってしまう。
それでも、私は買い物がやめられない。
モノを作るバカがいる限り、モノを買うアホな私が存在する。逆を言えば、バカにならないとモノは買えないという事だろうか。
イヤホンはコーデックで決まる?
しかし、無線イヤホンを一度手にすると有線には戻れない。もっと音質の良いイヤホンをと目がくらむ。文明と便利さとはそういうもんだ。
そこで私は、イヤホンの音質について少し調べてみた。音質には”コーデック”という音声圧縮技術と音源の”ビットレート”という音の解像度が大きく左右するとされる。
まずその仕組みだが、スマホで音楽を再生する際、音データが圧縮(コーデック)され、イヤホンに伝わる。次に、イヤホンが受信したデータをアナログ信号へ復元して増幅(アンプ)する。最後に、増幅された信号をスピーカー(ドライバ)に伝える。
故に、コーデック(圧縮)やビットレート(解像度)というソフトの部分だけで音質の全てが決まる筈もないが、人間で言えば品格や教養に相当するのだろうか。
因みに、無線イヤホンに使われるBluetoothコーデックには、SBC(標準)→AAC=aptX→aptXHD→aptXLLと序列がある。勿論、後者ほど圧縮率が高く音質がいいが、格安のイヤホンはSBCにしか対応してないから、それなりの音しか出せないと。
勿論、音源のビットレートが高けりゃ、そこそこ良い音は出るらしいが、ヒトの耳で聴き分けられるのは128kbps程までとされる。
一方で、アンプやスピーカの存在も大きいとされる。しかし、数千円のイヤホンに搭載されるハードはどれも同じレベルだろうから、安価なイヤホンはソースが同じならコーデックで音質が決まると見ていい。
勿論、私の無印イヤホンはSBCのみの対応だ。故に、音にうるさい人のレビューに、それなりの音質を求めるなら、最低でも3千円〜4千円は出す必要があるとあった。
事実、それらの価格帯だとコーデックはAACやaptX以上だ。しかし私は、たかがイヤホンにそんな出費は重ねたくない。そんなお金があるのなら「素数とゼータ関数」を買う(ウソ)。
しかし一度失敗してるので、たかがイヤホン如きに失敗は許されない。そして、徹底したリサーチを試みた(ウソ)結果、偶然引っ掛かったのが、TaoTronics(タオトロニクス)のTT-BH07だった。
TaoTronics
知る人ぞ知るこの中華メーカー(SUNVALLEY)だが、本社はアメリカのカルフォルニアにあり、2008年には日本に進出し、スマホ関連を中心に圧倒的なコスパで人気を集める注目のブランドだ。
そして、2017年に3千円を切る価格で登場したTT-BH07はaptXに対応し、米国Amazonで多い時は1日で5000個も売れたという。
今では、イヤホン専門店で2200円ほどに値下がりしてるが、アマゾンでは最安1580円ほどで売られてる。
ただ、国内のレビューはいまいち芳しくなく、音質は良いがバッテリがすぐに切れるらしい。因みに、TT-BH07の上位にはBH07S、BH07SBoostとあるが、Amazonでは3千円~4千円に一気に値上がりする。
しかしヤフオクだと、BH07SBoostが送料込みで1980円。少し怪しいとは思ったが、先日購入して大当たりだったA106Proと、全く同じ予感がした。
疑い深い私は色んな人のコメントをググった。EarPods(有線)とBH07SBoostとの比較を書いた”ふじこめうどん”サンのコラムが、大きな決め手となった。
EarPodsは、無線のAirPodsと同等の音質らしく、肝心の音質の評価は、魅力の重低音を含め、EarPods(≒AirPods)にも全く劣らないとある。
つまり結論は、”絶対に買い”である。
まるで、A106Proのレビューをそっくりそのまま見てるようだ。それに、”φ10mmのダイナミック型ドライバー”も気になった。ダイナミック型イヤホンの音質は、振動板の大きさに比例するらしい。
音質というのは、中高音のクリアな音や脳に響く様な重低音らの音の領域も含め、音の解像度や臨場感(立体感)などを総合して判断される。果たして2千円前後のイヤホンにそこまで求める必要があるだろうか?
しかし、時代は確実にそこまで来てはいる。”安かろう悪かろう”という時代は明らかに風化しつつある。(高価ブランドの)日本製だから安心という時代はとっくに終わった様な気もする。
しかし正直を言えば、送られてくるイヤホンがハズレである事を内心思ってはいる。
レヴューは本当だったのか?
結果から言えば、大当たりだった。
昨日の夕方4時にヤフオクでBH07SBoostを落札し、1時間後に決済処理して、その1時間後には発送された。そして、今日の3時に商品が届いた。
今時の物流システムは、知らない内に恐ろしくスピーディーになったもんだ。
肝心のイヤホンだが、ご丁寧な包装で少しゲンナリしたが、確かに中身は本物だった。ただ、ドンキホーテの入荷シールが貼ってあったのには少し笑った。多分、多めに仕入れ、売れ残ったから安く出来たんだろうか。
早速、封を解いて、Bluetoothでベアリングして、音質を確かめてみた。
イヤーパッドが耳に合わないせいか、百均イヤホンの音質と余り変わらない(悲)。しかし、”aptXHD”コーデックとしっかりと表示されてはいる。
”やはりレビューはウソだったのか?”
その時は思った。
最近の無線イヤホンは、落下防止の為にイヤーフックが付属する。これが邪魔になってイヤーパッドがすぐにズレる。耳にフィットするよう悪戦苦闘を繰り返すうち、何とか自分の耳に合う様になった。
すると、音質が全く変わった。BH07SBoostお得意の重低音がズンズンと脳みそに心地よく響く。3時間ほど続けて聴いたが、耳が殆ど疲れない。安もんのイヤホンは長く聴いてると、耳が痒くなり、頭が痛くなるのが普通だ。
それに、YouTubeからDLした貧相なソースだけに、イコライザーを強く効かせる必要がある。お陰でカーステで聴けば、雑で粗っぽいポスターカラー調の音質に成り下がる。
しかしこのTT−BH07SBoostは、イコライザーをMAXに設定しても、解像度の高いお行儀の良い音を出す。レビューではわざとらしいとされる中高音も、実にクリアに自然に聞こえる。特にジャズライブ(mp4a,128kbps)では、今まで聞こえなかった筈の音がくっきりと聞こえる。突然雨が降ったかと思いきや、演奏の音だった。これにはほんとにビックリしてしもた。
ただ、手放しで喜んでばかりはいられない。無線イヤホンのもう1つの生命線は、”バッテリー持ち”にある。カタログには最大15時間とあるが、MAXの音量で残量半分強ほどから始めたせいか、3時間ほどで残量不足のアラームが鳴る。
ミリオンセラーのBH07Sの唯一の欠点であるバッテリー回りがやや怪しいのだが、不良というレヴェルでもない。事実、充電時間はカタログ通りだった。
作り自体はしっかりとしてて、日本語の説明書も充実し、1年間保証書も付属するし、認証(CE)マークもちゃんとある。
色はレッドしかなかったが、メリハリがあって丁度良い感じだ。
最後に〜買い物のススメ
たかが2千円の中華イヤホンに、ここまで長々と書くバカは私くらいだろうが。買って大正解だった。
昨年末から今年の初めにかけ、コロナ渦の為に家に居る事が多くなり、珍しくモノを買い漁る様になった。
サイクロン形掃除機(3570円)、電気毛布(1790円)、無印無線イヤホン(980円)、卓上スピーカ(EWA、1990円)、数学関連の書籍17冊(8437円)、今回のBH07SBoost(1980円)と、私としては結構な買い物だった。しかし、外れたのは無印のイヤホンと「リーマン予想のこれまでとこれから」だけである。
ま、これだけハズレの少ない買い物も私にしては珍しい。
たまにはバカみたいにモノを買い漁るべきだ。人はバカになる事で成長する。
エリートが役立たずなのはそういう所にある。天才がすぐに自己破滅するのは、バカになりたくてもなれないからだろうか。
そういう意味では、我ら愚民は気楽だ。努力すればどんなにでも賢くなれるし、エリートになれないにしても、エリートを超える知能を手にする事は不可能ではない。
さあ、コロナが収まったら、街へ出ていろんな買い物をしよう。そして、より多くのハズレを引こう。
そうすれば少しは経済も復活するだろうか?
勿論、場当たり的に買い物をすれば、”安物買いの銭失い”になるのは解ってるんですが。こうも安くて良いモノが登場すると迷ってしまいます。
コーデックなんですが、大手家電店で4、5千円のワイヤレスイヤホンを見たんですが。殆どが標準のSBCコーデックでした。
ソニー製となるともっと高価ですが、コーデックはAACがやっとでした。ハードがそれ以上に充実してるからでしょうが、少し悲しくなりましたよ。
PS5も欲しいんですが、たかがゲーム機に9万弱というのも高すぎますよね。原価が5万近いからそうなるんでしょうが。
SONYのワイヤレスイヤホンなんか、1万5千円なんてのがザラなんですよ。コーデックはAAC止まりだけど、ハードが良いから良い音を出すんでしょうが。
最近はハイレゾなんて高級音源が登場してますが、私には1980円のBH07SBoostで十分すぎますね。
結局、モノは価格ではなく、価格に見合ったパフォーマンスなんですよ。
自分の部屋には推理小説ばっかですが、これも先行投資ってやつですか
タオトロニクスですが、今はBluetoothトランスミッターがほしいです
TVやゲーム機やオーディオ機器を全て無線化し、部屋の中をスッキリさせたいですし、タコ配線による火事も心配ですしね
ハイテク製品も中華性が増えてきた
国内音響メーカーも統合を繰り返し
なんとかアジア勢に対抗してますが
上位機種での競合いが見ものだ
上位のハイレゾには
LDAC(ソニー)やサムスンCodecや
HWA(華為)やUATがあるけど
音質を決める一要素に過ぎないし
そこまでやるかって感じだけど
SBCはビット深度が16で
サンプリング周波数が44.1kHzだったかな
aptXHDは24bit/48kHzに広がり表現の幅は大きくなったと言えます
でも音響機器が全て無線になる可能性は高いから、そこでも日本とアジア勢は火花を散らすんでしょうか
先行投資というより、自己満足の世界ですね。でも推理小説も西村京太郎を揃えてます(殆ど読んでない)。
Bluetoothトランスミッター、僕も欲しいですね。
ただ、コーデックも限界があり、ソースが貧相だと殆ど差が判らないとも言われてます。
実際、BH07Sでもソース次第ではaptXHDの恩恵は余りないですね。後はエイジングで慣らせば、音がどんどん広がってく感じがします。
つまり、オススメの一本という事になるんでしょうか。