”その1”(シーズン1)のプロローグを紹介し終えた所で、”1の1”に入ります。
リーマンゼータの新たなる旅立ちです。ゆっくりと慌てずに、難しい所は、飛ばしても構いません。とにかく大体のイメージを描いて下さいね。
”リーマンゼータ関数の全ての非自明な零点の実部は1/2であろう”と、主張されたリーマン予想。
言い換えると、ゼータ関数の零点(解)は、実根(負の偶数)と”実部が1/2の複素数である”虚根に分けられるという予想です。余りにも有名過ぎて、こればかりが独り歩きしてますね。
でも今回の主役は、このリーマンの”予想”ではなく、リーマンの”ゼータ関数”です。
そこで、ゼータ関数の紹介から始めます。殆どの人がリーマン予想から入り、素数の謎で躓き、撤退したという人も多いでしょうか。
つまり、ゼータ関数を知らない限りは、素数の謎の先へは進めないと。
リーマンのゼータ関数と解析接続
ゼータ関数ζ(s)は1以外の複素数で定義された関数で、特に実部R(s)が1以上の複素数sにては、ζ(s)=Σₙ[1,∞]1/nˢ=1+1/2ˢ+1/3ˢ+•••、と美しい無限級数の形で表現されます。
これを、リーマン(が名付けた)ゼータ関数と云います。因みにゼータはζというギリシャ語です。
このリーマンゼータ関数ζ(s)は、R(s)>1の時に収束し、s=1の時、調和級数となり発散します。故に、s=1は一位の極(特異点)となります。
このゼータ関数は、リーマン独自の”解析接続”により、sが1以外の全ての複素数にて、正則な有理型関数(微分可能な複素関数)に拡張されます。
因みに解析接続とは、ゼータ関数の定義域を全複素平面上に拡張する事ですが。
この解析接続こそが、リーマン予想の主題であり、ゼータ関数と素数の謎の解明の大きな鍵となります。
後でも詳しく述べますが、リーマン予想=解析接続とも言えますかね。
元々、このゼータ関数はオイラーが発見したものですが。1937年に、同じくオイラーが発見したオイラー積”Πₚ1/(1−1/pˢ)”とゼータ関数を結び付けたのが始まりです。
つまり、ζ(s)=Σₙ[1,∞]1/nˢ=Πₚ1/(1−1/pˢ)という等式の誕生です。
故に、ゼータ関数は”全ての素数pにわたる積”とも言われ、”無限和=無限積”という奇跡の無限級数であるとされます。
事実、リーマンが1859年に提出した論文「与えられた大きさ以下の素数の個数にて」では、前述の”オイラーの積公式”とオイラーの積分表示(1768)を変形した”第一積分表示”のζ(s)=1/Γ(s)∫ₜ[0,∞]tˢ⁻¹/(eᵗ−1)*dt、Re(s)>1から出発し、ゼータ関数の全複素領域への解析接続を行います。
ディリクレの貢献とリーマンの考察
序文では、師であるガウスとディクリレの素数研究について触れ、リーマンの論文は素数研究に向かいます。
リーマンはζ(s)の2通りの解析接続(第一及び第二積分表示)を行い、ζ(s)を零点と極に関する積に分解し、x以下の素数の個数であるπ(x)の明示公式(素数定理)を示します。
かつてオイラーが発見した、ゼータ関数の定義域は整数に限られてたが故に、オイラーゼータ関数とリーマンゼータ関数で区別する向きもありますが。
リーマンゼータがオイラーゼータを包み込む形となってるので、今やゼータ関数と言えば、リーマンゼータ関数で統一されてます。
つまり、ゼータの”創始者”がオイラーなら、ゼータの”確立者”がリーマンです。そして、その間を取り持ったのがディリクレ(ディリクレ級数)ですかね。
因みにディリクレも、リーマンと同様に”オイラー積”を元にした仕事をしてます。
この仕事でのディリクレの大きな貢献は、彼を有名にした”算術級数の素数定理”がある。これは、p≡m(mod n)を満たすp(素数)が無限に存在する事の画期的な証明でした。
ディリクレは、リーマンと同じく素数の分布にも興味を持ったんですが、目立った成果は得られなかった。
しかし、ディリクレはリーマンの師であり、リーマンは論文の最初の段階でディリクレの仕事を参照してます。故に、リーマンがオイラー積を用いた事は、明らかにディリクレによる影響でした。
そのディリクレはオイラーとは異なり、ゼータ関数を実変数の領域として用い、全てのs>1の実数で”ゼータ関数=オイラー積”を証明します。
一方、リーマンは複素関数論の創始者の1人であり、複素変数のゼータ関数を考察するのもごく自然の事ですね(「ゼータ関数とリーマン予想」より一部抜粋)。
最後に〜リーマン予想とオイラー積
つまり、ζ(s)と素数との関係の核心は、オイラーの積表示にあったんです。
事実リーマンは、この”オイラー積”の対数をとり、更にフーリエ変換を使い、ζ(s)を自ら定義した離散関数J(x)で表示し、J(x)を主要公式に結びつけます。
その後、メビウス変換を使い、π(x)をJ(x)で表し、不完全ながらも、明示公式(リーマンの強い素数定理)に繋げます。
しかし素数定理に関して言えば、”0<Re(s)<1で零点を持つ”でも十分でした。
[縦軸]は、『ゼータ軸』
[横軸]は、『自然数軸』
の眺めとしたい。
[離散](量子)から『量子連続』のモノが観えそうだ・・・
[数学思考](平面)での[点・線・面]の『数の言葉化』が[ζ]から眺めたモノかな?
[ζ] ⇔ [1 2 3 ・・・]
と観える・・・
この[始原]は、Y/X=1 YX=1
の『離散的眺望』から[縦軸]・[横軸]が[グレーゾーン]からの[軸]と観、
YX=1 の 1 ➡ 0 への『連れ込み』のようだ・・・
[ζ軸]は、『幻のマスキングテープ』とか・・・
『幻のマスキングテープ』の原型の『刀札』は、絵本 [もろはのつるぎ」(有田川町ウエブライブラリー)で
そうなんです。暫くは御無沙汰しますんで、宜しくお願いします。
スマホが壊れたんですか。先日、パソコンが壊れた事は知ってましたが。確かモバイルバッテリーも壊れたんですよね。天災は一気に纏めてやってくるの典型ですね。
これも良い方向に考えて、重いブログが多かったので、神様も少し休憩をと思ったんでしょうか。でも、スマホもパソコンもない生活って、凄く貴重な体験ですか。脱デジタルの世界を思う存分楽しむのも、気分転換に良いのかな。
暑さが吹き飛ぶ程の、素晴らしくナイスな補足です。古代インドの数学者って、現代の驚異そのものですね。まるで、錬金術師ですもの。何もない所から、ゼータの生み出すんですから。リーマンやオイラーも真っ青です。
多分、転んださんもご存じでしょうが。
大きなお世話的な補足です。
オイラー以前のゼータ研究といえば、具体的な数字からなる級数を求める事が主流で。14世紀のマータヴァ級数や17世紀のメルカトル級数が有名ですが。とくにインドのマータヴァが発見した級数も、同じく14世紀に発見されたこれまたインドのオーレムの定理と共に、ゼータの起源の一つといっていいと思います。
1-1/3+1/5-1/7+…=π/4という従来はライプニッツ級数といわれてたものです。このマータヴァ級数は結果的に、tanxの逆関数のマクローリン展開を与え、14世紀のインド数学が現代の数学と同等の域にあった事を示すものですね。
メルカトル級数もlog(1+x)=x+x^3/3+x^5/5+x^7/7+…というlog(1+x)のマクローリン展開を既に与えてるんですね。このマータヴァもメルカトルも、解析学が未発達な時代に、テイラー展開の概念を見出してたんです。
ただ、オーレムとマータヴァやメルカトルとの大きな違いは、転んださんのリーマンブログの4の4に書かれてるように、微積分を用いずに証明してる所です。
オイラーは,オーレムの定理(=調和級数の発散)という事実に基づき、オイラー積に繋げ、ゼータを発見したのですが。現代数学の原点がインドにあったというのも正直驚きです。