連日の様に、”牛の解体”ブログにアクセ頂いてアリガトと言いたい所ですが。この”牛の解体”を書くキッカケとなった、この”植物ミート”ブログも宜しくですが。こっちの方がずっと力入ってるんで、今更ですが大幅に加筆し、新たなタイトルで投稿します。
実をいうと自分の事を書くのが嫌でして、書いてるうちに鬱になる。故に”誰が読むかいこんなモン”的な、長く堅いネタばかりに偏る(悲)。たまにはって思うが、やはり書けないものは書けないし、書きたくないものは書きたくないのだ。つまり自分の事を曝け出すのがイヤなのだ。
でも、これだけ”牛の解体”にアクセが集中すると、満更”自己ドキュメント”も悪くはないかなと。
タンパク質危機とミートテクノロジー
さてと昨年の2月だったな。あるブログに”植物ミート”(フェイクミート)の事が書いてあった。感傷的なコメントのやり取りが非常に興味深かったので、サイトを潜ってみた。
"コレステロールはゼロ、飽和脂肪も環境負荷も少ない。牛を育てるには何カ月もの歳月と広大な土地、大量の水とエネルギーを必要とします。エンドウ豆を使った植物性タンパク質なら、その心配はありません"との謳い文句で鳴らす”ビヨンドミート”の登場とあった。
ビルゲイツやディカプリオらが出資者という事で、出来過ぎ感がなくもない。今更だが”植物ミート”で検索すると、やはり良い事しか書いてない。
しかし今では、”PBミート(植物ミート=プラントベース)”や”クリーンミート(動物の細胞を培養した人工肉)”と呼ばれ、これらミートテック革命が世界的なタンパク質不足問題(タンパク質危機)の切り札として注目されてるのも事実。以下、JPPRESSの記事だったかな?参考です。
2050年には世界のタンパク質需要が約2倍になると言われてる。特にアジア域におけるタンパク質需要の増加は著しいと。しかし、急激な需要を賄えるタンパク質生産を2050年までに達成するのは難しいとされ、早ければ2035年前後には”タンパク質危機”が顕著になるという。
現在、全世界の耕作地の80%は、家畜に与える食糧を生み出す為に使われてる。そこで、食習慣を肉食から菜食へと改めるか、大幅なタンパク質の増産を行うか、の2つが大きな解決策となるとある。私的に言えば、先進国の民がが1日2食にすればとも思うが(笑)。
食肉生産の効率の悪さ
肉食は菜食と比べ、タンパク質の摂取効率が悪いとされる。そこで飼料変換効率、つまり畜産物1kgを生産するに、実際どれだけの飼料が必要なのか?
先ず牛肉だが、生産される牛肉の約10倍の飼料穀物が必要とされる。飼料中の(植物性)タンパク質含有率を約10%、牛肉中のタンパク質含有率を約25%とすると、食肉生産は、穀物10kgから1kgの植物性タンパク質を、そして0.25kgの動物性タンパク質へと変換する作業だと解る。10kgの植物から僅か250gのタンパク質しか取れないと。
つまりタンパク質が、植物性タンパクから動物性タンパクに変換する過程で1/4にまで減少する。故に、植物性タンパクを摂取する方が4倍効率的だと。
一方、食肉の生産効率をカロリーの転換率から見ても、転換率が最も優れている鶏肉でも、9calのトウモロコシから1calの肉しかとれない。植物を肉に転換する過程で、9割近いカロリーが失われる。
他の肉は更に転換率が悪く、豚肉なら15:1、牛肉なら25:1。食肉を生産する為に、いかに多くの植物が無駄な餌として消費されているか。貧困や食糧自給の観点から見ても非常に無駄の多い作業形態なんです。
こうやって数字を並べられると、畜産業者は何も言えませんな。
食肉生産と環境破壊と植物ミートの限界?
この”代替肉”は生産に必要な資源の面でも効率がいい。例えば、牛のクリーンミート(培養肉)と動物ベースの牛肉を比べると、99%少ない土地と96%少ない水と、そして45%少ないエネルギーで作る事が出来るとある。
一方、タンパク質供給の安定化を考える上で、2つ目の解決策である”タンパク質の増産”だが、単に穀物の生産量を増やせば解決しそうだ。しかしそれには、耕地面積を増やすか、単収を増やす方法かがあるが、現実問題として困難とされる。
つまり、タンパク質を賄う穀物生産量の増加は、現行農業を考える限り無理という事。
因みに、現行農業における最大のタンパク質生産性を誇る大豆だが、2017年の米国の大豆の単収は年間1haあたり約3.6トン。大豆のタンパク質割合を36%とすると、年間1.3トン/haのタンパク質生産が限界。
これが大豆を主原料とする植物ミートの限界?ですかね。それでも肉牛を生産するよりもずっとずっと少ない土地で済む(グラフ参照です)。
次世代のタンパク質、スピルリナ
そこで大きな注目を集めているのが、微細藻類培養を利用したタンパク質生産。ハワイに本拠を置くシアノテック社は”スピルリナ”という藻類を生産し、年間1haあたり15トン(乾燥重量)を超える。
このスピルリナは、藻類の中でもタンパク質含有率が非常に高く、タンパク質含有率は72%(乾燥重量比)。これは年間10.8トン/haのタンパク質となり、大豆の8倍強だ。
皆さん、牛肉より植物ミートよりクロレラを食べましょうね。でも貧血になりそう(笑)。
最後に健康面だが、畜産業では細菌による汚染が発生し易く、大量の抗生物質が使われる。しかし培養肉なら、ビールの醸造所の様に細菌や抗生物質とは無縁のキレイな環境で生産できる。勿論、PBミートなら植物性なので体に良く、栄養面でも優れてる。
因みに、現在の世界の食肉市場は1兆ドル規模で、2050年には2兆ドルに達するとも予測される。つまり代替肉は、このとてつもなく大きな市場を奪っていく事になる。
事実、PBミートの”Impossible Burger”は既に全米3000店舗以上のレストランで提供され、また”Beyond Burger”も今や約2万店舗の小売店で販売されてるが、まだまだ世界の食肉市場の1%以下に過ぎない。
因みに、2枚のパティが入ったパッケージで5.99ドル(約680円)だそうだ。成分ですが、えんどうタンパクを主に、アラビアガムやセルロースが繋ぎとなり、ビート抽出液で肉の色を付けるんですね。
肉牛から見た植物ミート
この植物ミートを、殺される牛の立場から、眺めてみたい。
ま、色んな議論や課題があるにせよ、牛だって、あの大きな首を電動ノコで、流れ作業で機械的に無慈悲に切断されるのは、堪らんでしょうな。それに、牛だって草食ですもんね、植物ミートのコンセプトは、動物は植物に還るですから。でも、たかが大豆に取って代わるのも無機質な培養肉も、畜産牛としての長年のプライドが許さんだろうか。イヤそうでもないか。
それにステーキにされるならともかく、挽肉にされたら堪らんです。挽肉って何が混ざってるか判らない。業務用の冷凍挽肉を水で洗い流すと分かるんですが。血液を凍らせた様なシャーベット状態で、特に牛肉は肉質の繊維が少なく、肉以外を混ぜてミンチにすれば何の肉かすら判らない。
マクドナルドも一時は、内蔵を混ぜたりとかあった程ですから、挽肉ってホント怖い。という事で、我家の挽肉は塊の肉を買って、包丁で粗めのひき肉にする。その方が香りも質感も損なわないし、家畜にも優しい?
故に肉牛からすれば、挽肉にするなら”蛙や蛇で十分だろう”って事になる。
場での記憶
そういう私も父親が畜産やってたんで、幼稚園に行くか行かないかの頃に、2度ほど場へ連れて行かれた。ホントそれこそ悍ましくも残酷で未だに忘れられない体験だった。
牛ってとてもお利口さんな生き物で、される前日の夜中に泣き喚くんです。あの大きな牛が目に一杯の涙を溜めて。幼い私は夜中に起きて、何度もこの憐れな牛達を慰めたもんです。一緒に暮らしてるから、情が移るし、何考えてるか解るんですね。全く知能からしたら牛の方がゴーンよりも、ずっと上だと思いますな。これホントです。
場へ行く当日もトラックに乗らまいと、涙を流しながら、全力を振り絞っで抵抗します。大の大人が何人掛かってもビクともしない。冷酷非情な死刑囚だってギロチンの際は、暴れるといいますもんね。
結局力なく、トラックの荷台に載せられた牛達は去勢されたかの様に大人しくなり、場でも暴れる事は無かった。
ま、される時は一瞬ですね。あっという間に首が切り落とされ、皮が一気に剥ぎ取られる。体の半分以上を占める内臓が抜き取られ、逆さに釣り上げられ、油性マジックで競り番号が記され、冷凍室へ直行です。
ホント、この工程は一瞬すぎて、された牛には何が起きたか理解できない程でしょう。鮮やか過ぎる程の職人技で、子供ながらに頭が下がる思いでした。される牛へのせめてものマナーなんですな。
家畜を殺すという事
お陰で、大人になるにつれ牛肉が全く駄目なった。子供の時はハムとかステーキとか何とか食えたんですけどね。倫理的にとか生理的にとか罪悪感とかではなく、牛肉の匂いが全く駄目なのだ。皮を一気に剥ぐ時に生じる、あのムッとした生臭い匂いが未だに脳裏に蘇るんです。
家畜を殺して食べる事が悪いのか?どうかはわからない。合法なのか?犯罪なのか?違法なのか?必要悪なのか?それとも単なる殺戮か?それとも人類のエゴか強欲か。
でも、我が家は牛を殺す事で生計を立てたし、贅沢もした。酷な言い方ですが、した死後硬直後のステーキって、ホント甘くて美味しい。した肉は冷凍したら臭くなるんです。つまり私達が、日常口にするステーキってとてもマズい筈です。そんまま放ったらかして、死後硬直後に焼いて食うのが一番。アミノ酸が肉を柔らかくし甘くするんです。
それにあの味と風味と香りを覚えたら、ステーキ屋の肉なんて食えない。勿論、代替肉なんてもっての外。しかしそれ以来、牛肉は全くですね。された牛の怨霊が乗り移ったのか。
”君だけは牛肉を食わんでくれ、それだけは約束してくれ”って声が聞こえそうだ。
マクドナルドと牛肉
でも、時代は残酷で奇怪なものです。される牛達を嘲笑うかの様に、牛挽肉を商売にするマクドナルドは全世界に蔓延り、莫大な天文学的な利益を挙げたのです。
「私の牛がハンバーガーになるまで」によれば、私たちは年間50億個以上のハンバーガーを食べ、その為に毎年約4500万頭の牛が、解体される。1日に約12万3千頭、1時間に5千頭、毎秒1頭以上が挽き肉にされている計算だ。全く人間の強欲は留まる事を知らない。
創設者のレイ•クロックも死ぬ時はされ、ビッグマックにされるのが本望でしょうに。でも金持ち老人の小便臭い挽肉って食えんのかな(笑)。
ただ、ミルクシェークと挽肉を一緒に食べる感覚だけは、流石に付いていけない(笑)。結局、人類は感覚すらゲスに出来てんです。
結局、牛肉の香りが殆どしないマックバーガーなら、植物ミートのビヨンドバーガーの方があらゆるの面で良いかもです。
最後に
植物ミートが登場しつつある今、されてきた天文学的な数の牛達は何を思う?"こうなると解ってたんだよな、だから言わんこっちゃない"と、あの世で愚痴ってんだろうか?
それとも、”所詮一時の流行やブランドで終わるさね、食感や味わいや風味が全く違うからな”って、楽観してるのだろうか。
それとも、”ミンチにするんなら蛙や蛇、いや人間で十分だろ”って、お牛サン達の悲痛な叫びが聞こえてきそうかな。
という事で、色々課題はあるかと思いますが。でももっと早く、マクドナルドが世界中に繁殖する前に、この植物ミートが登場してたらと、そう思うのは私だけか。
植物ミートが家庭の台所を賑わす日が、畜産業が農業に完全シフトする日がホントに来るのだろうか。私的にはもう少し時間が掛かりそうだし、ビーガンとかベジタリアンとかいう人種がイマイチ信用出来ない。グリーンピースの様に暴走しないとも限らない。それにブランド化し、一時の流行で終りそうな気配もする。
やはり、動物性タンパク質は人類が逞しく冷酷に生き延びる為の必要不可欠なエサなのか。イヤ違うか。
”お前たち人間は、今まで戦争で互いを潰し合って生き延びてきたじゃないか、同じ様に共食いして生き延びるしかないさね”って、牛の説教が聞こえてきそうだ。全くゴモットモでございます。
話に共感しました、
私のお父さんは広島の県境の田舎で育ちました、お父さんがよく話して聞かせてくれます、子供の頃牛を飼っていて餌やりなどお父さんがしていたそうです、牛は大きくなり売られる際に目から涙を流し抵抗したそうです、
動物も心があり痛みを感じる存在なのだと考えさせられます。
全くですね。ホントこういうのは現場にいた人にしか解らない。逆に、知らない人の方がずっと羨ましい。される牛の苦悩を知らずに、肉が食えるんですもの。
こちらこそ、宜しくです。
お魚もダメでした。
で、何を食べていたかというと、サツマイモでした。
それで体が弱かったのか、体が弱かったからお肉類が食べられなかったのかわかりませんが、とにかく、牛肉が出ると生きた牛が頭に浮かんで食べられない。豚も鶏もそうでした。魚は目が怖かった。
結婚して子供ができてから、食べられるようになりました。体が栄養を要求したのかもしれません。
が、また最近、体調のよくないときは肉が食べられません。
私も場で、首を切られた牛に睨まれ、膝が震えた事があります。でも、小さい頃は全然平気でした。マセたガキだったんでしょうか。
bikoさんは、それだけ繊細に出来てるって事ですね。動物も肉食より草食の方が穏やかで可愛いです。人間も同じ事が言えるかもです。
牛って、殺される時、抵抗して涙を流すんですね。初めて知りました。そういった悲しい運命を背負った牛の肉を、私たちは旨いといって食ってるんですね。
確かに、日本のグルメブームというのも、強欲そのものです。原爆を落として何十万人もの罪のない人間を殺すのも、何十頭もの牛を殺すのも同じ事ですね。いくら、生きていく為とはいえ。
転んださん言うように、カーチスルメイもトルーマンも牟田口も、私たちも同じ人種という事ですかね。何だか切なくなってきました。
牛を殺すのと人間を殺すのが、全くの同義だとは言い切れませんが。明らかに、殺し過ぎですね。別にヴェジタリアンでもないんですが。人類の食欲が暴走した結果とも言えます。
特に、ひき肉はアカンですね。何が混ざってるか全く判らない。廃棄する部分も満遍なく使用できるという点では、使用効率はいいんですが。パック入のひき肉を見る度に、吐気しますね。
クジラや魚を食う民族で良かったなと、今になって思います。
そういう観点からすると、植物ミートだけでは、やはり虚弱な身体になるのではないかと心配したりもします。
昔読んだ戦争ものの小説で、おなかをすかせた兵士がまだ死んでいない戦友を殺して食べる話を読んだことがあります。一応、小説の形態で書かれてありましたが、あれは実体験だったのではなかったかと思いながら読みました。人間はなんと罪深い動物なのでしょう。
牛が賢いというのはよくわかります。馬鹿と書かれる馬も賢いですから。一番バカな動物が人間なのかも。ゴーンなんか、その人間以下です。
『ソイレント』とは『ソイビーン(大豆)』と『レンテイル(偏豆)』を合わせた新語のことでした。原作では食糧不足に陥った世界で植物由来の人口肉が供給される世界を描いたものでしたが、映画ではもっと直截に、亡くなった方の屍体を食糧に転換するストーリーになっていました。
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地球も巨大な宇宙船と考えれば究極的には『閉じた系』なので、この考え方は論理的には正しい(倫理的には受け入れるのは難しいでしょうが)。宇宙船内ならば屎尿等の再利用は当然のことですから。
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この先、タンパク質は植物由来、ひいては合成タンパク(iPS細胞による合成の研究が進行中)が主流になってくるでしょう。効率からいえば当然です。
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昔ならば戦争で減少していた人口ですが、今や歯止めなく増殖中です。このまま行けば、何割かの人間は『降り』なければならなくなるでしょう。
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機動戦士ガンダムの世界のように、宇宙にスペースコロニーを作って『棄民』する時代の到来もありえます。