最近はコメだけでなく、様々な食材や食料加工品が値上がりしている。
米が高値止まりのままなら、主食を麺や食パンに変えるしかない。昔からパンにマヨネーズを塗る癖がある私は、大のマヨネーズ好きなのである。が、市販のマヨネーズも値上がったままだ。
高血圧気味の私には塩分と油は天敵なのだが、血圧も正常値に落ち着いた事もあり、マヨネーズを自作する事にした。
しかし、サイトに書いてある通りに試しても、市販のマヨネーズの様にネットリとは固まらない。幾らかき混ぜても水みたいにサラサラで、放っておくと油と卵黄が分離している。
更に、手動ブレンダーを百均で買い、辛抱強く何度も何度も混ぜても、サイトで紹介されてる様には固まらない。
諦めは成功の母である
だが、色んな種類の自作マヨネーズを紹介した動画を見てると、やはり作りたくなる。
”失敗しない自作マヨネーズ”で検索し、調べてる内に、ある種のコツがいる事が判った。つまり、卵の温度と材料を混ぜる順番が重要なのだ。
まず、手動ブレンダーが入るサイズのカップを用意し、常温で温めた卵黄と酢と塩を入れてよくかき混ぜ、油を少しずつ垂らしながら撹拌する。が、固まる気配は全くない。
結果、”頑張る程に失敗を重ねる”典型の結果となったが、私にとって、”諦めずに頑張る事は失敗の父”であり、”諦める事こそが成功の母”なのだ。
事実、その通りの事が起きた。
ある日、コメを取り出そうと、押し入れを開けたら、何と目の前に”マジックブレッド”と書かれた大箱があるじゃないか・・
てっきり空箱だと思っていた。が、中にはミキサー一式がぎっしりと詰まっている。それも数回しか使った記憶がないので、キレイなままだ。
自作マヨネーズといえば、ハンドブレンダーが定番らしいが、サイトではミキサーでも作れるとある。
早速、3度目の挑戦だ。ブレンドミキサー用のカップに、材料の全て(全卵とサラダ油と酢と塩)を入れ、ミキサーで蓋をして本体にセットし、そのまま撹拌する。5秒ほどでミキサーの音が変わり、蓋を開けて確かめると、モコモコ状のまるでホイップクリームの様なマヨネーズになってるではないか・・・
”泡が立つ”とはこの事で、自作マヨネーズがこんなに美味しいとは・・・
事実、市販のマヨネーズとは異なり、油ベットリ感もなく、怪しげな添加物?もなく、素材そのままの美味しさが凝縮されている。
確かに”諦めは成功の母”であったのだ。
しかし、喜ぶのはまだ早すぎる。
自作の全卵マヨネーズは市販と違い、日持ちがしなく、サルモネラ菌がすぐに繁殖し、最悪は食中毒の危険性があるという。
一方で、市販のマヨネーズが長持ちするのは、殺菌消毒と強めの酢と塩のお陰であり、長期でも安心して食べられるとの事。農水省によれば、保存料や添加物は一切入ってないというが、脂質が多く高カロリーで、油に含まれるトランス脂肪酸や化学調味料が身体に悪いとされる。
確かに、市販のマヨネーズは酸っぱくて塩っぽく、卵の味が殆どしない。質の良くない油なのか、ベタベタ感がしつこい。
それに比べ、自作マヨネーズは日持ちはしないが、卵とサラダ油の鮮度も良く、サッパリとした高質なホイップクリームを舐めてるみたいで、それだけで自己満足に浸ってしまった。
補足〜豆乳マヨネーズ
僅か生卵1個にサラダ油200ccというのも、何だかとても不健康に思えるのだが、”ヘルシーマヨネーズ”で検索すると、豆乳マヨネーズのレシピが紹介されていた。
レシピ通りに、豆乳100CC(2回に分ける)と同量のサラダ油と塩少々を入れ、ミキサーで撹拌し、最後に酢(大さじ2杯)を加えて更に撹拌すると、これまた5秒ほどでミキサーの音が変わり、ゲル状に固まっていく。
全卵マヨネーズに続き、これも大成功で、フワフワの濃厚なクリームチーズ状態である。味も固さも完璧で、全卵マヨネーズと味も風味も食感も変わらないし、油は半分で済む。
因みに、全卵マヨネーズでは卵のレシチンが乳化剤の役目を果たし、高速で撹拌する事で油の粒が細かくなる程に固まるが、酢を多めに混ぜると緩くなる。一方で、豆乳マヨネーズは酢(酸)が凝固剤の役目を果たし、豆乳や油を多めに入れれば緩くなる。
が故に、酢を多めに入れる事で、(モッタリとはならないが)ノンオイルでも作れるという。
確かに、全卵マヨネーズはネットリとした本来のマヨネーズの持つ滑らかさであり、豆乳の方はヨーグルトに近いモコモコ感である。
肝心の保存期間だが、全卵マヨで1週間近く持ったが、豆乳マヨでは最長で1ヶ月近く持つらしい。
とにかく何度も言うが、美味しさが半端ない。
ある動画では、卵白とオイルだけで作ったプレーン・マヨネーズが紹介されてたが、これまたフワフワで美味しそうである。
そこで今私が考えてるのは、卵白と豆乳とお酢だけで作るノンオイルマヨネーズである。何処まで固くなるかはわからないが、”挑戦は成功を超えた発見”である筈だ。
今回は”失敗と諦めが成功の母”となった典型だが、様々なバレーションが楽しめるのも自作マヨネーズならではである。
これも後日談だが、ノンオイルマヨネーズは結果から言えば固まらなかった。やはり、油がないと酢の凝固作用は乳化剤としては生かされないのだろう。それに結構な量の水分が分離(沈殿)し、水抜きしてよく冷やせば、ドレッシングとして食えなくもないが、限界はある。
ネットには、ノンオイルの場合は豆乳ヨーグルトを一晩水抜きして使うか、白味噌を混ぜる方法が紹介されていたが、後者は豆乳と白味噌だけなので、スプーンで混ぜればすぐにペースト状になる。
つまり、”油あってのマヨネーズ”という事が判っただけでも良しとしよう。
という事で、”挑戦は発見を誘う母”となった訳だが、これも全ては経験であり勉強でもあり、それは結果として発見やアイデアを生む。
いや、そういう事にしておこう。
最後に
と、こんな感じで記事を終えようと思ったが、大の揚げ物好きの私は毎日天ぷらを食ってもそんなに抵抗はないが、こうして何度も自作マヨネーズを作る度に、油の過剰摂取が身体に良くない事も体感する。
一方、加熱した油の再利用も身体に悪いとされるが、小さい頃から揚げ物油の再利用は当前の如く繰り返してきたので、もしそれが真ならば、私は脂肪肝か中性脂肪の異常でとっくに死んでるだろう。事実、健康診断でも問題なのは正常値高血圧くらいで他に異常は殆どない。
しかし、自作マヨネーズは添加物が一切入ってないし、美味しいからつい食べすぎてしまう。それに新鮮な油とて過ぎれば身体には悪いし、そのせいか胃が凭れ、今では作るのをやめてしまった。
結論として、自作マヨネーズの”罪”とは美味しすぎる事であり、”罰”とは所詮は油を食ってるに過ぎない事となった。
勿論、健康で食を考えるのも大切だが、体感や感覚で食を楽しむのも必要だろう。
つまり、幾ら身体に良くても不味いものは不味いし、高価な外食みたいに身体に悪いとは理解してても、美味しいものは美味しい。
でなけりゃ、健康ブーム全盛の昨今、ファーストフード店やラーメン屋に行列ができる筈もない。一方で、外食産業ほど倒産が多い職種もない。
人はいつかは死ぬ。
高血圧で死のうが、糖尿で死のうが、或いは(某女優の様に)浴槽で死のうが、事故で死のうが、死ぬ時は死ぬ。
今回紹介した自作マヨネーズとて、所詮は思いつきの産物に過ぎないし、なければないで困るものでもない。逆を言えば、自作マヨネーズを経験した事で、油を直接体内に入れる事に一種のジレンマを感じる様になった。
故に、当分の間はマヨネーズを口にする事もないだろう。
つまり、多くの人は閃きや思いつきで生きてるのであり、ドストエフスキーが嘆く様に深い思考や凝り固まった理屈で生きてる訳でもない。昨今の健康志向も、時代を風靡した”時の人”と同じで、飽きられればその殆どは跡形もなく消え去る。
事実、自作マヨネーズも僅か1週間程で飽きた。時代はいつかは変わる。人の意識も思想も思考もコロコロと変わる。
という事で、自作マヨネーズの罪と罰のお話でした。
ソースとして使う
メキシコのサルサソースのようで
さっぱりして美味しい
マヨネーズは美味しいけど
油ベットリというイメージが
頭から離れなくて
結局手間暇かけたものは
その時だけですぐに飽きられる
チャランポランで
行き当たりバッタリなのが
一番効率のいい生き方だ
私も完全同意です。
苦労して得たものって、意外にも当てにならないし、消え去るのも早いですよね。
今回の自作マヨネーズも
最初は感動モノでしたが、食べるにつれアホらしくなり、最後には気持ち悪くなりました。
#114さんは、お酢に七味なんですね。
私はお酢に醤油派です。
健康で考えても体感や食感でみても、シンプルが一番ですかね。
意外にも、その場その時の直感や閃きが人生に大きな影響を与えるのも納得がいきます。