連日、カルロス・ゴーン氏の話題で盛り上がってますね。4年前に危惧されてた事なのに、今更って感じですね。
何でも時期を逃すと、曖昧になる。勿論、ゴーンもルノーもフランス政府も悪いが。一番悪いのは、東京地検かな。
さてと、”鏡張り部屋”ブログですが、すっかり忘れてました。マーロウは何時登場するんだ💢いう声が聞こえてきそうですが。あんまり引き伸ばすと、アクセスも消滅するんでここら辺で、マーロウ参上としますか。
前回は、女を追い詰めたはずの男が逆にその女に追い詰められ、閉口する所まででした。
女は少し言い過ぎたと感じたらしく、
男のそばに静かに腰を落ろす。
ごめんね、少し言い過ぎたみたい
でも悪気はないのよ
アンタには全てを知ってほしいの
私の全てを知ってほしいのよ
そして、今のアンタの危うい状況をね
男はようやく落ち着いたらしく
顔を上げ、女に軽く微笑を返した。
いや、アンタは悪くない
少し俺がカッとなりすぎたんだ
俺の悪いくせさ
俺が出世できないのは、
こういう実直で融通の聞かない
頑固な性格のせいなんだ
悪く思わないでくれ
アンタは悪い女じゃないという事は
十分わかったよ、脅して悪かった
ト、ト、トントン、トントン
その時、老支配人がドアを叩く。
あ、あ、あの、すみません、
お取り込み中の所で失礼しますが
マーロウという方がお見えになってます
私立探偵の方みたいですが、
部屋に招き入れても差し支えないでしょうか
それとも、都合が悪ければ別の日にとでも
先方は急を要するらしく
すぐに会いたいと申されてます
本来ならば、こういうのは断るんですが
事態が事態だけに、
話だけでも伺った方がいいと思いまして
余計なことですが
その時、女の顔色が急変した。
女は顔色一つ使えず、俄然とした様子で、
慌てて部屋を飛び出していった。
男も何だか落ち着かなそうだ。
何とか必死で冷静さを演出し
老支配人と静かに言葉を交わす。
マーロウって、あの有名な凄腕の私立探偵の?
ウチの女房が、一度相談したって言ったが
流石の彼も頓挫したって話だが
この俺に一体、何の用なんだ
俺は法に引っ掛かる様な事は、何一つしちゃいない
アンタも俺を疑ってんのか
老支配人は顔を近づけた。そして静かに諭した。
今の貴方はとても危険な立場にあるんですよ
今は、そのマーロウさんの申し出に従った方が、
身の為だと思うんですがね
どうしても嫌だってなら、お引き取り願いますが
さあ、どうします?
男は少しうつむいて、しばし考え込んだ。
”この俺に何の用っていうんだ
俺は何も悪い事はしちゃいない
俺は全くの被害者だ
危うく殺されかけた被害者なはずだ
西海岸一の名探偵がわざわざ
この亡霊ホテルにやって来ると言う事は
何かがあるはずだ
女房の事も彼から聞き出せるかも知れない
ここは、マーロウと会って
家族の事を相談してみるもありかな”
男は開き直ったかの様に、顔を上げた。
支配人、マーロウさんをここに呼んでくれ
多分、悪い話じゃないと思う
女房や家族の近況も知りたいし
俺が置かれた状況も詳しく知りたいしね
あの女が言ってる事が本当かも判るし、
それに俺が命を狙われなきゃならない訳も
老支配人は軽く頷き、踵を返し、ホールへ向かった。
マーロウは毅然としてた。
支配人は唖然となった。
小説で見るあのマーロウとそっくりだった。
老支配人の長い人生の中でも
こんなに興奮を覚えた事はなかった。
小説の中の存在と思ってたのが、
実在する人物だったのだ。
身長は、180センチ程で意外に華奢に見えた。
肉体派で、威圧感があると想像してたからだ。
上下とも黒のスーツで決め、
その精悍な顔立ちは、老人の両膝を震わせた。
マーロウは、軽く支配人にお辞儀をした。
ポケットから名刺を取り出し、
軽く自己紹介をした。
夜分、急にお邪魔して失礼します
私はこういうものです
西海岸のサンタフェで探偵をやってます
奥さんから、再び依頼されまして
急いでやってきた次第です
旦那さんは、お変わりないですか?
外傷とか、精神的に混乱してるとか?
その他変わった様子はないですか?
老支配人は、少し興奮していたが
マーロウの物腰の低い、諭す様な言葉が、
老人を安心させるには十分な効果があった。
いえいえ、別に変わった様子はありません
最初はとても戸惑い、興奮してましたが、
事情を何とか理解すると、落ち着いてるようです
一つ質問してもよろしいでしょうか?
これは警察が介入する類の事件なんでしょうか?
命を狙われてるという類のものなんでしょうか?
マーロウは静かに首を横に振った。
私には、顧客との守秘義務があります
私の顧客は、彼の奥さんです
それ以外には、何も申せません
私立探偵という立場をどうか理解して下さい
早速ですが、男の部屋を案内してもらえますか
老支配人はマーロウの毅然過ぎる態度に、
完全に圧倒されてしまった。
”小説の中のマーロウと、全く同じじゃないか、
ありとあらゆる局面を凌いできた男の、
その伝説の男が今、私の目の前にいる
彼を敵に回した奴らは皆、この独特で圧巻のオーラに飲み込まれたに違いない”
老支配人は、丁重にマーロウを男の部屋に案内した。
マーロウは男の部屋に入ると、
間髪入れずに、忽然と話を進めた。
ダーレムさんですね
奥さんから全てを伺いました
唐突ですが、貴方は命を狙われてます
でも心配しないで下さい
貴方の家族は、安全な場所に移してあります
こういうケースの場合、
多々にして家族が誘拐される事がありますからね
念には念の為です
セルバーグ並みの洞察力には脱帽ですね。
しつこく女が男に寄ってくるのは、特に若い女であればあるほど、何かがあるんですね。それにバカであるほど若さと身体を武器にする。
しかし、こういう淫乱女ほど強かでしつこいんですが。そこで、マーロウの出番という訳です。女はそそくさと去っていきますもんね。
paulさんのお陰で、少し展開を弄りましょうかね。
これからも宜しくです。
私にはこういう構図が見えてきますが。
転んだサンの事だから、何処かでオチを入れてくるでしょうね。これからも楽しみです。
マーロウの事だから、情報源が腐る程あるし、次回でじっくりと説明しますか。
ただ、若い女とマーロウの関係をどう持ってくるか?少し悩んでます。
hitmanさん、今後も宜しくです。
今か今かと待てました。どのタイミングで登場するかと思いきや。マーロウと若い女と何かありそうですが。
勿論、チャンドラーの小説には美女と悪女がツキモノですが。ホテルの女はどちらともタイプが違うような。
でもどうやって、マーロウはこの亡霊ホテルを探し当てたんでしょうか。次回も楽しみにしてます。