新型コロナウィルスの感染拡大で、日本でもマスクの品薄状態が続いてる。ドラッグストアの店頭では即座に売り切れ、ネット上では定価の10倍以上で転売されるケースも相次ぐ。
業界は節度ある購入を呼びかけ、医療専門家はマスク着用の是非を論じた。
Amazonでは、通常価格で販売されるマスクの殆どが”在庫切れ”になる一方、多くの商品が定価を大きく上回る数千円から数万円で出品されてる。中には定価の15倍以上の高値で転売されてるケースもある。
フリマアプリ大手のメルカリでも数千円から数万円で出品された商品が次々に購入されている。以下、”新型肺炎!マスクがない”から抜粋です。
転売の現状と対策
福岡県に住む30代の会社員男性は、新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの需要が高まってる事をニュースで知り、先月下旬にマスクを買い集めた。
男性が、Amazonで7枚入マスクを定価の3倍を超える値段で7個出品した所、1週間程で完売した。
男性は、”売れた時は、小遣い稼ぎができてラッキーだと思った。自由経済の中で需要が供給を上回る状況なので、マスクの価格が高くなるのは当然だと思う”と話した。
この男性にマスクが品薄となって必要としている人に行き届かなる状況をどう思うか?尋ねた所、”転売によって本当にマスクが必要な人に流通させているという認識だ。悪い事だとはあまり思っていない”と答えた。
関西地方に住む30代の男性は、個人事業主として日用品をネット上で販売し、先月下旬から総額で30万円以上のマスクを購入し、通販サイトで定価の3倍程度の値をつけ、転売している。
男性は、”私達の様なネット出店者によって全国にいる必要な人に商品を届けられるというメリットがあり、後ろめたい気はない。むしろ、転売を見よう見まねでやってる人たちがモラルを崩しているのでは?”と話している。
中国地方に住む30代会社員の男性は、10年以上前から自宅にあったマスクを70枚セットで1万4000円、15枚で4000円の値をつけ、フリマアプリで出品した。このいずれも出品して30分以内で、売買が成立した。
男性は、”ドラッグストアのマスクが一瞬で売り切れたのを見て、半信半疑で出品したがすぐに売れたのでびっくりした。ラッキーだという気もあるが、予想外に高い値段で売れたので罪悪感もある”と話している。
本当に必要な人にマスクが届かない
しかし一方で、マスクが品薄の状態になる中、難病を患いマスクを手放せない人からは、”本当に必要な人の元にマスクが届くようになってほしい”という切実な声が出ている。
横浜市に住むの櫻井さんは一昨年、目などに炎症が起きる原因不明の難病”ベーチェット病”と診断された。
櫻井さんは今病気の症状を抑える薬を服用しているが、薬の副作用で免疫が弱くなり、インフルなどの感染症にかかりやすい為、外出する際はマスクが手放せない。
しかし、使い捨てタイプのマスクは在庫がなく、現在手元にある医療用マスクは数枚程度しかないという。
櫻井さんは、”ネットでマスクを検索したら値段が高くてびっくりした。私達の様な患者だけでなく、日常的にマスクが必要になる人は沢山いると思う。本当に必要な人に正規のルートでマスクが届く様になってほしい”と訴える。
ネット上の転売問題に詳しい福井弁護士は、”転売が社会問題になったコンサートやスポーツなどのチケットについては去年、高値での転売が法律で禁止された。
しかし、マスクなど多くの商品は規制の対象にならず、経済活動の自由の観点からも法律で規制するのは難しい”とした上で、”誰もが簡単にネット上に出品でき、買いたい人と結び付くのはいい事だが、今回のマスクの問題では「転売社会」の影の部分が出てしまった”と指摘する。
一方で、買占めや転売により社会に混乱が広がる恐れがある場合には、対策が必要だとし、”「販売個数の限定」や「転売目的お断り」の表示をし、実際にルールを破る客に対しては購入を断る事が必要。サイト側も小売店と連携し、不当に高値で転売する商品は出品禁止にするなどの対策を行う必要がある”と。
以上、NHKWEBからでした。
症状がない人以外のマスクは必要ない?
WHOは、新型コロナウイルスが咳やクシャミなどで飛び散る”飛まつ”を通じて感染する事から、”症状がある人がマスクをする事で感染拡大の予防策の1つにはなるが”としてる。
一方で、全く症状がない人にはマスクを着用する事で予防ができるという科学的な根拠はないとし、”症状が無い場合はマスクの着用は必要ない”と釘を指す。
そして、症状がありマスクを着ける時は、マスクと顔の間の隙間ができる限りない様にし、マスクを取った後は”手を清潔にし、使い捨てのマスクは再利用しない”事などを呼びかける。
だったら、マスクをしてもウイルスには効果がないの?マスクをしても全く意味がないの?って事になる。
少し古いが、2011年に英国オックスフォード大の研究チームが発表した論文で、N95マスクとサージカルマスク(市販の家庭用マスク)を各グループに与え、感染率のデータを取った。私も好きですな論文が(笑)。
すると、サージカルマスクのみを装着したグループの結果は、10人全員がインフルエンザに感染した。つまり、市販の普通のマスクではウイルス予防にはならないという。
しかし、全く役に立たない訳でもなく、マスクには一定の保湿効果があり、喉の乾燥を防ぐ事でウイルス感染の”可能性を下げる”事は出来ると。
一方、”N95マスク”とは、米国国立衛生研究所が定めた、N95規格という厳しい基準をクリアしたマスクで、0.3µm以上の微粒子を95%以上捕集できる。
通常のサージカルマスクよりも密閉性が高く、呼吸が少し苦しく長時間使用には向いてないが、前述の実験でもN95マスクをした5人のうちウイルスに感染したのは3人に留まった。それでも6割は感染するんですな(悲)。
結局、大騒動する程のマスクも”しないよりかは少しはマシ”というレベルなんですね。
マスク着用は、実は逆効果?
そこで、マスク着用の是非についてもっと突っ込んでみたい。これも無用な転売を防ぐ為と感染症と日々戦う”本当にマスクが必要な人にマスクを届ける”為ですが。
医療専門家は、”新型コロナウイルスの拡大を防ぐ上でマスクの効果は限られてる”と話す。
一般の人達が着用してるマスクの多くは防護効果が殆どなく、たとえ最も効果の高いマスクであっても顔に密着させ、正しく着用しなければ意味はない。
マスクの着け心地が悪くなり、顔や汚染されている可能性のあるマスクを頻繁に触れば、逆効果にさえなり得る。
”こうした環境下で、マスク着用により身を守れる確率は極めて低い”
米エモリー大学病院の伝染病部門で医療責任者のブルース•リブナー氏はこう話す。
”マスクを着用する事はある意味、着用しないよりも悪い場合がある”
以下、”マスクの感染防止効果、一部専門家は疑問視”から抜粋です。
一番の良薬は、手をこまめに洗う事?
医療専門家によると、感染を防ぐ最善の方法は”手をこまめに洗い、目や口や鼻を触らない”様にする事だ。
それでも中国内外でマスクの入手は困難になっており、病院や医療センターですらマスク不足に陥っている。
そうした場所では日々、新型コロナウイルス感染患者への対応だけでなく、他の感染症や外科手術や基本的な治療に、何百万枚ものマスクを必要とする。
リブナー氏によると、エモリー大学病院でも必要に応じ医療用品を購入している他の医療センターから、余分なマスクがないか尋ねる電話を毎日受けるという。
インフルでなくても病院でも、マスク品薄は慢性的な問題なんですね。
一方で、マスクの使用を義務付けたがる連中もいる。
マスクの主要供給会社の1つ、米スリーエム(3M)は感染拡大を受け、増産を行っている。
またマスクや手術衣や手術用被布を製造する中国の仏山市「南海必得福無紡布」は、湖北省政府が設定した需要を満たす為、24時間操業だ。
中国当局は、”どの様なマスクでも着用する価値はある”と依然考えている。ウイルスの発生源である武漢市の南東に位置する江西省では、各自治会は住民にマスクを着用せずに公の場に出掛けるのを避けさせるよう指示を受けたと、省衛生健康委員会の担当職員は述べた。
”大勢の人が行き来したり、集まったりしている場所での交差感染を防ぐ為です”と同職員は言う。
また武漢市が位置する湖北省の同様のホットラインの職員は、”専門家が言う事を信じないで、まず政府の言う事を聞く様に”と語る。
何もしないよりはマシだろう!
ウォール•ストリート•ジャーナルが、医師向けの世界的なSNSの「SERMO」で質問した所、回答した医師827人のうちの66%が、医療訓練を受けてない平均的な市民にとってコロナウイルスの感染を防止する為に医療用マスクを着用する事は、”何もしないよりも効果があるが、最も効果的な手段ではない”と答えた。また、15%の医師は”マスクの着用は効果がない”と述べた。
しかしマスクの不足を受け、多くの人達が身近にある物で代用し始めている。黒竜江省ハルビン市のチーさん(20)は、外出する際はピンクのポリ製マスクを着けてる。それが病気を防ぐ専用のマスクでない事は承知の上だ。
”ハルビン市でちゃんとしたマスクを見つけられなく、あらゆる場所で在庫切れだった”とチーさんは話し、”でも何も着けないよりはマシでしょう?”と訴えた。
衛生専門家によると、コロナウイルスなどの呼吸器系疾患の原因となる病原体は目や鼻を介して感染する確率が最も高い。
咳やクシャミにより感染した飛沫がどこかの表面に付着し、それを触った健康な人がウイルスを拾い、その後で自分の顔に触れる事で感染するという仕組みだ。
そのような飛まつは通常、表面に付着してから1~4時間は残る。”手をこまめに洗い、顔に触れない”様に、医療専門家が勧めるのはその為だ。
マスクは適切に使用すれば、くしゃみや咳の大きな飛まつの一部は遮断できる。また、気をつけていれば鼻や口を触るのも防げる。しかし、サージカルマスクとして知られる紙やポリウレタン製マスクでは微小な粒子は排除できない。
最も効果が高いと一部でみなされているのが、先にも述べた”N95”マスクという再利用可能な防護マスクだ。但し、専門家がきちんと調整した場合に限る。その様な場合であれば、ぴったり密着して粒子を通り難くしてくれる。
しかし、多くの人はマスクを適切に着用していない上、マスクの多くは1回に何時間も着ける事を想定したデザインになっていない。
長時間着けようとすると大抵の場合、着け心地が悪くなり、位置を調整しようとして顔を触る。
米感染症学会の広報担当者を務めるアーロン•グラット氏によると、医療専門家の間で一般的にN95マスクを着用するのは、はしかなどの空気感染するウイルスに対応する医師だけだ。コロナウイルスは概して、空気中に長く漂わない”比較的大きな飛まつ”で感染する事が多い。
しかも”マスクをカバンに入れた場合、カバンに入っている物全てを汚染する可能性もある”とグラット氏は話す。
以上、WSJ jp.comからでした。
最後に
専門医と政府と業者ではそれぞれに意見が異なるが、一番大切なのは、本当に困ってる人にマスクを届ける事だろう。
ごく普通の困ってもいない?連中がマスクを買い漁り、買い占め、その上、悪知恵が働く者は転売に走る。その気持ちも解らないではない。
しかし、マスクが本当に必要な感染病で苦しむ人をサイトで探し出し、そういう困った人達にマスクを届けようという気概がある人は一体、今の日本列島に何人いるのだろうか?
そういう事が頭の片隅にでもあれば、マスクの爆買いや転売は自然となくなるとは思うが。依然として買い占めや転売が慢性的に起きてる現象を考慮すると、彼らの頭には自分の事か利益しかない事が判る。実はそういう私もその一人かもだが。
こうした哀れで醜い”狭義の利益”に拘る人種こそが、新型コロナウィルスよりもずっと恐ろしいのかもしれない。
油断すると一気に持っていかれますね。
最初に警戒しとけば、中国も。