今日は久し振りに数学ネタです。急いで書いたんで、読み辛いかもですが。少し政治ボケしてるので、気分転換にはなるかと。
リーマンの謎ブログの”その2”(11話)では、素数定理を中心に述べてますが。2014年4月に、”素数の謎を解決する?”衝撃のニュースが飛び込んで来た事をつい先程、知りました。
勿論、私は全く気付きませんでした。当時は、肉体労働に生きる純粋無垢なプロレタリアートでしたからな。ケッケッケー。
双子素数の謎
素数が無限に存在する事は、何度も述べてきましたが。双子素数(twin prime)の謎は長い間、数学者の大きな夢でもあったんです。
誰が予想したかは不明で、文献の上で唯一確認できるものは、A.de.Polignac(1849年)の言明だけである。彼は双子素数予想を一般化し、任意の偶数を与え、それを差とする素数の組が無数にあるのか、という問題を提出した(ウィキ)。
これまで、”間隔が2の双子素数は無数にある”と予想され、未だ解決を見ない。因みに、双子素数とは、(3、5)(5、7)(11、13)...の様に、連続する素数間の間隔が2の素数の組です。
素数が大きくなる程に素数の頻度がバラつく様に、双子素数の頻度も下がる。しかし、双子素数が無限に存在する事は証明されてませんが、多くの数学者が無限に存在すると予想してます。
素数の間隔は有限(有界)?
2014年4月ジェームズ•メイナードは、”間隔が600以下の素数の組が無数に存在する”事を証明するという画期的なアイデアを提唱し、素数の未解決問題について大躍進を遂げました。
つまり、”数が大きくなる程に、素数の間隔は際限なく離れていくのか?”という長年の問いに、大きな楔を打ち付けたのです。つまり素数の間隔は有限(有界)であると。
この「素数間の有界な間隔」をテーマとするPolymath8プロジェクト(2013/8)は、Polymath8a(2014/4)へと進化し、Polymath8bが誕生した。
この新しいプロジェクトの目標は、”連続する素数間の有界な間隔の最小値を更新する”事だ。この間隔とは、上述した双子素数の考察において非常に重要なものとされ、2個以上の素数を含む間隔が無数にある様な区間の長さの最小値の事です。
メイナード博士は、この区間の長さが600以下である事を証明したお陰で、Polymath8aプロジェクトが確立され、この600という記録を更新する事が大きな問題となる。
因みに、素数についてのこの新定理は、”教科書を書き換える”程の大発見と大騒ぎしましたが、これをニュースにしたHPは削除されてますね。
というのも、”素数が極端に偏る事なく分布するというリーマン予想があり、その初の証拠と言えるのではないか”と勝手に解釈した為に、消されたんでしょうか。
勿論、リーマン予想と素数の間隔には繋がりがあり、事実、ハラルド•クラメルはリーマン予想を仮定し、素数の全ての間隔が、O(√p*logp) である事を示した。
しかしこれは、リーマン予想の遥かに弱い場合とされます。詳しくは、ルジャンドル予想を参照です。”教科書を書き換える”程の大発見と大袈裟に騒いだのは、この為かもです。
それでも、今回のテーマである”連続する素数の間隔が有限である”という大発見は、例えば自民党が消滅する程の出来事と言っても過言ではない。僅か数年前までは、有限である事すら解ってなかったんです。
双子素数の謎を解き明かす?
でもやはり気にはなりますな。そこで私めは、「素数の未解決問題がもうすぐ解けるかもしれない ヴィッキー•ニール著」(千葉敏生訳)という本を、偶然にも図書館で発見しました。
邦題の「素数の未解決問題」とは双子素数予想の事で、原題の「Closing the gap」とは、この素数の組の間隔の上界を縮める努力を指します。
副題も”素数の謎への探訪=The Quest to Understand Prime Nunmbers”という事で、少し大袈裟すぎますな。
”間隔が600以下の素数の組が無数に存在する”という事を単純に数式で表せば、lim(n,∞)inf(Pₙ₊₁−Pₙ)≦600、という事ですが、少し呆気ないですかね。
因みに、lim(n,∞)infとは”下極限”の事で、数列の極限になりうる数値を下から押さえる為に使います。
数列の下限(inf)の極限値(lim)という事でご理解をです。下限は最小値、極限値は収束値と理解しても構わんです。以下、tsujimotterさんのブログを参考です。
ただ、数列の下限と言っても、無限大に展開すれば、振動したり変化しますから、極限値を押さえるんですね。
ここで、数列{aₙ}=Pₙ₊₁−Pₙとします。
a₁=P₂−P₁=3−2=1、
a₂=P₃−P₂=5−3=2(双子素数)、
a₃=P₄−P₃=7−5=2(双子素数)、
a₄=11−7=4、a₅=13−11=2(双子素数)、
a₆=17−13=4、a₇=19−17=2(双子素数)、
a₈=23−19=4、、、
そこで、bₙ=inf(k<n)aₖを考えます。双子素数が先にある場合は、bₙ=2は明らかですね。しかし、双子素数が先にない時、n番目以降の素数分布がわからないと、当然のbₙ値は決まらない。故に、lim(n,∞)bₙも決まらない。
張益唐(Yitang Zhang)の衝撃の発見
仮に、双子素数が無限であれば、lim(n,∞)bₙ=lim(n,∞)inf(Pₙ₊₁−Pₙ)=2でメデタシなんですが。双子素数が無限である事は、残念ながら証明されてません。
ここで仮に、連続する素数の差が4である素数の組が無数にあれば、lim(n,∞)inf(Pₙ₊₁−Pₙ)=4ですし、差が6である素数が無数であれば、lim(n,∞)inf(Pₙ₊₁−Pₙ)=6です。
故に、メイナード博士の言わんとしてる事は、lim(n,∞)inf(Pₙ₊₁−Pₙ)≦600ですから、前述した様に、”連続する素数の差が600以下である素数の組が無数に存在する”という事ですね。
上述した様に最近までは、上式の右辺が有限である事すら解ってなかった。つまり素数の間隔は有限(有界)である事すら解ってなかった。ところが、2013年4月に彗星の如く現れた張益唐(Yitang Zhang)博士が、lim(n,∞)inf(Pₙ₊₁−Pₙ)≦70000000の大快挙を発表した。
これが”一刺し”となり、Polymath8プロジェクトが生まれ、最新のPolymath8bでは、lim(n,∞)inf(Pₙ₊₁−Pₙ)≦246まで解ってると。
故に、lim(n,∞)inf(Pₙ₊₁−Pₙ)=2が証明できれば、”間隔2の素数の組が無限個存在する”となり、念願の「双子素数予想」が示される訳だが。
原題の”Closing the gap=素数の組の間隔の上界を縮める努力”とは、この事だったんです。
邦題ほどには衝撃的でもないですが、素数の謎を追求する探訪は、数学者の長年の夢でもある。今までもこれからも。
でも正直ここまで数学がSNS上で語られるとは想定外ですかね。
今私たちが利用してるスマホやPC、殆どのデジタル機器を動かしてる肝心のソフトは、プログラミングです。これは数学がなかったら存在してません。つまり、現在地球上の全てを網羅するネット社会や我等人類を取り巻く情報化社会も、現代数学が存在しなければ成し得なかった事です。
でも幾ら、数学が社会システムの全ての基盤に影響を及ぼしてると言っても、誰もが数学に長けてる筈もないですね。でも、数学が全くの苦手でも、数学的考え方を取得する事は可能です。それにこれからは数学的思考が、世界を政治を外交を戦争を支配すると言っても過言じゃないと思います。
数の論理を最大限に利用したのが、選挙の多数決の論理で、そのお陰で自民党や安倍は温々としてられます。賄賂や汚職、派閥の原理も初歩的な数の論理ですね。勿論、戦争も資本主義もです。
一つ例を上げれば、原爆はアインシュタインの相対性理論がベースとなってます。現代の核の主流であるプルトニウム型は、フォン•ノイマンの数学的理論がなければ、誕生しなかった。今やこのプルトニウムこそが世界の一番の驚異となってます。
それでも現代数学が殆ど理解されてないのは、その変異性と特異性にあります。”数学とSEXとオリンピック”ブログでも述べた様に、数学は収束する事が大前提です。もし答えが出そうになかったら、近似値を探るか、ありとあらゆる”こじつけ”を駆使し、極限値を押さえる。それでも収束しなければ諦める(笑)。
今回のテーマである”連続する素数の間隔が有限である”という大発見は、例えば自民党が消滅する程の出来事と言っても過言ではないです。僅か数年前までは、有限である事すら解ってなかったんですから。
収束する事を、判りやすく言えば、”ヤラせる”って事ですね(笑)。ヤラせない女がいたら、SEXができない様に、収束しなかったら答えが出ない訳で、数学も成り立たない。
故に、強引にレイプするか、酒を飲ませて酔わせるか、辛抱強く口説くか。特に、超天才オイラーがとった手法は、レイプによく似てます。男が女を犯し、交尾し、人類が繁殖していった様に、数学もあらゆる”こじつけ”を駆使し、地上に地下に繁殖していったのです。
つまり私達が思ってる以上に、数学は隅々にまで完璧に蔓延ってんですね。我ら大衆はそれを理解してないだけなんです。
急いで書いたんで、少し解りづらいとは思いますが。これもブログにしたくなりました。
数学を理解する上で、一番大切な事は、何が解らないかという事です。故に解らないという認識はとても重要です。だから数学には定理や定義がごマンと存在する。全ては、”解らない”を克服する為です。
勿論、受験主導の数学教育の致命的な部分もあります。”数学バカ”ブログでも書いた様に、今の数学カリキュラムでは、殆どが高校の数学で頓挫するでしょうね。
そういう私も大学の代数学で挫折しました。微積分とか関数論は得意だったんですが。日本の数学教育は子供の頃に、解析学とか微積分とか関数論とか、数学の一番美味しい部分を教えるべきです。
公文式とか最悪の最悪ですね。単なる計算バカになるだけです。
従来素数の間隔といえば2つがやっとでしたが、3つ以上の素数の塊を扱ったという点では、メイナード博士の発見も偉業と言えます。
話は少しそれますが。実生活にて数学が役に立つかという問いですが。
一般論で言えば、実生活にはダイレクトには役に立たないと言った方が誤解はないですかね。しかし数学は国家システムの奥深くに幅広く浸透してるので、背を向ける事は不可能です。
勿論、表面的な部分でも初歩的な数学はいろんな場面で活用されてはいますが。確かに、足し算ができなくても生きていけるし出世もできますもの。
数学に何ができるのって開き直られたら、我ら黙って下を向くしかないです。
数学が実生活に何の役に立つの?っていう質問が一番ツラいですよね。何とか数学嫌いの人にも、数学の愉快さや美味しさを伝えようとは思ってんですが。実際にはその奇怪さや変質さが伝わってるだけですもん。
数学がポピュラーになるのはまだ先の事ですか。嗚呼無情!