とうとう、ベーブ•ルースの旅(全9話)も最終回です。この最終回だけは記念の為に、日付を新しくします。今年の10月からコツコツと、”ベーブ•ルースの真実”を更新していったんですが、何だか歴史を逆行する様でとても楽しかったです。
書き終えて
実は2年前に、私がブログを立てたのも、このルースを紹介する為だけだった様にも思えます。しかし、書いた当時は誰も見てくれませんでした。多分、アクセスはずっと一桁だったか。ルースが”俺の事はいいから、もういいからやめろよ”って天国から呟いた様な感じがしたものです(笑)。
しかし、辛抱強く書き続けてる内に、自分の中で一つの物語が完結し、一つの歴史が過ぎ去った様な気分です。いや、もう一人の自分が死んだ様な気になります。
全9回に渡り、長々と紹介した、この「ベーブルースの内幕)」(Pクリーマー著)は、「アメリカを変えた夏」(Bブライソン著)がなければ、ここまでのめり込む事もブログで紹介する事もなかったんです。
そして、この”アメリカを変えた男”こそが、ベーブ•ルースだった様に思えます。彼こそが”一人勝ちのアメリカ”の、世界中の民が憧れた夢の新大陸の具現者だった様にも思えてくる。
故にルースの生き様は、良くも悪しきもアメリカの全てを象徴しています。それに、ルースの晩年の哀れさこそがアメリカの行く末を具現してる様にも思えるのです。まるでアメリカから富を奪い去ったら何も残らない様に。
野球を愛し、野球から愛された男
今現在、世界の富は、二度の世界大戦に圧勝したアメリカが独占しています。一部例外もありますが。それはルースが何の苦もなく、栄光とタイトルを独占してきた様と非常によく似てます。実際には、様々な障害と労苦があったんですがね。
彼が育て創り上げたヤンキースが、メジャーの大半の歴史を支配してきた様に、当時はルースを中心にNYがアメリカが回り、そのNYをアメリカを中心に、世界が回ってたのです。
そのアメリカにも天敵が多く存在する様に、勿論、裸の王様である彼にも敵が沢山いました。コミッショナーもオーナーも監督もファンすらも、彼が調子を崩すと一斉にこき下ろしました。今じゃとても考えられない事ですが。
しかし、ルースのバットに一旦火が付くと、ファンは狂った様に熱狂し、その発狂する様は独立戦争の勝利や世界大戦での勝利よりも、ずっと大きかったのです。
富や贅沢は戦争に勝利する事で、敵国の民を大量殺戮する事で、簡単に得られます。しかし真の栄光は、神ではなく、一人の生身の人間が運命と才能と生き様を削り、我らにもたらすのです。それも血一滴流さずにです。
つまりルースは、お金や富では得られない、眩い程の僥倖と暁光を我々に隅々にまで、全米中に注ぎ続けたのです。
1920年ヤンキースに移籍したルースは、30本が限界とされた本塁打を54本にまで伸ばし、以降次々と記録を塗り替えました。野球の在り方を変え、大衆の嗜好まで変えた。まさにこの年は、ルースこそが”アメリカをNYを変えた年”だったのです。
ニューヨークは発狂し、アメリカ中が熱狂した。ファンも大衆も球界も財界もその熱にうなされた。ルースを極端に疎う、コミッショナーやオーナー達も例外ではなかった。
他のプロスポーツを尻目に、野球だけは"飛ぶボール"同様に弾じけ続けた。1920年代から30年代前半に掛け、アメリカは野球バブル一色となる。
裸の王様と去勢された屍と
翌年の1921年は、ルースの絶頂であった。59本、3割7分8厘、170打点は打撃10冠となる。まさしく神の領域を超えた瞬間だった。彼がヤンキース在籍中に積み重ねた偉大な天門学的数字は、誰もが知り得る所だろう。
飛ぶボールであろうが、飛ばないボールであろうが、まともに当たれば、どんなに広い球場でも場外に消えた。典型の600ftヒッターだったのだ。
現在のMLBのレヴェルや質、球場の狭さから逆算すると、年間160本は当確だろう。マクガイヤやボンズや王さんと比較される彼が本当に哀れだ。彼らとは全く次元が違う。持ってるモノが、与えられた物が違い過ぎるのだ。
野球選手としては”神”を凌駕するも、グラウンド外では、狂った裸の王様に過ぎなかった。大衆に与えた分を、そっくりそのまま補充するかの様に、全米中のいや世界中の女を買い漁り、飲みに呑み、食べに食べ捲った。
しかし、時と大衆とベースボールを支配した彼も、権力とルールと病魔には勝てなかった。
"ルースか?ルールか?"は常に議論となった。チームが負けると疫病神扱いされた。ファンもメディアも相手チームも、容赦なくルースを罵った。しかし、どんな時も子供を愛し、子供から愛された。子供は唯一の味方だった。
しかし、球界を去った後のルースは、”去勢された屍”に過ぎなかった。病を患うとあっという衰弱した。ルースから野球を取ったら何も残らなかった。
神は彼に野球の全てを与え、彼は野球の全てをファンに与えた。そして、神は彼から全てを奪い去った。ルースにとって野球こそが全てだった。野球を愛し、野球に愛された。これ以上の贅沢な人生が何処にあろうか。
最後に〜ルースの最後と今のアメリカと
こうして振り返ると、書いてて本当によかったと思います。編集し直す内に、あのベーブ•ルースが私の頭と魂の中で、鮮やかに蘇ってくるのです。
今のメジャーは、様々な”黒い話題”を抱え込んでます。経営システムの崩壊、薬物とステロイド、大金に群がるMLBと選手会、飛び過ぎるボール、球団間の極端な格差、マイナー球団の消滅、それにサイン盗み事件など。
しかし、それらブラックスキャンダル以上に深刻なのは、アメリカ社会のアメリカ人による”野球離れ”です。今やMLBは、社会の片隅に置かれる時代遅れの娯楽に過ぎません。
そんな中、当てにならない巨額な放映権に目が眩み、ごく一部のスター選手には大盤振る舞いです。チケットを勝って、贔屓のチームを応援しようとする時代が終わろうとしています。
TVマネーがMLBを支配し、選手を蝕みつつあります。”ベースボール文化の根幹を切り捨てれば、樹も腐り倒れる”という最も肝心な事に、MLB側も選手側も気付いてないようです。
今や北朝鮮やイランに爆弾を落とせば、世界が莫大な戦闘資金を援助してくれる時代は終りました。今やアメリカは自腹で自力で自らを復興するしかないのです。一昔前みたいに、世界が憧れる”新大陸”ではなくなりました。
今のアメリカを見てると、晩年のルースにそっくりです。
”自分すら管理できないアホな大統領に、国家や世界を監督できるのか?”
”サインすら出せないアメリカに何が出来るのか?”
そういう言葉が、世界の隅々から聞こえてきそうです。
うん実に良かった。
でも、スライダーは浮きっぱなしで、それだけがね。後は殆ど完璧で。アメリカを変えた男がルースなら、大谷には質が低下したメジャーを変えてほしいですね。
好き放題やれば、結果は付いてきそうですな。
メジャーも開幕し、大谷は思った以上に良かったですね。転んださんの予想通り、何も考えずにやれば通じるもんです。アスレチックスの貧打にも助けられた感はありますが、やはり100マイルを超える速球は何度見ても絵になります。
でも大谷のお陰でベーブルースが再び脚光を浴びる事は、ルースの熱狂的なファンにとっては嬉しい事ですね。
ブログもボチボチ再開しようと思いますが。どうなる事やらです。当初は週二回くらいでと思ってんですが。
因みに大谷ですが、私のブログと同様に、先は全くの不透明ですね(笑)。でも、マイナー契約でのメジャー挑戦ですから、プレッシャーは殆どない筈です。ブログと同様、アクセスや人気なんて気にせず好き放題やれば、そこそこの数字は残せるかと。ルースも好き放題やった結果、あれだけの偉業を残したんです。
勿論、ベーブルースとの比較になると、天と地ほどの差があるので、お互いが可愛そうです。でも、個人的には、LAAより、ルースを育てたBOSに行ってほしかった。東海岸のメデイアは発狂寸前だったでしょうに。
大谷は大丈夫でしょうか。
私的には少し無理っぽかなと思ってましたが、予想通りオープン戦では上手くいかなかったみたいで。
自慢の速球もオジギしてるみたいで、打つ方も小さくなってますが。ベーブルースと比較するのは構わないのですが、時代やレベルが違い過ぎるので、ピンとこないか。
象が転んださんも今のメジャーには懐疑的ですが、私も同感です。アメリカもMLBも随分と貧相になったもんです。
そういう意味で、”アメリカを変えた男”のベーブルースには、非常に愛着を感じますね。
象が転んださんも無理しないで、ボチボチ行きましょうね。
ホント、ルースは野球の全てを我々に与え、死んでいったのですが。
まさしく、野球界の巨人ですね。
彼を知れば知る程、ルースの時代の野球を見てみたかったですね。
今まで読んで下さって、どうも有り難うです。
とうとうルースの物語も終わりました。”ジョー俺はもうすぐ死ぬ!”の言葉にはジーンとくるものがあります。
転んださんが言ってる様に神様は野球の全てをルースに与えました。そしてルースはその野球の全てをお茶の間に与え続けたんです。
ルースもゲーリックもドイツ系で、ディマジオはイタリア系、初期のメジャーは殆どがアイルランド系とすると、野球というのは典型の移民の娯楽といえます。
彼を知れば知る程、その偉大さが滲み出てきます。