バカとは付き合うな〜インチキ占い師が私に突きつけた言葉

　久留米市のアーケード街に､ある若い占い師がいた。
　彼はいつも独り寂しそうにしていた。アーケードを通る度に目が合うから､不思議と他人には思えなかった。

　占い自体は殆ど信じないが､占い師には不思議と興味がある。
　皆が思ってる通り､殆どの占い師はインチキだ。いや全てといっていい。
　つまり､手相を見るふりをして､顔色や表情や身なりを実に注意深く観察する。勿論､占われる側は自分の手相に気を取られてるから､占い師の表情が確認出来る筈もない。
　占いもマジックも所詮はトリックなのだ。要は､インチキに見えない様に如何に巧く振る舞うかが､プロの匠の技となる。

　しかし､私がお世話になったインチキ占い師は全てを言い当てた。結果論だが､全てが当たっていた。
　それは､単なる偶然の重なりかもしれない。
　人の将来を100%見通すなんて出来る筈もないからだ。

インチキ占い師

　占い師にしてはとても若かった。
　20代後半だったろうか､よく顔を見ると典型の遊び人風で､社会経験も浅く､学もなさそうだった。
　私も同じくらいの年頃だった。差し出された紙に名前を書き､そして､手相を見せた。
　インチキ占い師は､しばらく深い思考に耽るフリをしてた様に思えた。
　どんなバカを言うのだろうかと､私は期待した。私もまた､世間知らずの愚鈍な田舎者だったのだ。

　”貴方は腎臓と腸と顔に弱点がある。特に刃物による怪我には気をつけた方がいい”
　占い師が私に発した最初の言葉だった。
　次に､”貴方は20代後半で､とてもいい伴侶に巡り合う。しかし､貴方よりバカだったら付き合ってはダメだ。大きな災いを招く”と言い放った。
　最後に､”貴方は親類や友人から恩恵を受ける事はまずない。むしろ赤の他人からの恩恵の方が多い”とトドメを押す。

　私は3千円を支払い､その場を後にした。
　こんな事なら､ド素人でも言えると内心アホ臭に思えた。

　しかし､その後すぐに私は腎臓結石を患った。病院には行かず､何とか自力で治したが､とても大変な思いをした。
　その1年後に､私はある女に恋をした。しかし､哀しいかなその女はバカだった(笑)。
　インチキ占い師の予言どおり､私は見事にその女に逃げられ､頭に血が上った私は大きな災いを自ら被ってしまった。
　つまり､この時点で占い師が予言した”腎臓とバカ女”の2つが､ピタリと的中した事になる。
　それでも単なる偶然とみなし､占い師の事を気に掛ける事はまずなかった。

的中した6つの予言

　その数年後､今度は大きな自動車事故を起こした。軽のバンは大破し､顔半分を民家の支柱に強打し､”顔面麻痺”確定だと思った。
　しかし､運良く目の上の切り傷だけで済んだ。
　実を言うと､”顔”の怪我はいつもの事である。幼稚園に入る前に兄と喧嘩をし､額を5針ほど縫う大怪我をした。食品工場勤務時は大型のドリルが顔を直撃し､口の中を大きく切った。
　これで､”腎臓と顔のケガとバカ女”と3つの予言が的中した事になる。

　残るは”便秘”と”刃物”と”親戚との縁”の3つだが､刃物による怪我は自炊をするのでよく指や手を切る。中学生の頃に､鉋で指を切り､大騒ぎになったし､カッターの刃が頬をかすめ､切った事も何度かある。　
　親戚との縁であるが､｢親戚なんかクソ喰らえ｣でも書いた様に､生まれた時から縁なんてものはなかった様に思う。
　”腸”に関しては､慢性の便秘がそれを見事に物語る。
　結局､”腎臓と顔とバカ女”と”刃物と親戚と腸”の6つの予言が､見事に的中した結果となる。
　かのノストラダムスですら､ここまで明確には予言できなかったろう。しかし､若きインチキ占い師はそれをやり遂げたのだ。

　しかし今になって思うと､あのインチキ占い師は私の事に興味を持ち､ずっと観察していたのかもしれない。アーケードで目が合う度に私を丸裸にしてたのかもしれない。そう考えれば､辻褄は合う。
　6つの予言のうち､腎臓･顔･刃物･親戚･腸の5つは徹底した自己管理で何とかクリアできる筈だが､バカだけは私の力だけではどうにもならない。
　バカはいつの時代にも身の回りに蔓延るし､避けては通れない現実でもある。

国民の7割はバカなのか？

　世論調査では(各社で若干の違いはあるが)､国民の4割が五輪開催に賛成し､3割が”できれば延期”､残りの3割が”中止すべき”とに分かれた。
　極論だが､日本人の少なくとも7割は五輪に理解を示し､”五輪開催とコロナ感染は関係ない”と考えてるのだろうか。
　この7割の人種をバカだと決めつけるつもりもないし､知能が低い人種と差別する気もない。バカでもいい人は沢山いるし､知能が低くても立派で偉い人も沢山いる。
　勿論､知能が高くてもバカはゴマンといるし､高い学歴を誇るも知能が低いのは一定の確率で存在する。

　ただ､大半の日本人が決まって口にするのが､”アスリートたちが可哀想”という言葉であり､”医療現場の苦悩”を理解してる人は殆どいない様に思える。　
　”五輪とコロナは関係ない”とか”五輪開催は正解だった”と叫ぶ人種を､バカと認定するのはあまりにも冷酷だろうか。
　しかし､以下のデータを見ればそう満更でもない。

　2013年のアンケートでは､実に7割近くが東京五輪開催に賛成し､明確に反対と答えた者は6.5％で､”どちらかといえば反対”(13％)を含めても､反対派は2割弱だった。
　つまり2013年の時点では､約7割の国民がオリンピック熱に浮かれ､フクシマの復興なんて頭にはなかったのだ。勿論､五輪開催が震災の復興に繋がると安易に考えた人もいたが､普通に考えれば解る事だろう。

　こうしてみると､日本人はお祭りや平和に浮かれ､危機を感知するのが弱い人種と言える。
　結局､誰かが何も言わなければ､コロナ渦みたいな稀有の感染災害がなければ､実に7割の国民がお祭りに浮かれてた事になる。
　残りの3割が賢いというつもりもサラサラない。しかし､IQ分布から見れば､IQ115以上は約20％で､平均(85~115)が約60％､それ以下が20％となる。2013年に五輪開催に反対した民が2割いた事を考えると､この2割はIQ115以上のボリュームと丁度重なる。
　但し､全体の6割を占める平均IQの層は浮動票みたいなもので､その大半が政府やメディアや時代の影響をもろに受ける。”五輪の賛成⇔反対”に揺れ動くのもこの層であろうし､政府やメディアが利用しやすいのもこの層であろうか。
　勿論､IQ115以上の国民でも五輪賛成はいただろうし､IQ85以下の国民にも五輪反対はいた筈だ。

バカが東京五輪を誘致した？

　私達は白人至上主義者と同様に､自分よりもアホな人種をバカ呼ばわりする。
　それは多くの場合は外れてるが､無視できない部分もある。しかし､平均的知能を持つ6割の人種が時代の流れやメディアに浮かれる事なく､しっかりとした考えを持ってれば､東京五輪の誘致も開催もなかっただろうし､フクシマの復興もコロナ対策もワクチン接種もスムーズに展開してた筈だ。

　滝クリの”オモテナシ”もアホ臭な浮かれた発言だったし､石原元都知事による五輪誘致は明らかな失策だった。リオ五輪での安倍のスーパーマリオは､世界中の笑いものになった。
　それでも”コンパクト五輪”が実行できれば､フクシマの復興へと繋げられた可能性もなくはなかったが､小池婆が都知事になった時点で泡と消えた。
　コロナ渦の不運もあるが､対策はいくらでも練れた筈なのに､内閣は緊急”自粛”宣言を要請するだけで何も解決しなかった。
　都知事や日本政府も含め､彼ら彼女らがどれ程の知能であるかは少なくとも暴露された訳だ。

　この平均知能の層がバカになるか賢くなるかで､日本の国力も変わってくる。
　一方で､IQ85以下の境界知能と呼ばれる層は､自覚症状さえあれば学習によりナンボでも知力を伸ばせるから､心配する程でもない。
　知能は磨いてこそ知力になりうるし､国家戦力にもなる。五輪を見て感動するくらいの知能では､世界とはとても戦えない。

最後に〜バカとは付き合うな

　菅政権は､”五輪に批判的でも､いざ競技が始まり､日本選手が活躍すれば盛り上がる”と踏んでたが､ある意味当たってはいた。
　事実蓋を開ければ､日本勢のメダル獲得は金27銀12銅17の計56個(8/7現在)で､金メダルの個数では中国とアメリカに次ぐ堂々の第2位である。それもかつての五輪大国ロシアの金20個に大きく？差をつけた結果となった。

　しかし､盛り上がりそうで盛り上がらないのが(東京大会だけでなく)昨今の五輪の現実である。
　今大会のTV(個人)視聴率が開会式の40％を除き､殆どが10％前後という現実を考えると､ある意味予想通りではある。
　事実､東京五輪開会式の米国視聴者数は約1700万人と､前回リオ五輪から36％減。7/27までの夜間の平均視聴者数もリオ大会に比べ42％減。
　結局､日本選手がこれだけ活躍しても盛り上がらないし､世界中は(特にアメリカは)もっと盛り上がらない。

　TV放映がオリンピックを膨大な舞台装置に作り上げたのは事実だが､所詮幻想は幻想に過ぎない。
　ラジオからテレビへ､そしてスマホへと､お茶の間の娯楽は進化した。
　しかし私も含め､日本島民の知能は勤勉から普通､普通から境界知能､そして知的障害へと退化しつつある。

　久留米市アーケード街のあのインチキ占い師がこの現状を見てたとしたら､何と思ってるだろうか？
　”原稿すらまともに読めないバカと付き合うのはやめなさい。災いを招くだけだ”とでも占うのだろうか？
　是非､今秋の総選挙の結果も占って欲しいもんだ。