象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

備えあっても憂いあり?〜寒波襲来と悲しいジレンマ

2023年01月26日 07時29分39秒 | お題

 福岡県でも、過去最強クラスの寒波襲来がやってきた。
 福岡市内のあるホームセンターでは、ヒーターやストーブなど、この土日に飛ぶ様に売れ、一気に品薄状態になり、その上、水道管の凍結を防ぐパイプカバーが全て完売したという。
 2016年1月、今回に匹敵する寒気が九州北部を襲った。福岡県内各地は大雪に見舞われ、高速道路は大部分が通行止めになり、さらに水道管の凍結や破裂が相次ぎ、県内では28市町村の約22万世帯で断水となる(Yahoo!ニュース)。
 しかし私は、この7年前の寒波を覚えていない。我が柳川市でも、ここ10年ほどは福岡市よりも大雪が降り、寒い事が多く、記録的な寒波が到来しても、それ程までに警戒しなかった様に思う。
 ”冬は寒いし、夏は暑い”
 それこそが自然の摂理だと割り切ってるせいか、よほどの停電や断水がない限り、パニックに陥る事もない。事実2年以上も続くコロナ渦も、私にとっては”どこ吹く風”と言えなくもない。
 それでも”備えあれば憂いなし”というリスク管理は必要だろう。しかし、日本人の度の過ぎた警戒心が時にはパニックを生む事もある。


そこまで買わんでも、エエやろ

 そういう私も、今回の記録的寒波に対し、最低限の備えをした。 
 水道や井戸水の凍結に備え、風呂桶をきれいに洗い、水を貯める。必要最低限の防寒対策として(直接の断熱効果はないとされるが)雨戸を閉めた。事実、エアコンの暖房が必要のない程に(幾分はだが)温かい気がする。
 後は、道路凍結に備え、3日分の食料を確保する。実は、1つ目(補足で述べる)と、この3つ目で調子が狂った。

 柳川よりもド田舎の隣町のスーパーだから、”そこまでは・・”とタカを括ってたが、加工食品の殆どが品切れになってた。
 ”そこまで買わんでもエエやろ”って怒鳴りたくもなる。
 ムラ社会の住人のクレイジーな程の買い溜めは日本全国共通みたいである。特にオバさん連中の買い物は半端なく、まるでゴソッと感の”一括買い”である。
 冠婚葬祭だけでなく、台風や寒波も彼女らにとっては自然災害が与えてくれる祭典なのだろうか。
 とりあえず、3日分のおかず(冷凍食品)を何とか確保し、柳川のスーパーに向かう。麺類が品切れだったらと心配したが、さすが柳川市である(大川市とは違う)。
 パンや惣菜らを除き、全てが揃っている。5食169円の激安ラーメンも健在で、これで飢え死にする心配もなくなった(冗)。
 が、日本酒・天ぷら油・卵などを買い足した為に2千円を軽く超えた。一昔だったら千円ほどで済んでたのに、ここに来ての急激な物価高は、ケチな私にとっても深刻である。
 50を過ぎて、(1食を2回に分けて食べる)1日2食が基本になったが、それでも物価高の為に食費が減る事はないし、むしろ増えている。
 ”とりあえず多めに買って”という戦略は取らない方だから、こうした緊急時にも買い溜めをした事はない。事実、台風で3日間停電した時も買い溜めはしなかったし、何ら不自由はしなかった。
 先日記事にした「引き算の思考」は緊急時にも大いに役に立つ。むしろ、買い溜めという足し算的思考の方がずっとパニックを引き起こす。

 つまり、囚人のジレンマで見れば、”多めに買っとけば安心”という買い溜めの支配戦略が集団心理として働き、食料や生活必需品は一気に供給不足となり、社会全体が窮地に陥る。
 これを社会的ジレンマいや、”買い溜めのジレンマ”と言おうか。
 やがて、日本人は(仕事を失った)アリみたいに彷徨い始める。昨晩の大川市のスーパーで見た日本人がそうだった。
 ムラ社会の住人らは自らを見失い、迷路に迷い込んだ隷属ように、最後に待ってるのは無駄買いによる社会的混乱という致命的な損失であるのだろうか。


最後に〜悲しいジレンマ

 ゲーム理論で言えば、ここ3日間は自宅待機が個人にとっても社会にとっても最適解であり、パレード効果である筈だ。
 しかし、日本人というムラ社会の住人は敢えて(仕事や用事を含め)不要不急の外出をする。まさに、個々が目先の利得を選択するが故の”囚人のジレンマ”状態であるが、悲しい結果に終わるのは目に見えている。
 駅前でタクシーを待つ男女の長い列を見ると、そういう思いが一層強くなる。

 記録的な寒波襲来で一番警戒すべきは、こうした我ら大衆の”悲しいジレンマ”なのかもしれない。
 つまり、とても寒い時もあればとても暑い時もある。ただそれだけの事だ。騒いだ所で暖かくなる筈もない。全ては自然の摂理なのだから・・・
 北陸に住んでる人からすれば、雪や寒さに弱い九州の人間は愚かに見えるが、全ては自然が与えた試練である。冬眠する亀や炬燵で丸くなる猫の様に、じっとしてやり過ごすしかない。
 記録的寒波もいつかは終わりが来るのだから・・・

 それにしても、今度の寒さは異常である。
 ”自然との協調こそが人類を救う”と説いた「森の生活」の著者デビット・ヘンリー・ソローだが、”寒さだけはどうしても無視できない”とも漏らした。
 同じ様に私も、寒いのは分かるが”あそこまで買わんでも”って言いたくもなる。


追記〜お湯が出たぁー

 と・・・ここまでは、何て事はなかったのだが、予想はされてた事だが、エコキュートの(給水配管ではなく)給湯配管が凍結し、何時間経ってもお湯が出ない。
 通常の凍結なら、1〜2時間ほど蛇口を開けとけばお湯が出たもんだが、昼の1時になり、暖かくなっても回復しない。数時間もすれば急速に冷え込み零下に達するというのに・・・
 早速、三菱のサポートセンターに電話するも、フリーコールは廃止になったらしい。仕方なく、有料の大阪事務所に電話し、”担当者に繋いでくれ”と少し強く言った。
 全く売る時はやけにしつこいが、サポートとなると簡単に背を向ける。
 すぐに担当者から電話が入り、”配管が凍結してるから、自然解凍しか他に方法はない”との事だ。
 まるでエコキュートには何ら問題はなく”配管に問題あり”との言い方だったから、”アンタらは何十回も勧誘に来て、その上、メンテと言ってしつこく太陽電池を売りつける。その上、担当者はコロコロ変わるし、サポートでは都合が悪くなるとあっさりと背を向ける。それは卑怯だ”と言うと、暫くして別の担当者から電話が入る。
 2人目の担当者は、凍結のしくみを詳しく明瞭に教えてくれた。エコキュートには給水・給湯・排水と3つの配管があり、給水は水なので凍結する事はないが、給湯管は蒸気や湯気を含むので凍結しやすくなるという。

 自分なりにサイトを調べ、お湯を掛けたりして快復を待ったが、一向にお湯が出る気配がない。3時近くになり、お湯が出るのを諦め、近くの銭湯に浸かる予定でいた。
 というのも晴れ間が覗き、道路凍結の心配もなく、夕方の冷え込む前なら大丈夫だと思ったからだ。それに明日も冷え込むが、昼間は結構暖かくなるから、(今晩さえ我慢すれば)明日の昼には復旧するだろうと楽天的になりつつあった。
 担当者も”(言われる通り)お湯は諦めて、ここ2日ほどは銭湯を利用するのがいいでしょうね。とにかく今回は特別ですから、自然には誰も勝てませんし、申し訳ありませんが、我々もどうしようもありません”と苦し紛れの回答だ。

 電話を切ると、電話で銭湯の混み具合をチェックし、洗面具の準備を始めた。が、その時、浴槽の水がチョロチョロと出始めたではないか。
 ”ひょっとしたら・・・”
 映画「アイ・アム・レジェンド」じゃないが、夕方になり日差しが隠れたら、給湯管は冷え込み、再び凍結する。お湯が出るとすれば日差しが振り注ぐ今しかない。事実、気持ち日差しが強くなってる気がする。
 辛抱強く待ってると、30分ほどしてお湯が出始めた。サポートセンターにはお礼を言い、お詫びと報告をした。

 早速、熱めのお湯に浸かり、朝8時から夕方4時までの格闘の疲れを全て洗い流す。
 田舎の銭湯とて、所詮は循環風呂に過ぎないし、貧相なお湯でも千円近くする。それに夕方は、仕事帰りや凍結の影響で風呂に入れない人たちで群がるだろう。
 ”お湯のある生活”これこそが究極の贅沢であり至福である。そういう事を改めで思い知らされた1日であった。
 食料の調達で少し無駄買いをしてしまったが、昨年末の井戸ポンプの交換や来月の車検で出費が嵩むから、記録的な寒波と言えど、余計な出費は排除したい。
 そう私は根っからのケチ、いや引き算思考なのである。

 言われた通り、(お風呂から上がった後に)浴槽のお湯をチョロチョロと流しながら、エコキュートを連続運転させ、早目の凍結予防策をとる。
 深夜はマイナス3度で、体感ではマイナス7度にも達した。まるで真綿で締め付ける様な寒さだったが、”お湯が出る”という安堵感だけで記録的寒波も吹っ飛びそうな勢いである。
 自分としては最低限の備えをしたつもりだが、食料や寒さに気を取られ、肝心の(当り前の様に使ってる)お湯だけがウカツだった。
 つまり、日常の当り前が当り前でなくなる時、人は簡単にパニックに陥る。
 今回の寒波襲来では、そういう事を思い知らされた。



6 コメント

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paulさん (象が転んだ)
2023-01-29 01:45:58
日本人は用事や出事が大好きな民族だから、こういう時はそうした特徴が顕著に表れますね。
もう頭の中は、待ち構えてるだろう最悪のリスクよりも出事をこなすのに精一杯で・・・
結局、大渋滞に遭い、必要緊急の外出は不要不急の外出になり果てる。

私の周りにも、こんな大寒波の中、親戚から披露宴の招待が来たからと勇んで出掛けようとした所、子供らからこっぴどく怒られたという人がいます。
私の所はそんなに酷くはなかったんですが、遠方はどうなってるか判らないんですよね。
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不要不急 (paulkuroneko)
2023-01-28 13:02:18
地震等は避けられない災害ですが、寒波は事前情報が有ります。
こうした情報がある無しでは、その後の展開に天国と地獄の差が出ます。
家で辛抱強くやり過ごすか、大丈夫だろうと決め込んで大博打に出るか。

外出には個々それぞれに理由があると思いますが、最終的判断と責任は自分次第です。
特に凍結の激しい地域では、SMSでもLINEでも何でもいいから、自治体で積極的に情報を流すべきだと思いますね。
こればかりは知らなかったでは済まされませんから。 
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UNICORNさん (象が転んだ)
2023-01-28 00:49:23
私は出不精なもんで、そういう意味ではこうした自然災害時は家でじっとしてる方なんで、パニックに陷るのは少ないですかね。
逆に、家でじっとしてられない人は結構トラブルに巻き込まれるんでしょうか。

コロナ渦の時も騒ぎを起こす人は活発系のタイプが多かった様にも思います。
通勤はともかく通学は全面禁止にしても良かったとは思いますが・・
何でもバカ正直な日本人というのも、こういう時は困ったもんですよね。
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生真面目さが渋滞を生む (UNICORN)
2023-01-27 15:41:20
凍結渋滞は、特に物流なんかで深刻な結果を生む。
各スーパーの食料在庫が枯渇し、タダでさえパニックに陥った大衆で混乱する。
不要不急の外出と言っても、物流の場合は中々止められない。

凍結渋滞の原因の多くが大型運送車のスリップ事故によるものだが、事故ると判ってて無駄に出勤や通学したがる日本人の生真面目さも問題だと思う。 
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りくすけサン (象が転んだ)
2023-01-26 13:27:58
北陸地方のシビアで慢性的な寒さを知らず、生意気な事を書いてしまいました。
ほんと九州の人間は寒さに弱いんですよ。
”最低限の食料さえ”と思ってたのが不運の始まりでした。
お湯の凍結は何度か経験してたので、ナメてた所もありましたね。

エコキュート自体はマイナス10度まで耐えられるそうです。寒冷地仕様というのは、もっと低い温度まで耐えられるんでしょうか。
言われる通り、1つ1つ備えを積み重ね、リスクを1つ1つ減らす。災害時は、足し算の思考が結果的に引き算の思考になる。

そういう私は”お湯がずっと出ない”という最大のリスクを忘れてました。
お陰で昨晩からお湯をチョロチョロと出し続け、今朝は快調です。
でも今日は1日中曇りらしく、体感的には昨日より冷え込みそうです。

りくすけサンこそ、お体を大切にです。
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象が転んだ様へ。 (りくすけ)
2023-01-26 09:55:02
お邪魔します。

滅多にない寒波の影響とは言え、
足掛け10時間あまりの
エコキュート攻防戦、お疲れ様でした。

ちなみにウチもエコキュートですが、
寒冷地仕様のお陰か特に問題なし。
もしそちらのようなトラブルがあったら、
大変だったと胸を撫で下ろしています。

さて、足し算の思考がパニックを起こす。
おっしゃる通りだと思います。
こと寒さに対して雪国の思考は、
「一桁足し算の連続」でしょうか。
一気に二桁三桁と足さず、
少しずつ買い足して冬に備える。
そんな感じかもしれません。

寒さはもうしばらく。
お身体ご自愛くださいませ。
では、また。
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