私は、先日、イヴァンカの事を”娼婦がお似合いだ”と書いた。しかし、その後修正した。明らかに失礼だし、言い過ぎだと思ったからだ。でも地球の裏側に、私と同じ様な事を言った、スーパースターがいた。
フランスで開催されてた女子ワールドカップは7/7、決勝のアメリカ対オランダが行なわれ、アメリカが2対0で勝利を収め、2大会連続4度目の栄冠に輝いた。
ミーガン•ラピノー発言の波紋と
今大会、アメリカ優勝の原動力となり、MVPと得点王(6得点)に輝いたミーガン•ラピノー。
彼女の発言が、アメリカのワールドカップ連覇以上に、大きな波紋と話題を提供してる。
大会中、優勝の際はホワイトハウスに招かれる事が恒例となっているが、どうするか?というメディアの質問に対し、
”糞ったれホワイトハウスになんか、行かないわ”と発言。この内容にも驚きだが、ベスト8入りの時点での発言に一層驚かされた。
優勝した勢いで、精神が異常なまでに高揚した状態での発言なら、十分理解出来る。彼女も人間だ、思ってた事がポロリと口に出る事はよくある。勿論、スピーチライターの入れ知恵もあるかも知れない。でも、これがトランプ政権に対する、アメリカ国民の共通した意見だろうか。
かつて、NBAのスーパースターだったマイケル•ジョーダンが大統領の恒例の祝賀会に招かれた時、”私には家族と過ごす時間の方が大切だ”とやんわり断った。その時、アメリカって凄い国だと思った。大統領より地位の高い人間が存在するんだって、感心した。でも当時アメリカでは、ジョーダンは神様扱いだったから、誰も驚かなかったが。
なぜ?トランプはこうも嫌われる?
アメリカでは、スポーツにおいて功績をあげたアスリートやチームがホワイトハウスに招かれるのが恒例が。トランプが就任してからは、訪問を拒む選手が増えた。これまでにNBAのスター、レブロン•ジェームズやステフィン•カリー、ケビン•デュラントらがホワイトハウスへの招待を断り、むしろ称賛を浴びた。
だが、アメリカの大統領って世界最強の権力者じゃないの?そんなに簡単に断れるの?日本人なら誰だって思う筈である。
もしこれが、日本だったら考えられんだろうね。例えば、首相の晩餐に呼ばれた金メダリストで、出席を断った者がいただろうか?
国民栄誉賞を辞退した”世界のイチロー”ですら、招待した安倍首相に対し、いくら悪くても”クソッタレ”とは言えんだろう。実際に安倍が、イチローを招待したかは不明だが。
そういう私も、万が一晩餐会に誘われたら、掌を返し、張り切って出掛けるだろうね(笑)。やはり日本には”礼儀”っていう文化があるから。心の中では”クソ野郎”と思いつつ、晩餐会では”いい子”を演じるだろう。それが日本人と言うもんか。
断るって行為は失礼か?称賛か?
かつて、ノーベル賞を受賞した大江健三郎氏は文化勲章を辞退し、波紋を呼んだ。ノーベル賞の受賞者は、文化功労者でなくても対象となるが、微妙に曖昧です。
辞退の理由として、”私が文化勲章の受章を辞退したのは、民主主義に勝る権威と価値観を認めないからだ。これは極めて単純だが非常に重要な事だ”と述べた。
一方、自国の勲章を断り、ノーベル文学賞を受けるのはなぜか?そうした問いに大江氏は、”スウェーデン国民から贈られたと言えるもの”と述べた。
ともあれ、日本では相手の招待を断る事は、失礼や無礼と見なされ、アメリカの様に自由にとはいかない。断るには、ちゃんとした理由が必要なのだ。
勿論、”クソッたれ”もちゃんとした自明過ぎる理由ではあるが。相手が相手なだけに、流石にアメリカっていう国は、”おマセな国”だなって感心する。
その一方で、日本も簡単に”NO”と断れる国民であったならとしばし思う。特に田舎では、相手の申し出を断るというのは自殺行為だ。最悪でなくとも、村八分や仲間外れになる。これがアメリカだと称賛されるから、不思議だ。
それでも、世界一の権力者に面と向かって、”クソッタレ”と言える、アメリカ大統領の本当の権限って何なの?って事になる。
大統領の権限って?
アメリカの大統領と言えば、世界一の権力者ってイメージが強いが、意外にもその権力の制限は知られてはいない。
「アメリカ大統領の権限とその限界」にも書かれてる様に、議会や司法の枠組みを越えて勝手な政策を自由に実行できないし、韓国の大統領よりも制約は多い。故に”お金と票で買える”大統領とも揶揄される。
つまり、大統領といっても”絶対的な権力”という訳ではない。基本的には”大統領令”と”軍事統制権”といった非常時の対応だけだ。
肝心の外交政策や法案は議会で作られるが、法案が通らねば予算も立てられない。故に、議会対策が大統領の重要な仕事になる。
実際、オバマ政権は中間選挙で敗北し、民主党が下院で少数派に転落した為、一期目後半から政治的な影響力を失った。
それ以外に、長官を罷免する権利と指名権を持つが、任命権はない。
一方、”核のボタン”を持つと言われるが、カバンの中に入ってるのは、核攻撃の選択肢一覧や本人確認の認証コードなどだ。
肝心の”軍隊の指揮権”に関しては、アメリカ軍は世界最強の軍隊であり、アメリカ大統領が最強の存在に感じられる。事実、国際法に反する”ならず者国家”に対し、挨拶代わりの巡航ミサイルを打ち込む権利を有する。
事実、2017年4月6日、トランプ大統領はシリアが化学兵器を使い、市民を殺傷した事を理由に、巡航ミサイルを59発打ち込んだ。
但し、長期に渡る大規模な軍事行動に関しては、膨大な出費が嵩む為に、予算の権限を持つ議会の同意が必要だ。つまり、大統領単独の意思で戦争を引き起こす事は出来ない?とされるが、湾岸戦争もイラク戦争も策謀&捏造されたものではある。
故に、アメリカ大統領が独断で実行できる実質上の軍事行動は、巡航ミサイル数十発を発射する程度の、古くなった兵器の在庫処分に限られる。
”大統領令”を発し、行政機関を動かすのも重要な権限だが、予算の掛かり過ぎる案件は議会の承認が難しい。故に、テロ対策など金の掛からない小規模な案件に限られる。
大統領”拒否権”という最強の武器
大統領の最高で最大の権利と言えば、”拒否権の行使”である。これも、意外に知らない人は多いでしょうか。
選挙により、大統領の所属の政党が上院と下院の両方で少数派に転落する事がある。当然、大統領の意に反する法案が可決されるが、これに対し拒否権を行使する事が出来る。
この拒否権の行使こそが、大統領の”最大の旨味”なのだ。一方議員にとって、この拒否権ほど恐ろしいものはない。時間を十分に掛け、何とか上下院での合意を得て作った法案が、アッサリと拒否されるのだ。故に議員たちは、この拒否権に怯えながら法案を練る。
議員にとり、大統領の”拒否権の脅し”は非常に有効なので、議員たちは大統領の意に沿う事を優先して考える様になる。”最高の旨味”とはこういう事だ。
勿論、拒否された法案の再可決は可能だが、過去の成功率は10%を下回る。
大統領が拒否権を行使し、議会と渡り合うのはアメリカ合衆国らしい光景だ。でもこの拒否権こそが、アメリカ政治の特徴なのだ。しかし実際にやっている事は、単なる”嫌がらせ”なんですが。因みに、日本には拒否権の条項がない。戦前の明治憲法では拒否権があったが、一度も行使される事はなかった。故に、日本は拒否権というものには縁が無い、”礼儀正しい”国だと言える。
結局、”NO”とは言えない日本人は、こういう所から来てるのだ。
トランプ大統領の苦悩
話を元に戻すが、ミーガン•ラピノーの発言に対し、トランプ大統領も黙ってはいない。
”私はアメリカ代表と女子サッカーの大ファンだが、ミーガンはしゃべる前に勝つべきだ! 仕事を遂行せよ!”
”ミーガンは我々の国、ホワイトハウス、あるいは我々の国旗に対し、決して無礼に振る舞うべきではない。彼女やチームの為に(我々は)多くをしてきたのだから。自分たちが纏う国旗を誇れ!アメリカは見事にやっている!”
何だか中途半端な発言にも聞こえるが、トランプにはこれが精一杯だったろう。
しかし、これには笑えないオチがある。事ある毎にTwitterを駆使するトランプは、重大なミスを犯したのだ。
”ラピノー(Rapinoe)”を批判しようとして、”ミーガン•ラピーノ(Megan Rapino)”という別人のアカウントを口撃してしまった(悲)。
慌てて修正したが、時既に遅し。間違えられたRapinoさんは、フォロワーが2人しかいなかったが、現在は3200名を超えた。アカウント名も”maybe megan rapinoe(たぶんミーガン•ラピノー)”に変わったそうだ(BBC)。
でも今回ばかりは、トランプさんの苦悩も理解できます。慌てて打ったツィートが全くの別人に届くなんて。全くツキにも”ゲイ”にも見放されたトランプ大統領。あんまりSNSを頼りにしすぎると、痛い目にあいます。
因みに、ミーガン•ラピノー(34)は同性愛者だそうで、同性愛者とのヌードも披露してる。
”ゲイ、万歳!同性愛者なしのチームで、優勝なんてできないわ。これまでだってずっとそう。私にとって同性愛者である事と、このW杯で輝けた事はとても素晴らしい”とも叫んだ。
気持ちは解るが、中年女が語ると少し侘しい気もする。
全くアメリカという国は、日本人からすれば”イカ”れた国なのか。自由も度が過ぎると、狂った結末に終わるのだろう。
政治屋は芸能やスポーツを利用して票集めするのに、スポーツ選手は芸能人ももっと政治屋の事をどんどんネタにすべきですかね。
ダメな政治屋は堂々とダメと言える環境が欲しいです。でも長い人類の歴史上、ゲイから”クソ”と言われた一国の大統領っていましたかね?
ハゲとゲイでもっと喧嘩して欲しいんですが。このテーマでブログ書きたくなりました(笑)。