コンステレーション計画
コンステレーション計画(Constellation program)はNASAが進めている有人宇宙機計画で、アレスIとアレスV打ち上げ機とオリオン宇宙船とアルタイル着陸機から構成される。これらの宇宙機は多様なミッションに適合し、国際宇宙ステーションの輸送や月着陸、火星湯人飛行にまでつなげる計画であった。ところが...
月有人探査計画を中止
オバマ米大統領は2月1日に発表した11会計年度(2010年10月~11年9月)予算教書で、20年までに月有人探査を目指す航空宇宙局(NASA)の計画を打ち切ることを明らかにした。
アポロ計画以来となる月有人探査は、2004年にブッシュ前大統領が発表した新宇宙戦略に基づく「コンステレーション計画」の柱だった。だが、次世代ロケット「アレス」の開発経費が膨らむなどし、実現が危ぶまれていた。
ホワイトハウス行政管理予算局(OMB)のオーザッグ長官は会見で「NASAの研究の軸足を、火星有人探査も視野に入れた長期的な技術開発に移す」と述べた。
月有人探査は、1972年、アポロ17号の2人の飛行士が月面に立ったのが最後。
国際宇宙ステーション(ISS)は運用を延長する。現在、ISSは予算上、15年までしか計画はないが、20年ごろまでは運用の見通し。風船のような構造物を設置して飛行士の居住空間を増やすことなどが想定されている。スペースシャトルの退役は11年までとし、その後は、民間のロケットも活用するとした。(asahi.com 2010年2月2日)
もっとイノベーションを!
せっかく「LCROSS」の成果で、月面に水の存在が確認され、宇宙開発に夢がふくらんだ矢先であったので、がっかりした人も多かった。しかし、宇宙開発についてすべてあきらめた、というわけではない。
2月3日、これについてNASAのチャールズ・ボールデン長官は「月探査計画中止は米国が宇宙への大志を捨て去ったことを意味するわけではない」と語った。
「これまで、コンステレーション計画に費やされた予算は、NASAがより一層歴史的な成果を達成するための道筋を作るものだ。なぜなら、イノベーションを推進し、新しい分野でアメリカ国民の雇用を創出し、さらには世界中の人々の関心を集めることになるからだ」と述べている。
ボールデン氏は次のように続ける。「想像してほしい。1年近くではなく、わずか数週間で火星まで行ける日が来ることを。人類が内太陽系に進出し、月、小惑星、火星の有人探査がほぼ同時に成功して、続々と歴史的偉業を成し遂げていく日を。しかも、これらすべてが世界中の国々の協力によって実現する日を。オバマ大統領の発表したNASAの新計画はこうしたことを可能にするものだ」。
オバマ大統領も、コンステレーション計画に代わって「われわれを技術革新と発見への新たな旅路へと駆り立てる、米国の創造力に投資する大胆かつ野心的な新宇宙構想」を立ち上げると語っている。
とりあえず、目先の月有人飛行計画が中止となると、日本の宇宙開発には影響はないのだろうか?
日本への影響は限定的
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の立川敬二理事長は2月10日会見し、米国が有人宇宙探査計画を中止したことについて「日本への影響はさほど大きくない」との見解を示した。
中止決定後の理事長会見は初めてで、立川氏は「米航空宇宙局(NASA)が有人探査を引っ張る形でなくなるかもしれない。日本が有人探査にどのような形で手を挙げるかが課題だ」と語った。
また、立川氏は1日にNASAのボールデン長官と電話協議したことを明らかにした。それによると、米国の今後の計画について、従来計画の目標(月や火星)に小惑星などを追加▽スペースシャトルに代わる有人宇宙船の調達先として、民間5社と契約▽国際宇宙ステーション計画より参加国の多い「国際宇宙探査協働グループ」を核に協力国の拡大--などの方針を示したという。(毎日新聞 2010年2月10日)
参考HP Wikipedia「コンステレーション計画」
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