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完全養殖が日本を救う!クロマグロに続きウナギでも成功!

2010年04月09日 | 環境保護

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 ウナギの完全養殖
 水産総合研究センター(横浜)は4月8日、ウナギの完全養殖の成功を発表した。まだまだ予算の面で、実用化には遠いそうだが、魚類を食用とする日本の将来にとって明るい話題である。
 
 先月行われたワシントン条約締約国会議で、大西洋・地中海産クロマグロの国際取引禁止案が否決された。このときは、日本のイルカ漁を批判した米映画「ザ・コーヴ」が米アカデミー賞を受賞したり、シーシェパード(SS)による南極海における、日本の調査捕鯨船妨害工作などの問題があり、魚やクジラを重要なタンパク源とする日本人にとって、危機感を感じた中で行われた決議であった。

 今回は否決されて、日本人として「ほっ」としたところであるが、いつ同じような問題が起きるとも限らない。世界の利害が絡んでいる国際条約では、どんな提案が出てくるかわからない。日本の常識が世界では通用しないことを肝に銘じておかねばならない。

 日本、国際条約で窮地に
 マグロを取らないことは、欧米にとっては環境保護にもつながるが、日本にとっては即食糧危機になる。魚の値段が高騰する可能性もあった。問題はそれだけではない、魚を食べないと変わりにタンパク源として肉を食べることになる。そこには食肉輸出国の利害が絡んでくる。米国やオーストラリアは牛肉を売って利益を得たい。

 江戸時代末期の日米通商条約のような「不平等条約」に調印するようなことだけは避けねばならない。国民は今回の問題をどのくらい理解していたのだろうか?

 「自分とは関係ないけど、マグロ食べられてよかったぁ」...ぐらいでは情けない。「自分は、みんなのために何ができるか」を1人1人考えてほしいものだ。現代日本は、戦後65年間続いた憲法9条により、自分の国を自分で守ったことのない国民を大量につくり出した「つけ」が回ってきているように思う。

 だから、平気で「米軍の基地は日本にいらない」という首相は出てくるし、子供達の夢というと、芸能人、プロスポーツ選手、マンガ家、ゲームクリエイターなどの人気が高い。もちろん、それも人の役に立つ立派な仕事であるが、ひとりひとりが、多様な職種で世界のトップレベルをいくつもりでないといけないといけない。

 日本は技術立国を続けるべき
 自民党だった与謝野氏、石原氏らが、政党「たちあがれ日本」を結成した。さすがに、今回の問題では危機感を持ち、日本の国は日本人が守らなくては...と思う人も出てきている。しかし、年を取りすぎた政治家だけではどうにもならない。

 今回はたまたま、中国や東南アジアなどでマグロを食べる人が増えたこと、アフリカや欧米でマグロの養殖で生計を立てている人が多かったこと、などが理由で輸出禁止にはならなかった。

 しかし、次の日本のありかたを考えなければならない。軍事力で他国に対抗することなく、平和にレベルを落とさずに生活したいのならば、これまで通り、先端技術を開発しなければならない。幸い国土は狭いが、日本には広い海がある。海洋技術を開発することが急務である。

 海洋には資源が多い、地下資源もそうであるが、生物資源も重要である。クロマグロの完全養殖には近畿大などが成功している。今回のウナギの完全養殖の成功は、ひさびさの明るい話題である。いったいどのように養殖するのであろうか?

 完全養殖の必要性 
 水産総合研究センター養殖研究所と志布志栽培漁業センターで、実験室生まれのウナギ稚魚を育て、2~5年後成長した親魚から人工授精で受精卵を得、ふ化させた。生まれた仔(し)魚は、ふ化から6日後の4月2日に餌を食べ始め、その後、順調に成長している。

 外国ではウナギを稚魚にまで育てることにすら成功していない。人工ふ化した仔魚から育てた親から人工飼育下でさらに仔魚を得るという完全養殖は、ウナギでは初めて。ウナギ資源の保護と共に「鰻(うなぎ)」という日本の大事な食文化を守る重要な技術になる、と水産総合研究センターは今後の研究の進展に期待している。

 ウナギの生態は長い間謎となっており、ようやく近年になって産卵場所が日本列島から遠く離れたマリアナ諸島沖の西部北太平洋付近の深海であることが、東京大学海洋研究所や水産庁の調査でほぼ突き止められた。

 商品となっている鰻は、産卵場所からはるばる日本列島にやってくる天然ウナギの稚魚(シラスウナギ)を採取して、養殖場で育てられているのが現実だ。このため毎年、シラスウナギの採取量によって養殖業者の経営が左右される状況が続いている。特に昨年はシラスウナギがシーズン当初、極端な不漁となり、養殖に必要な量を確保できるか心配された。 (サイエンスポータル 2010年4月9日)

 

参考HP 水産総合研究センター「世界初!ウナギの完全養殖ついに成功!」・アイラブサイエンス「ワシントン条約マグロ禁輸案否決」「クロマグロ問題の背景

うなぎを増やす (ベルソーブックス)
広瀬 慶二,日本水産学会
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近畿大学プロジェクト クロマグロ完全養殖
熊井 英水,宮下 盛,小野 征一郎
成山堂書店

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