福島第一原発事故の報道で、『科学的』と言う言葉をよく耳にします。
果たして科学とは何か?万能なのか?
『科学』とは何かを調べてみるとさまざまな解釈があるようです。
(wikipedia参照)
* (広義)体系化された知識や経験の総称。
* (広義)自然科学、人文科学、社会科学の総称。
* 自然についての体系的知識[1]。
* 自然科学。
* (狭義)科学的方法に基づく学術的な知識、学問。
etc.
『現在分かり得る確実な法則』と言い替えてもよいのでしょうか。
さて、私が研究しているインド哲学は、一部の科学者は自身の研究のヒントにすることもあります。
今から約2500年前にまとめられたインドの叙事詩の中で、次のような一節があります。
『アシュヴァッターマンは、その言葉に烈火の如く怒り、戦車の上で丁寧に口をすすぎ、煙のない炎のような輝きに満ちたアグネーヤ(火箭)をマントラとともに発射した。無数の矢は空を覆い炎に包まれアルジュナの頭上に落下した。ラークシャサ、ピシャーチャたちは大声で騒ぎ立ち、不吉な風が巻き起こり、太陽は光を失った。カラスの群れはいたるところで啼(な)き騒ぎ、雲は雷鳴を轟かせ血の雨を降らせた。鳥も獣も聖者たちも心安まらず、天地は波立ち太陽は逆の方位に向かった。アグネーヤの力に恐れ戦(おのの)いた象やその他の生物は突然駆け出し、必至にその下から逃げ出そうとする。外界の水は熱せられ、水棲動物は熱に灼かれ暴れ回る。一面の空から落下するアグネーヤ矢に灼き焦がされた将兵は、炎に包まれた樹木さながらに燃え上がり次々に倒れていった。象も馬も戦車も山火事に遭った樹々のように燃え、悲鳴を上げてのた打つ。それはまさにユガ(世界の時間)の終わりに一切を焼き尽くすサンヴァルタカの火のようであった。』
山際素男氏 翻訳 『マハーバーラタ』より引用
これを「古代に核戦争が起こったのでは?」と言う人もいます。
『われは死神なり、世界の破壊者なり』と言ったのは、史上初めて原子爆弾を製造した物理学者オッペンハイマー。
これは、ヒンドゥー教の教典『バガヴァッド ギーター』からが引用したものです。
これらは『非科学的』な叙事詩からの引用です。
しかし、物理学者や化学者など理工系の人々がインド哲学に興味を持ち探求するのは、そこに自然科学の真理が隠されているからかも知れません。
今、日本で起こっているさまざまな事象は、『想定外』のことではなかったかも知れないと思うのです。
yamabech@MAYURA