![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/f6/ab86219ca4bd3e7dafc717ce73fef30c.jpg)
プロローグは脳機能(主として前頭葉)の医学的な解説から入る。切断してなくなった四肢が感じる疼痛やかゆみは自然に備わった自己防衛機能である。
こういった解説は面白かった。
これが、それから始まる物語の背景になっている。
車の事故にあった医大生はショックで一過性の記憶喪失になり、重度の欝状態に陥る。
最新の医療技術で磁気治療を受ける。
しかし事故当時いったいなにがあったのか。
車の同乗者は恋人だったのか、彼はどうなったのだろう。
治療の効果が出て欝は回復に向かうが、恋人の幻が現れる。
そんなストーリなのだが、脳機能の医学的な解説は、SFの形を取ったファンタジー小説には科学的な根拠を与えること、これがしっかり書かれていないと興味は半減する。
そのところはいい。
でも、ストーリーは全く浅く、食材はいいがまずい料理を食べた感じだった。
大御所と呼ばれる作家の作品にしては、映画化、映像化の前の前振り的な軽い読み物になってる。
三角関係かなという思わせぶりな女性たちは消えてしまった上、重症で一ヶ月の入院に親は顔を見せず弟を通して状況を聞くだけ。
高額治療費は、同じ医科大の内部処理で済ませたのか。治療機器も付き添いなしで自由に行わせていいのか。常時個室で看護師が付き添うと言うようなことはあるのか。
などと疑問点が多い。
100ページあたりで後の展開が見え、少し進むと最後は二通りの解決があるだろうと予想がつく。
面白い題材なのに、期待も大きかったのに残念だった。
400ページほどだが、会話は一行で改行されているし読みやすくてすぐに終わった。
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