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「果断」 隠蔽捜査2  今野敏  新潮文庫

2014-06-13 | 読書

山本周五郎賞 日本推理作家協会賞


竜崎は、息子の不祥事で大森署に移動になる。
署長になっても、前例を引くまでも無くわが道を行く。部下たちはまごまごするが、困らせることが本意ではない。竜崎も少し譲り新しい任地は動き出す。

高輪の強盗事件で大森署でも緊急配備をしいた。ところが犯人たちはそれをすり抜け、先で待機していた機捜が身柄確保をした。
どこであっても捕まえればいいことだ。ではすまなかった。
友人の伊丹捜査部長から、管理官に手を回し穏やかに収めようとするが、勇みたって管理官が来るというので、緊張している署員に竜崎は言う。

「驚くことはない、向こうが無茶をいってきたんだ」
「所轄が方面本部や本庁に楯突くことはまずありません」
「警察組織と言うのは、上位下達が基本だ。軍隊と同じで、上の作戦を現場が滞りなく遂行することが第一だ。そういう意味では、所轄は、うえの指示に逆らったりしてはいけない。だがね、上が明らかに不当なことを言ってきている場合は別だ。方面本部の管理官の面子など、職務上意味がない」


近隣のパトロールに出ていた地域課の報告で、小料理屋で喧嘩が有ったらしい。開店も遅れている。
それが緊配に引っかからなかった犯人の一人か。
訪問しようとした係員に向けて二階から発砲された。逃げた強盗のうちのひとり、実行犯だろう。人質をとって立てこもったのだ。
強行犯係が来る、
先に捕まえた仲間が言うには、引き籠り犯は10発以上の銃弾を持っているという。

竜崎は署員のとめるのも聞かず現場に出る。

SITも出動、SATも出てくる。
大森署はSITの指揮下に入った。SITは人命を尊重し、時期が来るまで説得し調査し、解決しようとする。竜崎はSITの小平係長の指揮下に入る。
しかし犯人はまた発砲し、時間切れと判断して、SATが突入となり、竜崎は狙撃命令を出す。

犯人は射殺され人質は救出される。事件は無事解決。のはずだったが。

犯人が持っていた拳銃には弾が入っていなかった。

それについての情報は事前に確認した。その上での突入、狙撃命令だったが、空砲を撃った犯人を射殺したことは問題になる。

事件は混乱してくる。

そのとき、竜崎に酷く反感を持っているはずの戸高が、経験上なにか腑に落ちない点があると言ってくる。竜崎は再調査を許可する。




面白かった。竜崎の家では奥さんが救急車で運ばれ、家庭に疎い竜崎は困ってしまい娘や息子の助けを借りる。次第に家族のことを考え直す。人並みに妻のストレスに気が付いて家族を思い遣る気持ちが沸いてくる。


官僚の社会から話は主に地方警察の内部に移るが、竜崎のぶれない気持ちは健在であり、そこに家族の話も加わって、少しやわらかい風味が増してきた。

「SIT」は「捜査一課特殊班」の頭文字だそうだ。覚えやすい(^^)


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