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「ゴーン・ガール」上下 ギリアン・フリン 小学館文庫

2014-05-19 | 読書
 



この本は「イヤミス」と呼ばれているらしい。「嫌ミス」なのだろうか。そういえばいや~な感じの言葉満載。放送禁止用語、それも飛びっきりの下品な言葉で埋まっているが、なんと慣れるとは恐ろしい、読んでいるうちに気にならなくなってくる、やはり、言いにくい言葉は最初の一言を我慢することだな何事につけても(自戒のひとこと)読書は役に立つ(^^)

上巻の帯「虚栄、裏切り、復讐、憎悪、そして嘘、読んだ後まで、あなたの心は操られ続ける」
下巻の帯「誰もが持っていて、隠しておきたい嫌な感情が、これでもかというほど濃密に描き出される」

誰が考えたのだろう、これを読むと気の弱い人は伸ばした手を引っ込めるかもしれない。

私は、もうこのくらいで驚かない、ホラーでもスリラーでも、気の毒な主人公が崖っぷちに追い詰められようと切り刻まれようと、登場するのが、ハンニバルでもドラキュラでも食人種でも、読ませていただきますと、血も涙もないミステリー好きの読書欲には負けてしまって、何でもあり、面白ければいい('-'*)
というわけで、面白かった。

夫婦が書いたそれぞれの日記には、ウラの顔が書いてある。妻はまさに虚栄と自己欺瞞に満ちているが、浮気までしていた夫は事件後の心境がなんとも生なましい。

夫ニックはニューヨークでライターをしていたが失業、性格診断クイズを作っていた妻も職を失った。
ニックの母親が病気、父は認知症になったので、二人はニックの故郷に帰ってくる。そして結婚5年目の記念日に妻が失踪した。ふっと消えてしまった。
キッチンに大量の血痕があり、部屋は荒らされていた。アリバイが無いニックは警察の取調べを受ける。

エイミーは両親が書いた小説のモデルで、その本は成長記録のように続いて出版され、初版はベストセラーになり、印税で裕福な暮らしをしてきたが、最近は売れ行きもさっぱり、両親は借金がかさんでいる。

二人は会った途端に恋をして結婚したが、今では憎みあうまでになっている。

嫌疑のかかったニックは全く無実が証明出来ない。妻の日記は無邪気で真実味があふれ、いまだに冷めないニックへの溢れるような愛情が綴られていて、容疑が深まるばかり。マスコミは、「あの小説のモデルが失踪!!」と騒ぐ。

下巻には
真の恐ろしい迷宮があるとすれば、それは合わせ鏡のようなものだろう。出口なき世界のなかで、ひとつに解け合う現実と虚構。そこに映し出されているのは、自分なのか、相手なのか。交錯する視線の中に浮かび上がる真実とは。虚栄心、嫉妬、保身、裏切り、敗北感、復讐心、欺瞞、執着、支配欲、憎悪、そしてそこから生まれる嘘、嘘、嘘・・・・。誰もが持っていて、そして出来れば蓋をして隠しておきたいとおもうありとあらゆる嫌な感情がこれでもかというほど濃密に描き出される
これでもかこれでもかというような訳者あとがきより

帯とダブル部分があるが、上巻は多少ほほえましい結婚の経緯や暮らしぶりも書かれていて、平坦な日常が進んでいく。が、下巻で様相が変わり、すばらしい構成に嵌められる。それもストーリーの何気ない進行がやがて不気味さを見せ始め、緊張感がある。ベストセラーになり映画化もされるという、もう少し短く出来るかなと思う部分もあるが、読みやすく、嫌、嫌といわれる事も売り文句のように感じるくらいで、それほど気にもならなかった。面白かった。

この本は予備知識があると全く面白くない。
あとがきにも、本編を読んでから読んでください、というほどで、感想も帯や解説を引用させてもらった。

映画化され、ニックはベン・アフレックとか。女優さんは知らない人だった。


こういうのに、小泉喜美子さんの「弁護側の証人」がある、歴史に残る名作だと思ったが、あらすじも感想も書けない。ただそんなに厚くない文庫でもう一度読み返したいと思うが、結末を覚えている間は無理かなと思っている、忘れるのもそんなに長い時間はかからないと思うけれど(笑)




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