Cape Fear、in JAPAN

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映画スタッフ別10傑(18)マイケル・チャップマン

2021-06-19 00:10:00 | コラム
~マイケル・チャップマンのキャリア10傑~

去年の秋に鬼籍に入ったチャップマンは、キャリア初期にスコセッシ二大傑作の撮影を担当。

『タクシードライバー』(76)をスクリーンで拝んだのは、上京後の名画座だった。
高校生のころ、ビデオテープが擦り切れるほど観ていたはずなのに、まるで初見のような衝撃が走った。

すでに知っている物語にではなく、ビデオ映像とフィルム映像のちがいに。
夜のニューヨーク、ヘッドライトやネオンの光が、こんなに眩かったのかと。

なにひとつ観てなかったんじゃん!! と自分を恥じた。

もうひとつの傑作は権利が複雑なのかな、いちどもリバイバル上映されていない。

あぁスクリーンで拝みたいな、たとえデジタル上映だったとしても、家で触れるものとはまったくちがうであろうから。





(1)『タクシードライバー』(76)

いってしまえばすべてが名シーン、
敢えてひとつ挙げるとするならば、ベッツィに振られたトラビスが電話をかけるシーンかな。

カメラがゆっくり横移動して無人の空間を映し、孤独感が強調されている。


(2)『レイジング・ブル』(80)

リングのなかを所狭しと動きまくるカメラワーク、チャップマンはこれでオスカーを取るべきだった。




(3)『逃亡者』(93)

逃亡/追跡シーンがすべてシャープなのは、監督というより、たぶんチャップマンの手腕によるもの。


(4)『真実の行方』(96)

エドワード・ノートンの演技が絶賛された法廷劇。

カメラの動きがおとなしめなのは、ノートンの演技を際立たせるためでしょう。


(5)『ロストボーイ』(87)

吸血鬼の物語を80年代のノリで創ってスマッシュヒット。


イメージにないかもしれないが、シューマッカー監督ってカメラの構図や照明にすごくこだわるひと。

チャップマンもやりがいがあったと思う。


(6)『ラスト・ワルツ』(78)

ザ・バンドの「たいへん豪華な」解散コンサートをスコセッシ指揮のもとに撮影した記録映画。

チャップマンもおつかれさまだが、それ以上に編集が大変だったと思う。




(7)『3人のゴースト』(88)

有名なスクルージの物語を現代風にアレンジした、リチャード・ドナー監督作。

この映画を観ても分かるが、チャップマンは夜を捉えるのがバツグンに巧いです。


(8)『マッド・フィンガーズ』(78)

あまり知られてないが、これはよいよ!
カイテルの狂いっぷりに痺れましょう。




(9)『マイ・ライバル』(82)

アスリートのドラマに同性愛の要素を落とし込んだ、なかなかの野心作。

スローモーションを多用した競技シーンが素晴らしい。


(10)『さらば冬のかもめ』(73)

ジャック・ニコルソンが主演した「最後のほうの」ニューシネマであり、チャップマンにとってのカメラマン・デビュー作でもある。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(379)』
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