新作映画やドラマ、小説については意識的に取り上げてこなかったが、ここのところ怒涛のごとくゲージツに触れているので、一気に紹介してみよう。
某日―。
つーか一昨日のことだが、テレビ朝日による黒澤のリメイクドラマ『野良犬』を観る。
あまりの酷さに終わらない拷問を受けている気分になった。
若い刑事が拳銃を盗まれた。
ベテラン刑事と組んで犯人を追う主人公はやがて、犯人もまた自分と同じ復員兵であることを知る―というのがオリジナルの筋。
「もはや戦後ではない」から復員兵同士という設定を同級生にした、、、ところまでは分かる。
でも理解出来るのはそこだけで、演者―江口洋介、永瀬正敏、ヒロスエ―が気の毒になるくらい安くてリアリティのない展開に、頭がくらくらしてきたのであった。
開局55周年だがなんだか知らないが、先にこっちを観て「オリジナルも、こんなもんなんだ」と思った若い映画小僧が現れたとしたら、どう責任取ってくれるんだ。
某日―。
ふだんは発表前に候補作すべてに触れておく芥川賞、今期だけは時間が取れず、ほぼ読んでいない状態だった。
というわけで、受賞作『abさんご』をソッコーで読んだ。
美しい!
受賞者が最高齢であったことから、そればかりが話題になってしまっているけれど、とりあえず本文にも触れてみないと。
横書きで平仮名多用の独特の文体は多少の違和感はあるが、慣れてくると気持ちよくなる。
読み終えた感想は、そりゃ、これは取るでしょう・・・だった。
商業作家をあきらめてコツコツ書いてきた受賞者には頭が下がるが、このひとを発掘した蓮實重彦はやっぱり凄いんだなと感心した。
某日―。
森美術館で開催されている会田誠の個展、『天才でごめんなさい』を鑑賞する。
エロと少女を描くことが多いひとなので気になってはいたものの、ちゃんと作品と対峙してみるのは初めてだった・・・が、ヤラレタのヒトコト。
残酷なファンタジーというか、この世界観は、やっぱり好きだ。
知らないひとのために代表作をリンクしておくが、公序良俗に反しているのかもしれないので、そういうものを見たくない・・・というひとは、クリックしてはダメよ。
これ
某日―。
テディベアと、いいトシこいた男が本気の殴り合いをする米産映画『テッド』を鑑賞する。
実際に上に記したシーンがハイライトではあるが、鍵はオタク的会話にあり、そういう意味ではこの映画も「タランティーノ以後」なのだと思う。
米産ポップカルチャーに造詣が深ければ深いほど楽しめる―そういう作品。
某日―。
日本産の3D映画『フラッシュバックメモリーズ 3D』を鑑賞する。
エポックメイキングな映画―というのは、たぶん、作品が発表されてから少し経過したあとに「あれがそうだったか」と気づくのが「ふつう」のような気がする。
ヒッチコックの名画やキューブリックの衝撃作はそんな風にして映画史に刻まれたはずだが、
この作品、触れた途端に「きっと、そうなる」という確信を持つことが出来た。
木管楽器ディジュリドゥを奏でるアーティスト、GOMA。
彼は交通事故により高次脳機能障害を患い、いま現在も記憶障害に苦しんでいる。
そんな彼のライヴ復活を追う、技ありのドキュメンタリーである。
「3D技術の特色を最も活かした映画」を挙げるとするならば、
この映画に出会うまではスコセッシの『ヒューゴ』(2011)であり、それはしばらく変わらないもの、、、だと勝手に決めつけていた。
の、だが。
GOMAの現在(前方)と過去(後方)を同一画面で表現してしまう手法は3Dならではで、そうか、こういうことも出来るのか! という大きな発見があった。
3Dというと、なんとなく「飛び出すもの」だと解釈しがちだが、じつは「奥行きを生み出すもの」であり、『フラッシュバックメモリーズ 3D』は、そこをうまく突く。
音楽好きは薦めなくても観にいくだろうが、
(ここ数年の)3D映画に「がっかりしたひと」も多いと聞くので、これを観ることを強く薦めておきたい。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『にっぽん男優列伝(180)坂上忍』
某日―。
つーか一昨日のことだが、テレビ朝日による黒澤のリメイクドラマ『野良犬』を観る。
あまりの酷さに終わらない拷問を受けている気分になった。
若い刑事が拳銃を盗まれた。
ベテラン刑事と組んで犯人を追う主人公はやがて、犯人もまた自分と同じ復員兵であることを知る―というのがオリジナルの筋。
「もはや戦後ではない」から復員兵同士という設定を同級生にした、、、ところまでは分かる。
でも理解出来るのはそこだけで、演者―江口洋介、永瀬正敏、ヒロスエ―が気の毒になるくらい安くてリアリティのない展開に、頭がくらくらしてきたのであった。
開局55周年だがなんだか知らないが、先にこっちを観て「オリジナルも、こんなもんなんだ」と思った若い映画小僧が現れたとしたら、どう責任取ってくれるんだ。
某日―。
ふだんは発表前に候補作すべてに触れておく芥川賞、今期だけは時間が取れず、ほぼ読んでいない状態だった。
というわけで、受賞作『abさんご』をソッコーで読んだ。
美しい!
受賞者が最高齢であったことから、そればかりが話題になってしまっているけれど、とりあえず本文にも触れてみないと。
横書きで平仮名多用の独特の文体は多少の違和感はあるが、慣れてくると気持ちよくなる。
読み終えた感想は、そりゃ、これは取るでしょう・・・だった。
商業作家をあきらめてコツコツ書いてきた受賞者には頭が下がるが、このひとを発掘した蓮實重彦はやっぱり凄いんだなと感心した。
某日―。
森美術館で開催されている会田誠の個展、『天才でごめんなさい』を鑑賞する。
エロと少女を描くことが多いひとなので気になってはいたものの、ちゃんと作品と対峙してみるのは初めてだった・・・が、ヤラレタのヒトコト。
残酷なファンタジーというか、この世界観は、やっぱり好きだ。
知らないひとのために代表作をリンクしておくが、公序良俗に反しているのかもしれないので、そういうものを見たくない・・・というひとは、クリックしてはダメよ。
これ
某日―。
テディベアと、いいトシこいた男が本気の殴り合いをする米産映画『テッド』を鑑賞する。
実際に上に記したシーンがハイライトではあるが、鍵はオタク的会話にあり、そういう意味ではこの映画も「タランティーノ以後」なのだと思う。
米産ポップカルチャーに造詣が深ければ深いほど楽しめる―そういう作品。
某日―。
日本産の3D映画『フラッシュバックメモリーズ 3D』を鑑賞する。
エポックメイキングな映画―というのは、たぶん、作品が発表されてから少し経過したあとに「あれがそうだったか」と気づくのが「ふつう」のような気がする。
ヒッチコックの名画やキューブリックの衝撃作はそんな風にして映画史に刻まれたはずだが、
この作品、触れた途端に「きっと、そうなる」という確信を持つことが出来た。
木管楽器ディジュリドゥを奏でるアーティスト、GOMA。
彼は交通事故により高次脳機能障害を患い、いま現在も記憶障害に苦しんでいる。
そんな彼のライヴ復活を追う、技ありのドキュメンタリーである。
「3D技術の特色を最も活かした映画」を挙げるとするならば、
この映画に出会うまではスコセッシの『ヒューゴ』(2011)であり、それはしばらく変わらないもの、、、だと勝手に決めつけていた。
の、だが。
GOMAの現在(前方)と過去(後方)を同一画面で表現してしまう手法は3Dならではで、そうか、こういうことも出来るのか! という大きな発見があった。
3Dというと、なんとなく「飛び出すもの」だと解釈しがちだが、じつは「奥行きを生み出すもの」であり、『フラッシュバックメモリーズ 3D』は、そこをうまく突く。
音楽好きは薦めなくても観にいくだろうが、
(ここ数年の)3D映画に「がっかりしたひと」も多いと聞くので、これを観ることを強く薦めておきたい。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『にっぽん男優列伝(180)坂上忍』
イジメとかに脚本家や監督の趣味で ブレてしまい不自然な展開
見事にオリジナルの良さを殺して別作品になっておりました