Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

映画スタッフ別10傑(17)ロジャー・ディーキンス

2021-06-10 00:10:00 | コラム
~ロジャー・ディーキンスのキャリア10傑~

コーエン兄弟やサム・メンデスが全幅の信頼を寄せるディーキンス(72歳)は、現役カメラマンのなかで自分が最も野心的だと思うひと。

なぜこんなに力強く、美しい映像を撮ることが出来るのだろうと作品に触れるたび思う。

「ずっと無冠」でありつづけたテクニシャンは、2017年にやっとオスカーを手にする。
感動するとともに「おせーよ!」と憤りを覚えたが、その2年後に再びオスカーを獲得。

協会が、「なんかすいません!」と謝っているんじゃないかと思っちゃったよ笑


※ディーキンスの世界とは




(1)『クンドゥン』(97)

スコセッシがダライ・ラマ14世の半生を描く。

インド亡命シーンだけでも触れてほしい。



(2)『バートン・フィンク』(91)

コーエン兄弟との初タッグ作。

それまで組んでいたバリー・ソネンフェルドが監督業に進出したため、新たなパートナーを見つけたという流れだが、ここまで完璧な相手が見つかるものだろうか。


(3)『1917 命をかけた伝令』(2019)

全編ワンシーンワンカットで撮った「かのようにみせた」力作。

戦闘機が落下するシーンばかり取り上げられるが、白眉は夜の描写では?



(4)『砂と霧の家』(2003)

やるせない物語がクールな映像によって、やるせなさ二乗。


(5)『007 スカイフォール』(2012)

ほかのボンド映画と、手触りがちがうもんね。

メンデスの演出力もあるが、それよか、映像濃度でしょうよ。




(6)『ショーシャンクの空に』(94)

9割を占める刑務所シーンでの暗さが効いていて、きらきらしたエンディングがさらに引き立つ。


(7)『ビッグ・リボウスキ』(98)

なんだかよく分からない映画なのに、なぜか異様にファンが多いコーエン兄弟監督作。

ディーキンスは肩の力を抜きつつ、最高のテクニックを披露。



(8)『シド・アンド・ナンシー』(86)

シド・ビシャスの半生を描き、ティーンエージャーに愛されつづける音楽映画。

ディーキンスの映像、まだ個性が開花しているとはいい難いけれど、そこがとっても新鮮です。


(9)『バーバー』(2001)

コーエン兄弟がモノクロームに挑戦。

カミュの『異邦人』を彷彿とさせる無感情な主人公には、寒々しいモノクロームが適切だったのでしょう。



(10)『デッドマン・ウォーキング』(95)

ショーン・ペン監督作。

「エセ・ヒューマニズムを演技で胡麻化した」なんてチクリと刺す批評家も居たが、それをいうなら映像の力もそこに貢献してますよ。

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明日のコラムは・・・

『バス男にアオラレる。』
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TARAI-MAWASHI

2021-06-09 00:10:00 | コラム
いま働いている物流倉庫で、気の毒といったらいいのか、ちょっと見ていられないくらい仕事の出来ない若者が居て。

初日―ピッキング要員に任命されたものの「使えず」・・・
2日目、資材運び要員となる。
しかしそこでも使えず・・・
3日目、梱包要員に。

今晩が4日目となるのだが、きのうの感じだと、また異動になるのではないか。

意味はまったくちがうが、『生きる』(52)の陳情を繰り返す主婦たちのようで。


「あっちの課に行ってくれ」「これはウチの課の仕事ではない」と、たらい回し状態。


はっきり「君には向かない職場だ」といってやることが必要なときもある、、、はずなんだけれど「はい、クビね」とはいい難い世の中になったし、大企業であればあるほど、そういうことはしたくないのだよね。
出来れば自分で悟ってほしい、そう願っているからこその異動の繰り返し。

かつて自分も短期バイトで「あ、必要とされてないな」と感じ、早いほうがいいだろうと休憩時間に申し出て早退したことがあった。

そりゃ金はほしいし「きょうだけは」と開き直ることも出来たが、周囲の目がね。


さて、彼はどうするんだべか・・・・・。


※黒澤は後年、「失敗作。好きになれない作品だ」と発言。
じつは自分も初見時、渡辺さんの「はっきりしない」言動にイライラしたものだが、繰り返し観ていくうち「いつの間にか大好き」になっていた。

とくに後半の展開には舌を巻きまくりですわ。



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『映画スタッフ別10傑(17)ロジャー・ディーキンス』
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シネマしりとり「薀蓄篇」(378)

2021-06-08 01:14:53 | コラム
きっ「ぷ」→「ぷ」れみあ

プレミア(Premiere)とは、映画の初日興行を意味する英語。

日本人として間違い易いのは「Puremia」で、こっちは「高級な」といった意味のプレミア。

プレミアがつく、、、っていうほうね。

こっちのプレミアの「a」が「um」に変化すると「プレミアム」(Puremium)になる。

プレミアムモルツとかね。
(発声の差異とか細かいことは知らん!笑)


映画雑誌でも知られるほうの『PREMIERE』、つまり映画の初日は映画ファンにとって、そしてもちろん制作チーム、配給会社、映画館にとって大事な日。

2日目に観ようが2週目に観ようが楽日に観ようが、いちど終わってからのアンコール上映で観ようが、
「演劇とちがって」中身は「微塵も」変わらないのにね、
それでも映画マニアの多くは、映画を初日に観ることに「おおいなる価値」を置いている。

自分も、もちろんそう。

舞台挨拶という特典がなかったとしても、初日の鑑賞はとっても大事。


初日に時間を作って映画館に行くという行為そのものが、その映画に対する愛や期待値を表現していることになるし。
そう思って場内を埋める他者への仲間意識、一体感というものを「最も強く」感じられるのは初日だし。

「まわりよりも早く観る」ことで優越感を抱くひとも居るかな、
自分はそれはないけれど、気持ちだけはなんとなく分かる。

制作チームもそれを理解しているからこそ、初日の入り数や観客の反応を気にする。
なかには「こっそりと」劇場に紛れ込むスタッフやキャストも居るのだとか?

配給会社にとっては、自分たちの宣伝が正しかったのかどうなのか、そのジャッジが下される怖い日でもある。
(それは、予告編を制作している友人・工藤くんもそうでしょう)

それらすべての「情念」を受ける形の映画館は、「初日シフト」を組んで係員を増員して待つ。

だから「完全にコケた」ときの失望感というものは、そーとーなものですよ。


あれほど人気の高い『ブレードランナー』(82)や『ショーシャンクの空に』(94)が不入りだったことは有名な話。

賞を取る前、いや正確にいえば「事故る前の」北野映画が「初日からガラガラつづき」だったことは、自分もよく覚えている。
新宿松竹の係員さんがアホ面で(ごめん!)初日ですが、なにか?みたいにチケットもぎりをしていた。

だから『キッズ・リターン』(96)初日でテアトル新宿が満員御礼だったとき、えらく感動したもんですよ。

また初日の興行記録は「その後のスケジュール」にも影響を与え、コケた場合は公開2週目で「上映がレイトショーとかモーニングショーの1回のみ」なんていう残酷な判断が下される場合も。

「ひっそりと打ち切り」されたことに腹を立てたのが大島渚で、その怒りが『青春残酷物語』(60)を産んだといわれていますね。

いま、そこまで怒るひとは居ないかな(^~^;)


怖い世界だけど、ここに一生賭けてみたい想いも分かるよね。


※コレびっくりした! 超絶傑作!!



次回のしりとりは・・・
ぷれみ「あ」→「あ」いどる。

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シネマしりとり「薀蓄篇」(377)

2021-06-07 00:10:00 | コラム
ねんり「き」→「き」っぷ

パソコンの画像フォルダを漁っていたら、こんなのが出てきた。


映画興行ではない催し物のチケット半券。
(関係ないものも含まれてるけど!!)

井川遥展はラフォーレ原宿だったか、
しりあがり寿展は、パルコミュージアム。
村治佳織さんのコンサートは、群馬県で。
などなど、チケットに触れると当時の想い出まで蘇ったり。

映画も前売り券は「そこそこ」立派だけど、当日券は「なかなかに」ショボいよね。

いまより、昔のほうが。
いまはシネコンが主流のため、日付はもちろん作品名や座席番号が印字されているものが多い。
記念に取っておいても価値があるものだと思う。

けれども昔のチケットは「日付と金額のみ印字」が多く、これ取っておいても「なにを観たのか」が分からなかったりする。

だから捨ててしまうと。

ただ、昔のほうがよかったと思われる点も。

とくにシネコンはチケットカウンターがATMっぽくなっているところが多く、客がそれぞれ暗証番号などを打ち込んで発券されるシステム。
「おとな1枚!」みたいな、受付嬢とのやりとりがなくなってしまった。

そのほうが映画館的にはラクであろうし、
かといって無人なわけはなく、「なにかあったときのため」係員は配備されている。

・・・ものの、なんてことはない「おとな1枚!」に、これから映画を観るんだ、やったー!! みたいなワクワクがあったことはたしかなのだよね。

こんなツラをしている自分も、かつてチケット売り場に座っていたことがある。
初めてのアルバイトで。

半日くらい自分の様子を見ていた支配人の新名さんは、「うん、キミは表に居ないほうがいいかもしれない。映写をやってもらおう」といったのだった。゚(゚´Д`゚)゚。

まぁ、いまとはちがって引っ込み思案だったし、愛想もよくなかったからね、新名さん、ひとを見る目があるなぁと笑

平日は暇だし、土日に混雑したといってもクレーマーさえ来なければラクな仕事だと思う。

あと10年もすれば、「なにかあったときのため」の係員さえ居なくなり、その代わりロボットくんが立っていたりするのかもしれない。





あすのしりとりは・・・
きっ「ぷ」→「ぷ」れみあ。

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『シネマしりとり「薀蓄篇」(378)』
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そういや、随分とパンク修理してないね。

2021-06-06 00:10:00 | コラム
チャリをパンクさせないための秘訣とはなにか。

そんなの、メンテナンスを怠らないことに尽きる。

が、しつこいくらいメンテナンスしてようが、パンクするときはする。
逆に、ほぼノータッチなのにずっとパンクしないチャリダーも居る。

残酷な結論だが、運なんだよね。運。

チャリダーを自称することが許されるのは、それを理解してからじゃ。
(ほんとうか?)


このことを踏まえたうえで最近の自分について記すと・・・
どうやら運がよいらしい。

去年より遥かに走行距離が増えているにも関わらず、パンクなし。
もちろんメンテナンスは怠っていないけれど、これだけ走っていれば、いちどくらいはパンクしてもよさそうなものだが。

その覚悟は出来ているし、修理キットも携帯しているので「パンクだからどうした?」みたいなところもあるし。

特技のひとつとして、街のチャリ屋さんよりも速くパンク修理することが出来る、、、というのがあって。

パンクしない日々がつづくと、その技術が低下していくんじゃないか。

・・・とかなんとかいっている矢先にパンクするのが世の常なんだが、さて、どうなるかね!?




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『シネマしりとり「薀蓄篇」(377)』
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