僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

奴隷救出作戦

2006年07月08日 | SF小説ハートマン
それはコンソールパネルの一角で突然に始まった。
コマンダーが通常チェックを終え一息入れようと体を起こすと、ひとつの小さなRED(チェック用発光ダイオード)が数回瞬き消えた。コマンダーはパネルをコツコツとたたいてみたが変化はない。

「接触不良か、やれやれ、つまらん仕事がまたひとつ増えやがった。」
ぼやきながらパネルのメンテナンスボックスに手を伸ばした時、小さなREDがまたひとつ消えた。
コマンダーの表情にかげりが見えたが、それはまだ、数分後に到来する嵐を前にせっせと穴を掘る砂浜の蟹のように、たいした意味はなかった。
ワープの度に繰り返される決まり切ったチェックへの煩わしさがコマンダーのため息を一つ増やしたに過ぎなかった。

貨物ブロック遮蔽システムのREDが警戒色の発光で異常を表示し、通信コントロール部、推進動力制御部へと広がる頃にはコマンダーの心拍数は通常の3倍を越え、叱責や懲罰への不安を通り越していた。恐怖を感じたコマンダーがハザードボックスのカバープレートに拳をたたきつけると、非常事態を知らせるアラームが大型スペースシップ全体を振動させた。

ハートトマンのバイオリストコンピュータがセキュリティシステムに進入し、計画通り奴隷救出作戦のプログラムが確実に実行されていった。    つづく
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