僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

種のメッセージ

2006年07月29日 | SF小説ハートマン
「ねえ、ボクはハートマンになるんでしょう?大人になったら。」

「ひろし君…」
トントは一言一言確認するように話し始めた。

「貴方は選ばれた。やはり私たちの選択は間違っていなかったと、今確信しています。おっしゃるとおり宇宙君はハートマンになります。」

「でも、ちょっとだけ怖いよボク。ホントになれるの?」
「なってもらうために私たちは貴方を選びました。ですからきっとなります。」

「またいつかハートマンに会えるかなぁ。」
「さっき宇宙君は、この夢はボクだっておっしゃいましたね?」

「うん。何か変なんだけど」
「いいえ、変ではありませんよ。宇宙君の感じたことはみんな本当です。あれは宇宙君、貴方なんです。見るだけの夢とは違うのです。」

「よく分かんないよ、どうゆうこと?」
「夢でハートマンがしたことは、宇宙君がこれから自分で経験することなのです。実際に起こることなのです。」
 
「えーっ本当に?、じゃあ初めの夢の時、ボクが会ったハートマンは誰?」
「あれは貴方です、宇宙君。未来の宇宙君が自分で貴方に会いに来たのです。貴方にメッセージを伝えるためにね。ここにメッセージがあります。」
そう言ってトントは一粒の種を僕に見せた。

「何これ?フーセンカズラの種じゃないの。」
「そうです。これを宇宙君のバイオリストコンピュータのインターフェースにこうしてっと・・・」

トントは種を、もう治りかけてかさぶたになっている腕の傷に押しつけた。プチッと音がして種はかさぶたの下に収まった。あっという間のことだった。


ハートマンが目の前に現れ、僕に話しかけた。

「トントがこれを君に見せたということは、全てうまくいっているということだね。宇宙君、君がここに来ることを信じているよ。大丈夫きっとうまくいく。私が保証する。何てったってこの私は宇宙君、きみ自身なんだから。」  つづく

コメント (14)
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