「なになに、どうしたの?」
「あのオヤジがいつもしつこくてさ、若い娘見るとすぐ話しかけてくるからみんな嫌がってるよ」
「あれ、あのオヤジって、あの人こないだちょっと話ししたけど…」
「監視員の人にも相談したのよ、困ってるって」
「多分変な人じゃないから大丈夫だと思うけどな」
「おばさん達も変な人って言ってる、いっつも同じこと何度も言ってくるから嫌だって」
「あぁそれって年寄りだからでしょ、話したことすぐ忘れちゃうんだよきっと」
「う~ん」
「じゃぁ助けに行こう、ゆきさんはあの娘に行って、僕はオヤジの方に行って話しかけるから」
「うん、じゃそうしてみようか」
「そうしようそうしよう」
ということで、水を強くかき分けながら大股で2人に近づいていった。
ユキオは若い娘に笑顔で話しかけている男の横に並んで2人を見た。
確かに娘はちょっと迷惑そうな表情を浮かべながら返事をしているのだが、
それに気づかず、あるいは知ってもなお男はマイペースで話しかけているようだ。