「なに~っ、親に買ってもらったの?」
「そう、車より安いでしょ」
「そりゃ安いけどさ、よく買ってくれたねぇ」
「まぁいろいろゴマすって苦労もしたけどね、スクーター、250のヤマハ」
「それをピンクに塗ってキティちゃんとか夜露死苦とか描いて暴走?」
「ふんふん、どうしても暴走族にしたいカンジですか?」
「その方がドラマチックだし」
「人様に迷惑なことはしませんよ、一人でも乗り回したけど、
ツーリング仲間が楽しかったな。山もいったし海も行った」
「今はどうしてるの?」
「もう乗ってない、乗りたいけど事故ったから」
「う~ん、バイク乗り出すと必ずやるよね、僕も車とぶつかって、
今でも体の右側にその時の傷があるよ」
「結構派手にやっちゃって鎖骨は折れちゃうし
歯は10本くらい折れちゃうし、で2ヶ月入院しちゃった」
「うわすごい、そっりゃ死ななくて良かったってレベルだね」
「自分で電柱にぶつかった事故だから
相手がいなくて良かったっていえば良かったんだけど」
「見た目に傷とか分からないけど」
「ほら、ここんとこめくると傷あるし、今でもチタンが入ってるし、
歯はみんな差し歯だし、その時は顔中ぱんぱんに腫れあがってもう大変」
「すごい、ターミネーターだね」
「そう、今の医療技術はすごいって思ったよ、ちゃんと復活できたし」
「それなのによく泳げるよね、やっぱ昔基礎をちゃんとやったからだね」
「多分そう、体が覚えてた。でも鎖骨がダメだからバタフライはできないの」
「いやぁ~それだけ泳げれば充分じゃない」
「まぁ競争する訳じゃないし、記録出さなくてもいいからね」
「若い子見てると指導したくなったりしないの?ほらあの娘とか」
「あの子ね、あっ又狙われてる…」