僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

PSS…⑪

2017年01月31日 | ケータイ小説「パトスと…」

 

 

 

 

10分間の休憩時間が終わりプールに戻ったユキオを見つけて湘南ボーイが声をかけてきた。

「君は何て言うの?」
「名前ですか?斉藤です。湘南ボーイの先輩は?」

「そうか俺は湘南ボーイだ、はははっ。君はどこから来てるの?」
「はい、近くなので歩いて来ます」

「そうか、おれはこうぐるっと循環バスで来るんだ、
だからもう少ししたら帰るから。ほら50分のバスに乗らなくちゃならないから」
「そうなんですか、でもバスがちゃんとプールの前まで来てくれるからいいですよね」

 

「君はどこから来てるんだっけ?バスじゃないのか、車か?」
「近くなので歩いて来てるんですよ」

「あ、そうかそうか、今度飲もう」
「いいですね、お願いします」


やっぱりそうだと確信した。湘南ボーイは認知症だ。
今さっき自分で言ったことをすぐに忘れてしまう。
同じことを何度も繰り返し言う。

数年前に亡くなった父親が全く同じだった。
ユキオにとって湘南ボーイは変な人ではなく、
むしろ懐かしい感じの人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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