胸いっぱい吸うのだ
久しぶりでマスクを外した
朝のできたての空気が美味しい
気温はぐんぐん上がっていくが
緑たちのフィルターは紫外線も赤外線も
かなり吸収してくれるらしく
そよ風がひんやりと感じられる

竹林を抜け少し上っていったところで
いつもの女神様が待っている

「あなたの青春は輝いていたかしら?」
え、えっ? 突然なに
「答えなくてもいいのよ、青春には光と影があるの」
・・・・・
「どうぞいってらっしゃい、ここから先はあなたの青春を振り返る小径」

光があたり、少しずつ色づいていく
輝き始める時
何かを目指して背伸びしていくのかな

仲間を求めて走って行くのかな

いつまで語り合っても、納得できない時がある
それでもぼくは嫌だ

いつの間にか知らない何かに巻かれてしまっても
一度もひかりに当たらなくても
ぼくには僕しか生きられない

「お帰りなさい」
女神様、ぼくの青春にも光と影があったんでしょうか?
「それはまだ分からないわ」
でも、だって、青春なんてとっくに…
いいえ、「青春は忘れ物、過ぎてから気がつく」ものなのよ。
つづく