暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2024年「炉開きと口切の会」・・・(1)口切

2024年11月16日 | 暁庵の裏千家茶道教室

      (京都からの紅葉だより・・・光悦寺にて、13日撮影)

 

2024年(令和6年)11月10日に恒例の「炉開きと口切の会」をしました。

恒例と書きましたが、口切は「私にやらせてください」と手を上げてくださる方がいらっしゃる限り、続けていきたいと思っています。今年はKTさんが手を上げてくださり、とっても嬉しいです。

もう一つ、ゲストとしてSKさまとFさまが参席してくださいました。小堀遠州流をお習いですが、暁庵(裏千家流)の口切をぜひ拝見したい・・・と来てくださったのです。

9月30日の「菊月のコラボ茶会」共催したお仲間でもあり、社中の皆様は緊張しつつも、やりがいを感じてくださったことでしょう。

「炉開きと口切」は、茶人にとって「茶の湯の正月」と言われる、目出たい行事です。皆様、ステキなお着物でいらしてくださるので、こちらも楽しみにしています。暁庵もいろいろ気を使います・・・この日はまだ暑く、何を着るか悩みながら、何年も袖を通していない金茶の無地紋付(扇の地紋)を選び、緑地に樹木模様の袋帯を締めました。久しぶりの金茶の着物が派手すぎないかしら? と心配しながら・・・

     日本画「秋耕」 野沢蓼州画

「炉開きと口切の会」は、社中の皆様でいろいろな役割を交代でしていただきながら茶事形式で行っています。

2024年の次第は次の通りでした。

待合~ 席入 ~ 挨拶(KTさん)~ 口切(KTさん)~ 初炭(AYさん)~ 昼食・休憩 ~銅鑼で席入

~ 濃茶①(M氏)~ 後炭(M氏)~ 濃茶②(KRさん)~ 薄茶(Y氏)~ 挨拶(M氏) 

初座の亭主はKTさん、半東はAYさん、後座の亭主はM氏、半東&水屋は適宜交代で、暁庵は後見です。

お客様がお揃いになったようで、詰KRさんが打つ板木の音が高らかに聞こえると、半東が桜湯をお出しし、腰掛待合へご案内しました。下火を入れ、濡れ釜をかけて、亭主が迎えつけをしました。

 

蹲を使って席入りです。

初座のお客様は、正客M氏、次客SKさま、三客Fさま、四客Y氏、五客AYさん、詰KRさんです。

       「紅炉一點雪」

亭主KTさんがお一人お一人と挨拶を交わされ、正客から待合や床の掛物についてお尋ねがありました。

待合の掛物は日本画の「秋耕」、作者は川合玉堂門下の野沢蓼州(りょうしゅう)です。

本席のお軸は「紅炉一點雪」、紫野総見院の山岸久祐師のお筆です。

床の下座に朱色の網袋に入った茶壷が飾られています。

正客より「どうぞご都合により茶壷の拝見をお願いします」とお声がかかりました。(ご都合により・・・というのは、茶壷拝見のタイミングが流儀や仕方によって違うからです)

いよいよ口切です。暁庵の口切では先に茶壷を拝見に回し、その後に口切をします。恩師N先生にお習いした仕方で、「先にお壷をゆっくり拝見した方が口切の時の期待感が高まると思いますよ」とN先生。

それに今年は「色絵吉野山図茶壷」を使いました。最初は仁清写しの壷と思いましたが、静嘉堂文庫美術館と福岡市美術館にある色絵吉野山図茶壷(2つとも重要文化財)とは違うように思っています。というのも、この茶壷の吉野山図にはステキなものがたりが描かれているのです。それで、京焼の現代作家さんのオリジナルと考えています。

網袋がはずされ、茶壷が拝見に出されました。ものがたりを鑑賞していただくために全員が茶壷を時計まわりで見ていただきました。口覆いは唐松金襴です。御茶入日記が運ばれました。

壷が戻り、葉茶上戸一式が運び出され、いよいよ口切です。(順番などはこちらをご覧ください

KTさんが小刀をとり、ゆっくり慎重に壷の合口を切っていきます。客一同、その一挙手一動を我がことのように見つめます。やがて蓋が開けられ、
「いずれのお茶を差し上げましょうか?」
「ご亭主様におまかせいたします」とM氏。


     (葉茶上戸一式です)

茶壷から詰め茶が葉茶上戸(じょうご)へ出され、壷の中から濃茶が入った半袋が1つ取り出され、茶銘を読み上げ、挽家(ひきや)に入れました。

「「延年の昔」でございます」とご亭主。

葉茶上戸をトントントンとリズミカルに打ちながら、葉茶が詰と書かれた曳家へ入れられ、残りが壷へ戻されました。

封紙に糊をつけ合口に封をし、捺印します。葉茶上戸一式を片付けてから、壷を網に入れて水屋へ下がりました。

これにて2024年の口切が終了です。

すらすらと流れるように口切が行われ、私も清々しい気持ちで見守れて嬉しかったです。

この後に水屋にて茶壷に真、行、草の紐飾りが施され、後座の床に飾ります。つづく)

 

          暁庵の裏千家茶道教室  前へ   次へ   トップへ

          2024年炉開きと口切の会・・・(2)へつづく  (3)へ

          炉開きと口切りの準備に勤しんで