京都大学産官学連携本部の教員の方々が「ケースで学ぶ 実戦起業塾」を上梓されました。
本書のすごさは、ベンチャー企業の育成などの実務経験者の教員の方々が、経験に基づくケーススタディーをふんだんに織り込んで、ベンチャー企業のつくり方を解説されている点にあります。
発行元は日本経済新聞出版社です。定価は3150円(本体+消費税)です。
本書の筆者4人は現在、京都大学の産官学連携本部の教員として、日本にベンチャー企業を育成する仕組みを定着させるために学術面から研究・支援している強者(つわもの)ぞろいです。4人全員が、大学院の学生からそのまま教員になったのではなく、有力コンサルティング会社やベンチャー・キャピタルなどで活躍したり、エンジェル(個人投資家)として投資したりするなどの経歴を持っています。ベンチャー企業を育成する際の修羅場をくぐった強者としての経験を生かして、この本を書き上げました。
筆者のお一人である准教授の麻生川静男さんは、東京農工大学のMOT(マネジメント・オブ・テクノロジー)教授の松下博宣さんから紹介された新進気鋭の学者です。大手機械メーカーに勤務された経歴の中で、米国のベンチャー企業との共同事業責任者を務められ、米国ベンチャー企業の成長を内側からじっくり観察された方です(個人的には、麻生川さんが京大の学生だったころに、ドイツ語を学習するための猛烈な勉強法を実践されたことを知って、不勉強な私は頭が下がるだけでした)。その後も、自分が目指すことを実現するために、多様なことに挑戦し続けている方です。生き様がベンチャー志向といえます。
昨年、京大産官学連携本部IMS寄附講座部門が主催したシンポジウム「地域発・グローバルベンチャーの可能性」の際に、麻生川さんや、今回の単行本の編者(責任者)を務められた木谷哲夫さん(教授)などの方々と、松下さんのおかげで顔見知りになりました。IMSはイノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門の略称で、「ベンチャー育成のためのノウハウの開発・蓄 積と人材育成」を目的に、2007年8月に設置された部門です。木谷さんも大手コンサルティング会社で、金融機関の新規事業起こしなどに携わった経験の持ち主です。ひ弱な学者ではなく、実戦に鍛えられた実務者出身の学者です。この方も生き様がベンチャー志向そのものです。
本書は大手企業と中小企業の違いは、単に会社の規模の違いでしかないが、ベンチャー企業と既存の大手企業、中小企業との本質的な違いは、「例えば従業員1人当たりの時価総額の違いに現れる」と具体的に説明しています。成長可能な新規事業を手がけ、生産性を飛躍的に高めるイノベーションの担い手がベンチャー企業であることを、分かりやすく説明しています。ベンチャー企業を創業させる際の、中核となる経営陣メンバーの集め方や、ビジネスプランの書き方などが、これまでの実務経験に裏付けされた具体的な説明になっていて、分かりやすいです。
最近の参議院選挙で有名になったタリーズコーヒージャパンの創業者の松田公太さんの創業期のケーススタディーは、実録として読み応えがあります。創業者の松田さんと、ふとしたきっかけで知り合いになった筆者の一人の須賀等さんは、ベンチャー・キャピタルの投資責任者であると同時に、タリーズコーヒージャパンの事実上のCFO(最高財務責任者)として資本政策を実践していきます。この経緯話は優れたケーススタディーに仕上がっています。
日本のベンチャー企業の成長の仕方を、各ステージごとに一般化しているので、ベンチャー企業の成長期の支援のポイントがよく理解できます。本書は、実録を基に、ビジネスプランづくりなどのポイントを一般化していくため、納得感の高い説明文が多いと感じました。これが「ケースで学ぶ」とうたっている由縁であると感じました。本書が日本でベンチャー企業が育つきっかけの一つになればいいのですがと、考えています。イノベーションの担い手はベンチャー企業なのです。
本書のすごさは、ベンチャー企業の育成などの実務経験者の教員の方々が、経験に基づくケーススタディーをふんだんに織り込んで、ベンチャー企業のつくり方を解説されている点にあります。
発行元は日本経済新聞出版社です。定価は3150円(本体+消費税)です。
本書の筆者4人は現在、京都大学の産官学連携本部の教員として、日本にベンチャー企業を育成する仕組みを定着させるために学術面から研究・支援している強者(つわもの)ぞろいです。4人全員が、大学院の学生からそのまま教員になったのではなく、有力コンサルティング会社やベンチャー・キャピタルなどで活躍したり、エンジェル(個人投資家)として投資したりするなどの経歴を持っています。ベンチャー企業を育成する際の修羅場をくぐった強者としての経験を生かして、この本を書き上げました。
筆者のお一人である准教授の麻生川静男さんは、東京農工大学のMOT(マネジメント・オブ・テクノロジー)教授の松下博宣さんから紹介された新進気鋭の学者です。大手機械メーカーに勤務された経歴の中で、米国のベンチャー企業との共同事業責任者を務められ、米国ベンチャー企業の成長を内側からじっくり観察された方です(個人的には、麻生川さんが京大の学生だったころに、ドイツ語を学習するための猛烈な勉強法を実践されたことを知って、不勉強な私は頭が下がるだけでした)。その後も、自分が目指すことを実現するために、多様なことに挑戦し続けている方です。生き様がベンチャー志向といえます。
昨年、京大産官学連携本部IMS寄附講座部門が主催したシンポジウム「地域発・グローバルベンチャーの可能性」の際に、麻生川さんや、今回の単行本の編者(責任者)を務められた木谷哲夫さん(教授)などの方々と、松下さんのおかげで顔見知りになりました。IMSはイノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門の略称で、「ベンチャー育成のためのノウハウの開発・蓄 積と人材育成」を目的に、2007年8月に設置された部門です。木谷さんも大手コンサルティング会社で、金融機関の新規事業起こしなどに携わった経験の持ち主です。ひ弱な学者ではなく、実戦に鍛えられた実務者出身の学者です。この方も生き様がベンチャー志向そのものです。
本書は大手企業と中小企業の違いは、単に会社の規模の違いでしかないが、ベンチャー企業と既存の大手企業、中小企業との本質的な違いは、「例えば従業員1人当たりの時価総額の違いに現れる」と具体的に説明しています。成長可能な新規事業を手がけ、生産性を飛躍的に高めるイノベーションの担い手がベンチャー企業であることを、分かりやすく説明しています。ベンチャー企業を創業させる際の、中核となる経営陣メンバーの集め方や、ビジネスプランの書き方などが、これまでの実務経験に裏付けされた具体的な説明になっていて、分かりやすいです。
最近の参議院選挙で有名になったタリーズコーヒージャパンの創業者の松田公太さんの創業期のケーススタディーは、実録として読み応えがあります。創業者の松田さんと、ふとしたきっかけで知り合いになった筆者の一人の須賀等さんは、ベンチャー・キャピタルの投資責任者であると同時に、タリーズコーヒージャパンの事実上のCFO(最高財務責任者)として資本政策を実践していきます。この経緯話は優れたケーススタディーに仕上がっています。
日本のベンチャー企業の成長の仕方を、各ステージごとに一般化しているので、ベンチャー企業の成長期の支援のポイントがよく理解できます。本書は、実録を基に、ビジネスプランづくりなどのポイントを一般化していくため、納得感の高い説明文が多いと感じました。これが「ケースで学ぶ」とうたっている由縁であると感じました。本書が日本でベンチャー企業が育つきっかけの一つになればいいのですがと、考えています。イノベーションの担い手はベンチャー企業なのです。