Press conferenceで“kiss my ass”はないでしょう:
先ず、お断りしておくと、本稿はトランプ大統領の言葉遣いの批判ではなく、「英語の品格」の話であるとご承知おき願いたい。
この表現がテレビのニュースで流れてきた時には驚きも呆れもしなかった。彼の前任期に立候補した時から非常識な品位に欠けた言葉遣いが多く、大いに疑問に感じていたのだから。特に、第45代大統領となってからは、公開の席で普通の階層とそれ以上に属する人たちの間では遣う事などあり得ないswearword(「汚い言葉」と訳してはnuance=微妙な感覚は表せない)を平気で遣うようになってしまった。
その品位に乏しい言葉遣いをする理由を、私は「トランプ大統領は自分の支持層には圧倒的に非知識階層に属する者が多く、特に大統領自身がworking classと表現した労働組合員が多いと解ってきたからだろう」と見ていた。
我が国に生まれ育っては信じがたいことだが、アメリカのような移民が多い国では、識字率が79%だと一般的に認識されているし、94年にUSTRのカーラ・ヒルズ代表も労働者階級に属する人たちにそのような傾向がある点を認める発言をしておられた。そう言う事実から考えても、今回のトランプ大統領の言葉遣いは「誰に向かっての事だったか」は解ってくるのだ。
テレビ局はあの表現を「媚びへつらう」とか「お追従を言う」という柔らかな意味に訳していたが、遠慮していたのは明らかだ。「多くの国があれをします、これをしますから宜しくと言って、諂ってきたぞ」と、誇示されたのだった。だが、このkiss云々の本来の意味はそんな生やさしいことではなく、思い切り見下げているのである。
AIが非常に明快に説明しているので、参考までに引用しておこう。
>引用開始
日本のメディアが「諂う(へつらう)」とか「媚びを売る」と訳すのは、意味としては大筋で間違っていませんが、英語の原文に含まれるニュアンスの強さや、生々しさまでは到底伝わりきっていないと感じます。
「Kiss my ass.」は単なる「ご機嫌取りをしている」という意味ではなく、もっと蔑視的かつ侮辱的な感情を込めた表現であり、しかも公共の場で口にするとなると、常識を疑われても仕方がないレベルです。アメリカ人の中でも「品位のかけらもない」と受け取る人は少なくありません。
<引用終わる
石破首相がこういう言い方を公開の席でするかという事。そんな訳がないでしょう。トランプ大統領は90日の猶予期間を設定したことで、関係する各国が懸命になって接触してくる状態に気持ちが高揚してしたのか、ついついこんな言葉で表現されたのだろうと解釈する。
だが、「アメリカの大統領が遣われた以上、良い言い方なのだろうから、俺も遣ってみよう」などと絶対に考えないよう、厳重に警告しておく。私は知っていても、冗談にも遣ったことなどない言葉である。