ハッキリと問題点を言おう:
今日までに繰り返して「我が国の英語教育の問題がある」と指摘して、どの点がどのように宜しくないかとの例文も挙げて語ってきた。だが、非常に残念なことに、この意見について何処からも反論はなかったし、尤もであるとかの類いの反応をも得られていなかった。そこには「私の方にも多少遠慮があり、ズバリと簡明直裁に問題点を論ってこなかったのかも知れない」との反省の余地もある。
そこで、今回は解りやすい形でというか表現で、私が見る問題点の具体的な例を挙げてみよう。
*英会話の達人かと思わせられる話し方:
先ずは、もう何年前のことになったか記憶も薄らいだ「地下鉄の車内で聞いた、一聴英会話の達人で英語ペラペラ風の同胞の語り」から入って行こう。それは
”Every years, I take vacation, you, know, I take family to Europe, you know. My family enjoyed. But nowadays children become big and go to school, you know, so we can’t stay long. And we don’t go, you know. My wife unhappy and become angry.”
という具合だった。文法も何もないとお分かり願えれば、先ず第一段階を達成できたと思う。
この文章をよどみなくスラスラと言えるのは良かったかも知れないが、我が国の英語ペラペラの方が屡々犯す文法の過ちが非常に多いのが特徴である。経験からも言えることは、このような表現の仕方でも、相手が聞く耳を持ってくれて寛容な方であれば、話は通じるのであるし「貴方、文法の間違いが多いから減点します」のような事態にはならないのだ。
上記の例文を文法的に訂正し、知識階層では常識として品位が落ちるとされている“you know”のphraseを除外して、正確な英文に直すのはかなり難しい作業になるのだ。そこに言える事は「我が国の英語教育で重視している単語の知識は活かされていないし、文法も全く無視した形になっている」点なのだ。例えば、everyの後に来る名詞は単数でしかない事、過去形も現在形もごっちゃになっている事等を指摘できる。
その他に目立った事はといえば、“children become big“がある。この辺りを察すれば「子供たちが大きくなったので」即ち「成長したので」と言いたかったのだろうが、growが思い浮かばなかったので咄嗟に機転を利かせて“become big“としたのは凄い応用力というか言い換えの技術が発揮されている。だが、ここでは過去形にしてbecameであって欲しかったのである。ここには時制を無視していたという欠陥がある。
次の問題点はMy wife become angry.と文法で言う「三人称単数のsが欠落している事」を挙げたい。このsなどは「そうか、この文章は彼女と三人称で、単数で、現在の事だから動詞の後にsを付けるのだ」などと頭の中で考えていてはならず、自然にbecomes angryのように口から出てくるか、手が動いて書けねばならないのだ。そうなるように訓練する方法として私が推薦するのが「音読・暗記・暗唱」なのだ。
私は中学の頃からこの音読・暗記・暗唱を繰り返して、結果的には自然に文法が身につき、自然に正しい言い方と書き方が出来るようになったのだった。高校3年の時に師事した鈴木忠夫先生は「そうする事で何時かは文法的に正しい英語/英文が口から出てくるようになる」と、音読・暗記・暗唱の英語の勉強法を承認し、推薦しておられた。
換言すれば「流れの中で覚えておく事が肝心だ」という事。「そんな学習法が有効だとは信じられない」と、否定的に考えられる方は多いのは百も承知している。だが、私を含めて何名もの立派な成功例があるし、某商社で若手をこの方法で個人指導した際にも、明らかに効果が上がって、課内随一の英語の使い手に成長していた。
*I gift ball police.:
事ここに至れば、腹蔵なく言おう。悲惨にして重大な悪い結果だと受け止めた。このくらいの英文しか思い浮かばなかったように中学生を3年間も英語を教えてきたとは、文部科学省を始めとして中学校の英語教師の方々に猛反省を求めたい。「何をどのように教えれば“I gift ball police.“しか言えなくなるのか」さらに「スピーキングテストで60%が零点となってしまうのか」という疑問が生じる。
昨年の11月にこの件を発表した際にも、何処からも何らの反響がなかった事には大いに落胆した。そう言う根拠は「私は真っ向から我が国の英語教育の至らざる点を真正面から取り上げて批判したのである」のにも拘わらず、何らの反応がなかったという事は、事の重大さを認識できておられない方が多かったと受け止めた。非常に遺憾であり残念だった。
要するに「あの程度の簡単で単純な表現も出来るようにならない教え方をした事を反省して、事態を改善しようとは思わなかったのかと問いかけたいのだ。未だに「試験の為の英語を教え、TOEICで良い点が取れるようにすることを金科玉条の如くにでも認識しているのか」とも問いかけたのだ。何とかして打開すべき事態であると認識して改善すべきではないのか。ここでも「音読・暗記・暗唱」を推奨して終わる。