特別給付金配布に要する費用:
鈴木俊一財務大臣はこの経費が肥大化した件について「知らされていない。適切に施行されると思う」と述べられたと報道されていた。「これは一寸まずいご発言じゃないかな」と、私ですら感じていた。専門家筋とマスコミの論調は「10万円の半分をクーポンにして間違いなく消費されて、貯蓄に回らないようにとしたために、費用が1,900億円(だったかな)にも増加したのは如何なものか」という点にあった。
永年、紙パルプ産業界に身を置いていた私は、最も密接な間柄にあった印刷・加工業界の仕事の内容がどうなっているのかには、必要最低限以上の知識がある。だから「前回の10万円給付の際にも、対新型コロナウイルス用ワクチン接種券発行の市町村区役所に於ける事務量についても、その手続きと事務量が煩雑どころか膨大なものになって、おいそれとは各家庭に通知が来るようにはなるまい」と予想したのだった。
簡単に言えば、接種券の場合は「各お役所ではその目的のための窓枠付き封筒、接種券、手続きの詳細な説明書を入札か随契で発注し、納入されれば宛名を印刷し、封筒詰めして郵送せねばならない」のだ。私はお役所の人員構成がどうなっているか知らないが、これだけのための要員がいる訳はあるまいから、アルバイトか何処か人材派遣会社に請け負わせるとかの必要が生じるだろうと思って見ていた。余談になるだろうが、ワクチン接種会場のSTAFFという腕章を巻いた係員の方々が、新宿区役所の職員さんだとは思わなかった。
クーポンにした為に、恐らく今では急遽そのデザインを決めて、何処か偽造防止の印刷ができる印刷業者に発注するところから始められたのだろう。また、その用紙にしたところで簡単に一般的な薄物の上質紙(俗に言う模造紙)で良いとも思えないのだ。そのクーポンをどれほど印刷するかも、配布先の名簿ができなければ計算できない気がする。オッと、その前に見積もりも取らねばなるまい。事務方は残業また残業かも知れない気もする。
公明党はこの給付を強力に推進し、岸田内閣も押し切られたように報道されている。だが、公明党はその為に投入される税金や事務方の負担を考えたのだろうか。尤も、この仕事の為に関連産業界は潤うことにはなるとは思うのだが、何百億円も投じるのは勿体ないという声は上がっているようだ。故に、クーポン券配布は再検討の余地があるような気がするが。それに加えて、10万円給付そのものに対する非難の声もあるようで。