八村塁と田中将大の問題:
八村塁対バスケットボール協会:
八村君はNBAの強豪Los Angeles Lakersで今やレギュラーポジションを獲得した、押しも押されもしない一流選手の域に達している選手である。マスコミ報道によれば「彼がバスケットボール協会の男子代表ティームの監督人事と、そのホーバス氏の指導方針に意義を唱えていて、わだかまりが残っている」ようである。
パリオリンピックの際に八村が参加を躊躇っているかの感があった事に対して、ホーバス監督が「来たかったら来れば良い」という意味のことを言ったとマスコミが報じた。私はこの遣り取りには違和感を覚えていた。その言い方では「ホーバス氏と八村君は不仲であり、毛嫌いされているのか」とも感じた。ホーバス氏の力量に疑問を感じているとは知る由もなかった。
あのオリンピックでは八村の起用法もおかしかったし、NCAAで大活躍した期待の3ポイントシューターの富永啓生は殆ど使われることなく何秒かの出場だったのも「何故なのか」と不思議に感じていたのだった。だが、ファンとして見ているだけでは「何でそうなるの」という程度の違和感だった。
だが、この度の八村の直言の内容の報道を聞いた限りでは「彼は監督の人事と練習法その他に異議を申し立てていて、この監督の練習法と指揮下でプレーしたくない」との意思表示をしたのかと思わせられた。アメリカのプロスポーツ界の実情をいくらかでも承知しているので、八村の主張にも無理からぬ点が多々あると思う。だが、協会がその辺りを認識していないとは思えないのだ。
私の解釈では「八村はホーバス氏がNBA等でヘッドコーチの経験が無い、未だ一流の指導者と認められていない人物。その人を監督に起用した人事に異を唱えているのだ」と読んだ。換言すれば「ナショナル・ティームの指揮を執るのは一流のプロのヘッドコーチであるべき」という主張であるのでは。
因みに、アメリカには我が国のような監督制度ではなく、head coach制である。HDの下にオフェンスやディフェンスやトレーニング等の細分化されたコーチがいて、選手たちを指導しているのだ。さらに八村は「男子と女子では指導法が異なるにも拘わらず、ホーバス氏を男子代表監督に任命した事」にも無理があると指摘したようだ。
私の読みでは「協会は八村が指摘した問題点は認識し理解していても、この期に及んで有力な選手のから苦情の申し立てがあったにせよ、自分たちが選んだ監督を交替させる訳にも行かず、言い分は聞き置くというところまでに止めたのだろうか」という事だ。
田中将大が「居場所がないと思った」と発言:
田中マー君は2013年には24連勝して、楽天イーグルスを日本シリーズ制覇に導いた大功労者で。その成績を引っ提げてニューヨークヤンキースに転じ、20年までの7年間に78勝46敗、防御率3.74という立派な成績を残していた。その田中が21年から楽天に復帰した。ところが、それ以後には往年の迫力もなく、体力/気力共に衰えた投手としか見えないところまでの落ち込み方だった。
楽天の首脳部というかフロントは、田中に再契約の意志無しとしか見えない条件を提示した。田中も「最早自分の居場所はない」と読んだようで、他球団で働こうとの意思表示をしたという訳だ。彼は36歳になっているが、35歳になった菅野智之は見事に復活してMVPを獲得。それを横目に見て「今に見ていろ、俺だって」と憤慨/奮起してもおかしくないと思う。
この件を「出来事」として取り上げたが、その訳は「田中将大は楽天球団の子飼いの選手であり、日本シリーズの優勝に大貢献した大立て者だ。球団もその功労を評価し快くMLBに送り出したのではなかったのか。だが、帰国後のあの衰えたとしか見えない働きぶりでは、一流の経営者である三木谷氏の判断が厳しいものだったとしても、何ら不思議ではないと思う。
だが、ファンや世間の人の目には残酷と見えるのかもしれない。海外の経営の事情に精通された三木谷氏が「2億6千万円の高額な年俸に相応しくない働きの選手に大幅な減額を提示したのは戦力外と判断されたのだろう。アメリカでMLBを経験した田中自身も解っているはずだ。
そこで、田中と球団との間に何らかの確執があるかのように報道するのは、此処に述べたような視点からすれば、適切ではないと思う次第。田中将大は他球団に新天地を求めて、そこで36歳になってもやれるのだと、立派な成績を挙げて200勝を達成して見返せば良いのではないのか。