消費税率引き上げを考えると:
私は安倍総理がこれを解散の理由の一つに挙げた時に「弱いのではないか」と感じたとは既に述べた。だが、その根拠にまでは触れていなかった。聞いていて感じたことは、増税分の使途が何であれ、プライマリーバランスがどうあろうと、その原資となってくるのは所詮は国民と企業が納める税金なのであるという点だった。
税収の増加が先か、景気の回復が先かなどという議論は「鶏と卵」論にも似たりで、決め手はないと思う。そこで、私は税収の決め手となるものを「企業が増益となるような景気」の状態を基本として考えてみようと思い立った。簡単に決めつければ、景気が良くなって国内外の需要が盛り上がり、製品が順調に売れてそれに伴って企業の利益が増えてくるとしよう。
そうなれば、それまでは萎縮していた経営担当者たち(現在の経営陣には往年の松下幸之助のような経営者はいないと見做している)も勢いづいて躊躇い続けていた昇給もさせるし、配当も増額する気になるだろう。法人税も増えるだろう。そういう段取りになれば、個人の消費も伸びていってGDPの伸びを順調に支えることだろう。消費税収も増えていくだろう。
この筋書きは大変結構なことだと思う。だが、肝腎の税収の増加は所詮は国民のお金の中から生じていくものでしかないのだと、私には思えるのだ。仮令、海外の諸国の景気も回復して我が国の輸出も順調に伸びても、今や我が国のGDPに占める輸出の比率などは一桁なのだ。依存するのは飽くまでお国内での生産であり個人消費の増加というのか成長だ。
そこで現状を見れば、アベノミクスが最初から目指した2%のインフレは未だに達成されていないし、寧ろ街中にはデフレとしか思えないような値下げ競争が止まっていないとお見える。しかも、総理が繰り返し企業に昇給を求められても、そこまで出来ているのは大手の企業の間だけで、我が国に無数にある中小以下の株式会社までには浸透していない。
だがしかし、そうだからといって何時までも多くの経営者たちが思い切って給与水準を引き上げてまで消費を盛り上げようと試みるだけの度胸と勇気があるかといえば、私には極めて疑問に思える。その根拠は後難を恐れて言い続けてきたことで「経営者の劣化」がかなり顕著であるからだ。
私は現在の我が国の景気がバブル期のような活気を取り戻すとは思っていないが、その陰には世界全体の経済が活況を呈していないのも一つの大きな原因であると思っている。アメリカの景気は確かに順調だが、トランプ大統領は「アメリカファースト」を標榜され、対米輸出の大手である中国や我が国を「怪しからん」と言わんばかりに責めている始末だ。即ち、自国のことばかり考えているのだ。
私が安倍総理の解散の演説を聴いていて「弱いのでは」と感じた根拠はこのようなものだが、資本主義を信奉する体制にあっては、国民が自然に増税に応じられるような景気の回復が先だろうとは思うだが、その前に企業が十分に利益を挙げてくれねばならないし、その為には国民の一人一人の可処分所得が増えなければ如何ともしがたいのだ。その為には企業が十分な利益を挙げる必要があるのだと、何処まで行っても止まらない気がする。だが、国民全体の25%以上を占めている我々後期高齢者の多くは、可処分所得が増える望みはないのだ。
私は安倍総理がこれを解散の理由の一つに挙げた時に「弱いのではないか」と感じたとは既に述べた。だが、その根拠にまでは触れていなかった。聞いていて感じたことは、増税分の使途が何であれ、プライマリーバランスがどうあろうと、その原資となってくるのは所詮は国民と企業が納める税金なのであるという点だった。
税収の増加が先か、景気の回復が先かなどという議論は「鶏と卵」論にも似たりで、決め手はないと思う。そこで、私は税収の決め手となるものを「企業が増益となるような景気」の状態を基本として考えてみようと思い立った。簡単に決めつければ、景気が良くなって国内外の需要が盛り上がり、製品が順調に売れてそれに伴って企業の利益が増えてくるとしよう。
そうなれば、それまでは萎縮していた経営担当者たち(現在の経営陣には往年の松下幸之助のような経営者はいないと見做している)も勢いづいて躊躇い続けていた昇給もさせるし、配当も増額する気になるだろう。法人税も増えるだろう。そういう段取りになれば、個人の消費も伸びていってGDPの伸びを順調に支えることだろう。消費税収も増えていくだろう。
この筋書きは大変結構なことだと思う。だが、肝腎の税収の増加は所詮は国民のお金の中から生じていくものでしかないのだと、私には思えるのだ。仮令、海外の諸国の景気も回復して我が国の輸出も順調に伸びても、今や我が国のGDPに占める輸出の比率などは一桁なのだ。依存するのは飽くまでお国内での生産であり個人消費の増加というのか成長だ。
そこで現状を見れば、アベノミクスが最初から目指した2%のインフレは未だに達成されていないし、寧ろ街中にはデフレとしか思えないような値下げ競争が止まっていないとお見える。しかも、総理が繰り返し企業に昇給を求められても、そこまで出来ているのは大手の企業の間だけで、我が国に無数にある中小以下の株式会社までには浸透していない。
だがしかし、そうだからといって何時までも多くの経営者たちが思い切って給与水準を引き上げてまで消費を盛り上げようと試みるだけの度胸と勇気があるかといえば、私には極めて疑問に思える。その根拠は後難を恐れて言い続けてきたことで「経営者の劣化」がかなり顕著であるからだ。
私は現在の我が国の景気がバブル期のような活気を取り戻すとは思っていないが、その陰には世界全体の経済が活況を呈していないのも一つの大きな原因であると思っている。アメリカの景気は確かに順調だが、トランプ大統領は「アメリカファースト」を標榜され、対米輸出の大手である中国や我が国を「怪しからん」と言わんばかりに責めている始末だ。即ち、自国のことばかり考えているのだ。
私が安倍総理の解散の演説を聴いていて「弱いのでは」と感じた根拠はこのようなものだが、資本主義を信奉する体制にあっては、国民が自然に増税に応じられるような景気の回復が先だろうとは思うだが、その前に企業が十分に利益を挙げてくれねばならないし、その為には国民の一人一人の可処分所得が増えなければ如何ともしがたいのだ。その為には企業が十分な利益を挙げる必要があるのだと、何処まで行っても止まらない気がする。だが、国民全体の25%以上を占めている我々後期高齢者の多くは、可処分所得が増える望みはないのだ。