新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

徒然なるままに

2024-05-31 07:10:15 | コラム
思いつく由無し事を:

4万円減税:
街の声では「電気代の補助がなくなるので『行って来い』になってしまう」とテレビが伝えている。一方では「年金生活者にとっては、次回から年金が規定通り減額されるし、介護保険料が上がるので何ら有り難みがない」との解説がある。岸田総理はそういう事態になってしまう事を承知の上で、減税が実施されるのを24年6月からと決められたのだろうと疑う事にした。

地球温暖化か、異常気象の所為か知らないが、今年の夏は猛暑による空調等によって電気の消費が増え、しかも飛躍的にという予測がある。減税案には止めどない円安にも起因する物価高等々の要素は見込まれて(織り込まれて)いなかったようだ。

自転車と電動キックボードの取り締まり:
電動キックボードの無法走行よる危険な目に遭わされたことは未だないが、自転車を運転する連中の無法振りと傍若無人の走行は出鱈目なことは今に始まって事ではない。誇張すれば、当方は何十年も前からその非道さを指摘し続けてきた。だが、我が国には自転車に乗ることが好きな連中が多すぎるし、乳幼児を抱えた若き母親たちには10数万円もする一歩間違えれば凶器になりかねない「電動アシスト付き自転車」は必需品の如きだ。

だが、これらの違反を常時摘発出来るような人員配置を、警視庁というのか所轄署が取れる訳もないだろうくらいは一般の市民である私にだって理解出来る。取り締まることも必要だろうが、自転車を無茶苦茶に乗り回す連中に交通法規を徹底して知らしめて遵守(当世では無駄に格好付けて「コンプラ」などと言うAHOも増えた)させるのが先決ではないのか。その点では電動キックボードの方が後発なだけに殆ど無法走行には遭遇したことがない。

言葉を換えれば、こういう便利なようなものを、法律を知らずにか、知っていても知らんふりをする連中が多いという事は「我が国の国民の民度が低下したことに他ならないのだ」と思うようにしている。道路交通法は「知らしむべし、寄らせるべし」ことなのだ。

火事のニュース:
当方は「朝は早(ハヨ)から」4時に起きて、各テレビ局のニュースを見ている。そこで気が付くことがある。それは、各局とも方々の地方での火事の様子を報じてくれる現象なのだ。そんな遠隔地の火事などは、それこそ「対岸の火事」よりも遙かに遠くの事件ではないのかと思っていた。どれ程意味があるのかと無視してきた。

だが、良く考えれば、1,300万人とも言う人口を抱えるここ東京には、全国から沢山の人が集まっているのだから、そのニュースで「故郷の重大事だ」と知る方々がおられるだろう事に、テレビ局が配慮しているのだと解釈することにした。矢張り、過度の「東京一極集中」によって起きる現象なのだろうと思って見て(聞いて)いる。

ショパンからモーツァルトに:
私的な話で恐縮だが、2週間程前からこのブログに取りかかっている時のBGMをショパンのピアノ曲から、モーツァルトの10枚組のCD(AVEX)に切り替えてみた。非常に心地良い音楽が聞こえてくるのだが、何故か聞き惚れずに聞き流せるのだ。結果として頭も指も快調に働くようになった。心なしかアクセスも増えてきたのは有り難いことだ。

このCDは2006年1月に最初の心筋梗塞発症で国立国際医療センター病院(当時の名称)に救急搬送された際に、紙業タイムス社のH編集長のお見舞いの品である。このCDは少し体を動かせる許可を頂いてからは、何とか電源にコードを差し込んで、Walkman紛いの機器でそれこそ朝から晩まで取替え引き換え聞き続けた。本当に心地良い音楽だった。その音楽の効果もあったのか、予告された1ヶ月よりも短い19日間で退院出来た。

その昔の同僚だった某大学管弦楽団団長でヴァイオリン奏者のAM君に「モーツァルトは本当に心地良かった」と回顧したところ「モーツァルトを聴いて気分が悪くなる人はいないでしょう」と言われてしまった。今、丁度1枚目のCDが終わったところ。矢張り、気分は爽快である。明日は久しぶりにショパンの「英雄ポロネーズ」にしようか。この曲のピアノ演奏はアルトゥール・ルビンシュタインである。

自由民主党の政治資金改正法の修正案は「ゼロ回答」だった:

2024-05-30 07:20:19 | コラム
「ゼロ回答」は自由民主党の予定の行動ではないか:

本日か明日か知らないが「自由民主党の改正案の修正案が委員会で採決される見込み」と、早朝に何処かのテレビ局のニュースで報じていた。当方のこの件の見方は、先日取り上げた某大学教授が「自由民主党が自らの資金源を立つような改正案を出す訳がないでしょう」が全てであると思っていた。であれば、「公明党の山口代表が歩み寄りを表明した事」と合わせて考えれば、余り価値があるニュースではないのではないか。

公明党は当初は自民党の「10万円超を公開」に対して、強硬姿勢のように「5万円案」を譲らなかった。だが、折角長年確保してきた与党の席をむざむざと維新や国民民主党に明け渡すとは到底考えられなかった。上記の教授が早々と読んで見せておられた程の明々白々の「出来レース」で悪ければ、「シナリオ通り」に事が進んでいく模様だ。野党もマスコミも自由民主党の修正案を「ゼロ回答」と批判したが、そんな事は出てくる前から解っていただろうに。

共産党の山添拓が「自由民主党と財界の癒着で、企業・団体からの献金を禁じた代わりに政党交付金が交付されながら、政治資金パーティーで億単位の資金の供与を受けている以上云々」と、委員会だったかで指摘していた場面がテレビのニュースで流されていた。だが、中立を標榜するメデイアは「故に、自由民主党は野党の改正案に歩み寄る訳がない」とは、追いかけて解説はしなかった。

当方には岸田総理/総裁が「何としても政権を維持しよう」と言うのか、「政権に執着する懸命の姿勢」を取られるのは、当然の事であるとしか見えない。野党にしたところで、その辺りが読めていなかったはずはないと思う。昨夜もPrime Newsでは、日本大学危機管理学部教授先崎彰容氏が「多数を持っている方が決めるのが民主主義」と指摘しておられたのを聞いて「それに違いないな」と、事改めて痛感していた。

国民に残された課題というか、真剣且つ慎重に考えねばならなくなる事は「この姿勢を採る自由民主党を支持するのか、政権交代を望むか」ではなかろうか等と、評論家のような事を言って終わる。

スポーツの世界のカタカナ語

2024-05-29 07:20:14 | コラム
日本語化されてしまった名称が多い:

今回はスポーツの名称のカタカナ表記を順序不同で取り上げていこう。

サッカー→soccer:
解説)未だに正式名称はAssociation footballだと信じている。嘗てはsockerと表記され「ソッカー」と表記されていた。慶応大学のサッカー部は確か「ソッカー部」となっていたと記憶しているし、早稲田大学では「ア式蹴球部」だったと思う。また、ラグビー部は「ラ式蹴球部」だったと朧気ながら覚えている。いつの間にかsoccerの表記が普及している。当方は昭和20年に中学校に入学して「蹴球部」に入ったものだった。

アメリカンフットボール(アメフト)→Football:
解説)アメリカには「アメリカンフットボールが存在しないのは、「アメリカンコーヒーがない」のと同じこと。「サツマイモは沖縄に行けば琉球芋になるのと同じか」と思う。

アメリカに行けばfootball と言えばフットボールであり、我が国で言う「アメフト」のこと。だが、UKには2回しか行ったことがなかったので、soccerをfootballと言っているか否かは調べたことがない。嘗ては「米蹴」や「鎧球」と呼ばれていた。「鎧」とは、ヘルメットや防具を着けた格好が鎧武者に似ていると思ったらしい。

オーストラリアフットボール→Australian football:
解説)オーストラリアであるからラグビーにも似たところがある競技。1ティーム18人でゴールが四つあったか。独特のルールの下で試合が行われる。タックルというか当たりが極めて激しく、一寸見ると恐ろしくなる。オーストラリアでは人気が高いと聞き、多くの人が慣れ親しんでいるとか。故に、ラグビーやサッカーの選手たちもその経験と優れた体格を活かした激しい動きをする者が多いという印象。

なお、Australiaの正式な発音は「オーストレイリア」である。だが、この国の英語の独特の訛りで「オーストライリア」と発音する人は多い。

カナデイアンフットボール→Canadian football:
解説)同じ大陸の中のアメリカのフットボールと似ていると思う。防具等は同じであり試合の運び方も似通っているので、アメリカのNFL(プロのリーグ)から転進するか、大学から加盟していく者も多いと聞いた。1ティームは12名だったか。私はついぞ見る機会はなかった。ここでも発音に一言触れるのだが、Canadianは「カネィディアン」であって「カナデイアン」はカタカナ語である。

ホッケー→hockey:
解説)国内では何試合も見たが、1988年にカナダではNHLの2部だったかの試合を一度観ただけなので、ここではカタカナ表記を取り上げるに止める。問題にしたいのは「ローマ字式に”o”を「オ」と発音し表記する点」だ。この発音はUKに行っても「ハキー」で「ホッケー」とはならないのである。Oxford English Dictionaryによれば「アメリカでは『ハーキー』となる」とあった。また、keyの所も「ケー」ではなく「キー」だったのも面白い。

バスケットボール→basket ball:
解説)ここでは余り取り上げたい話題がない。その昔の名称は「籠球」だった。この競技の発祥地はアメリカである。

バレーボール→Volley ball:
解説)正確な発音をカタカナ表記すると「ヴァリーボール」が最も近いかと思う。ここでは“o”を「ア」にしたところが興味深い。恐らく、この競技はアメリカが発祥に地だからだと推察している。ここで興味深い現象がある。折角volleyを「ヴァリー」というカタカナ表記にしたのに、テニスでは「ボレーショット」、」サッカーでは「ボレーキック」にしてしまった点なのだ。この「ボレー」の箇所はvolleyだったのだから。

カタカナ表記にする際に一寸でも調べてみれば「バレーボール」という先達がいたのに気が付いたはずだ。残念なことをした。昔の名称は「排球」だった。

今回は競技の名称だけを取り上げたが、各競技の専門語/用語には先達の苦労を偲ばせる点が多々ある。だが、野球の場合には殆どが和製語である辺りが興味深いのだ。

余談だが、私が興味ある現象だと見ていることは「バレーボール部」、「バスケットボール部」、「サッカー部」、「アメリカンフットボール部」、「ラグビー部」はあるが「ベースまたはベイスボール部」はなくて「野球部」がある事。また1872年だったかに伝来したbaseballを「野球」とした名付け親は正岡子規だと思っていたが、正しくは“中馬庚”なのだそうだ。

5月28日 その3 「カタカナ語排斥論者兼英語評論家は大いに勉強させて頂いた」の訂正版です

2024-05-28 16:45:41 | コラム
箱田勝良氏は別な視点からカタカナ語の問題点を指摘された:

(筆者の言い訳;いくつか恥ずかしい誤りがあったので、遅まきながら“Better late than never.“の考え方に基づいて訂正する次第。気が付いた方はおられたでしょうね)。

昨日も取り上げたことで、「株式会社イーオンの箱田勝良氏のカタカナ語化されたラグビーの『反則』の表現の問題点の指摘」には大いに勉強させられた。あらためて、少し長くなるがその当方の関心を引いた辺りを引用してみると、下記のようなことだった。

>引用開始
スロー・フォワードは、英語ではForward passと言い、直訳すると「前方へのパス」という意味です。もしも英語でレフリーがThrow forward!とコールをすると「前に投げなさい!」と、真逆のことを指示しているように聞こえてしまいそうですね。

ノック・オン(Knock on)は英語ではLost forwardと言うこともあります。knockは「たたく」「当たる」という意味で、onはonward(前方へ)という意味ですので、「前にはじく」という感じの意味でしょう。Lost forwardは「前方に落とした」という感じに聞こえます。

ノック・オンは、パスを受け取るときにうっかりしてしまうことがありますので、プレーヤーは体を前方ではなく、横に向けてパスを受けることもあるそうです。そうすれば、万が一ボールを落としても前方にいかず、ノック・オンになる可能性が低くなるらしいですね。

スロー・フォワードのほかにも、日本で使われている表現と英語の表現が異なるものがあります。ラグビーでは「ボールを持っているプレーヤーは、タックルをされて倒れてしまったときには、ボールを離さなければいけない」というルールがあるのですが、これを破ると「ノット・リリース・ザ・ボール」という反則を取られます。英語で書くとNot release the ballで、「ボールを離さない」というのをそのまま英語にした感じですね。

でもこの反則が起きたとき、実際に英語ではRelease the ball(ボールを離しなさい)とコールされます。Not release the ball!と言うと、Don’t release the ball(ボールを離してはいけません)みたいに聞こえなくもないですよね。先ほどのThrow forwardと同様に反対の意味になってしまいそうです。和製英語では、プレーヤーが行なっている行為を英語にしているのだと思われますが、これが命令形のように聞こえてしまうと「その反則をしなさい」という意味になってしまうのが厄介ですね。

「ノット・リリース・ザ・ボール」はHolding on(ノット・リリース・ザ・ボール)Held on(ノット・リリース・ザ・ボール)とコールされることもあります。これは「(ボールを)持ったままの状態です」、「(ボールを)持ったままの状態でした」という意味です。日本語でもこちらをカタカナにして使用したらよかったのですけれどね……。あ、でもHold on!と命令形になってしまうと、「(ボールを)持ったままでいなさい!」となってしまうので、同じことですね。
<引用終わる

ラグビーという競技と、英語の専門語の両方か、または何れか一方に関心を持っておられる方には興味深いというか、面白い話題の取り上げ方だと思って読んだ。と言うのは「スロー・フォワード」(=throw forward)を“forward pass“としなさいであり「前にパスしなさいとなる」と言っておられる点は、私ならば”throwing forward“と言わないことには文法的に誤りであると主張するところだ。

次には「ノット・リリース・ザ・ボール」(=not release the ball)では「ボールを離さないで」と命令していることになるとの指摘。私は長年“not releasing the ball“とすべきである「文法的な誤り」だと考えて、おかしなカタカナの用語だと批評してきた。箱田氏の説には「目から鱗」とまでは言わないが、「そういう見方があるとは」と感心して勉強になった。

私の年来の指摘は「多くのカタカナ語になった熟語には英語の語順を離れた日本語の表現を使っていると、英語の文法から見れば誤りなのに、それに気が付かない程深く英文法が理解されておらず、無視してしまうのが宜しくない」という事だった。その例として屡々取り上げてきたのが「ヒーローインタビュー」だった。

この熟語は最早完全に日本語としてテレビ局が日常的に使っているが、英語ならば“interviewing the hero“としたいのだ。即ち、インタビューするのはアナウンサー辺りなのだが、「ヒーローインタビュー」では「ヒーローが誰かをインタビューするという形になってしまっている」のだ。箱田氏の指摘にも似通っている。これは「我が国の英語教育の至らざる点の一つ」であろう。

次に先人の工夫の跡が見える例として「オーダーメイド」(英語で書けばorder made)を取り上げたい。これも非常に良く出来た造語で「注文服」か「受注での製品」を表していると思う。日本語として通用しているから「使いなさんな」などと野暮は言わない。英語は“custom made”か“tailor made”か“made to order“辺りだと思う。

そして、私が最も気に入っている何度か取り上げてきた「笑えない誤訳」の例を挙げておきたい。それは「ヒーローインタビュー」でホームランを打ったアフリカ系の選手に向かってアナウンサーが「ホームランを打ったボールはどんな球でしたか」と尋ねた。通訳さんは“What kind of ball did you hit homerun?“と躊躇わず訳した。ここまでで「何が言いたいのか」をお分かりの方はおられると思う。

アメリカ人の選手は「ニヤリ」と笑って“I think it was not a football but a baseball.“と答えたのだった。アナウンサーは「球種」を尋ねたのだったが、通訳さんは「ホームランを打った球」を日本語の用語の球の通りに“what kind of ball”としたので「フットボールではなく、野球のボール」と意地悪をされたのだった。アメリカでは「球」は“pitch“が普通で“Here comes the delivery.“などという言い方もあった。

最後に矢張り文法的な揚げ足取りと言われそうな問題を。フットボールでもラグビーでも相手が投げたパスを横取りすることを、こちらでは「インターセプト」と呼ぶのが一般的だ。だが、アメリカで聞こえてくるのは“interception“と名詞形なのだ。それも当然で「インターセプト」(=intercept)は動詞形なのだから。同様に「インターフェアー」は一寸難しい“interference“という名詞で言うのが文法的に正確だ。

因みに、箱田勝良氏は株式会社イーオン法人部企業研修教務コーディネーターである方とネットで知った。また株式会社イーオンはスーパーマーケットのイオン(AEON)とは別個の企業である。


5月28日 その2 カタカナ語排斥論者兼英語評論家は大いに勉強させて頂いた

2024-05-28 10:59:52 | コラム
箱田勝良氏の別な確度からカタカナ語の問題点を指摘された:

昨日も取り上げたことで、「株式会社イーオンの箱田勝良氏のカタカナ語化されたラグビーの『反則』の表現の問題点の指摘」には大いに勉強させられた。あらためて、少し長くなるがその当方の関心を引いた辺りを引用してみると、下記のようなことだった。

>引用開始
スロー・フォワードは、英語ではForward passと言い、直訳すると「前方へのパス」という意味です。もしも英語でレフリーがThrow forward!とコールをすると「前に投げなさい!」と、真逆のことを指示しているように聞こえてしまいそうですね。

ノック・オン(Knock on)は英語ではLost forwardと言うこともあります。knockは「たたく」「当たる」という意味で、onはonward(前方へ)という意味ですので、「前にはじく」という感じの意味でしょう。Lost forwardは「前方に落とした」という感じに聞こえます。

ノック・オンは、パスを受け取るときにうっかりしてしまうことがありますので、プレーヤーは体を前方ではなく、横に向けてパスを受けることもあるそうです。そうすれば、万が一ボールを落としても前方にいかず、ノック・オンになる可能性が低くなるらしいですね。

スロー・フォワードのほかにも、日本で使われている表現と英語の表現が異なるものがあります。ラグビーでは「ボールを持っているプレーヤーは、タックルをされて倒れてしまったときには、ボールを離さなければいけない」というルールがあるのですが、これを破ると「ノット・リリース・ザ・ボール」という反則を取られます。英語で書くとNot release the ballで、「ボールを離さない」というのをそのまま英語にした感じですね。

でもこの反則が起きたとき、実際に英語ではRelease the ball(ボールを離しなさい)とコールされます。Not release the ball!と言うと、Don’t release the ball(ボールを離してはいけません)みたいに聞こえなくもないですよね。先ほどのThrow forwardと同様に反対の意味になってしまいそうです。和製英語では、プレーヤーが行なっている行為を英語にしているのだと思われますが、これが命令形のように聞こえてしまうと「その反則をしなさい」という意味になってしまうのが厄介ですね。

「ノット・リリース・ザ・ボール」はHolding on(ノット・リリース・ザ・ボール)Held on(ノット・リリース・ザ・ボール)とコールされることもあります。これは「(ボールを)持ったままの状態です」、「(ボールを)持ったままの状態でした」という意味です。日本語でもこちらをカタカナにして使用したらよかったのですけれどね……。あ、でもHold on!と命令形になってしまうと、「(ボールを)持ったままでいなさい!」となってしまうので、同じことですね。
<引用終わる

ラグビーという競技と、英語の専門語の両方か、または何れか一方に関心を持っておられる方には興味深いというか、面白い話題の取り上げ方だと思って読んだ。と言うのは「スロー・フォワード」(=throw forward)を“forward pass“としなさいであり「前にパスしなさいとなる」と言っておられる点は、私ならば”throwing forward“と言わないことには文法的に誤りであると主張するところだ。

次には「ノット・リリース・ザ・ボール」(=not release the ball)では「ボールを離しなさい」と命令していることになるとの指摘。私は長年“not releasing the ball“とすべきである「文法的な誤り」だと考えて、おかしなカタカナの用語だと批評してきた。箱田氏の説には「目から鱗」とまでは言わないが、「そういう見方があるとは」と感心して勉強になった。

私の年来の指摘は「多くのカタカナ語になった熟語には英語の語順を離れた日本語の表現を使っていると、英語の文法から見れば誤りなのに、それに気が付かない程深く英文法が理解されておらず、無視してしまうのが宜しくない」という事だった。その例として屡々取り上げてきたのが「ヒーローインタビュー」だった。

この熟語は最早完全に日本語としてテレビ局が日常的に使っているが、英語ならば“interviewing the hero“としたいのだ。即ち、インタビューするのはアナウンサー辺りなのだが、「ヒーローインタビュー」では「ヒーローが誰かをインタビューするという形になってしまっている」のだ。箱田氏の指摘にも似通っている。これは「我が国の英語教育の至らざる点の一つ」であろう。

次に先人の工夫の跡が見える例として「オーダーメイド」(英語で書けばorder made)を取り上げたい。これも非常に良く出来た造語で「注文服」か「受注での製品」を表していると思う。日本語として通用しているから「使いなさんな」などと野暮は言わない。英語は“custom made”か“tailor made”か“made to order“辺りだと思う。

そして、私が最も気に入っている何度か取り上げてきた「笑えない誤訳」の例を挙げておきたい。それは「ヒーローインタビュー」でホームランを打ったアフリカ系の選手に向かってアナウンサーが「ホームランを打ったボールはどんな球でしたか」と尋ねた。通訳さんは“What kind of ball did you hit homerun?“と躊躇わず訳した。ここまでで「何が言いたいのか」をお分かりの方はおられると思う。

アメリカ人の選手は「ニヤリ」と笑って“I think it was not a football but a baseball.“と答えたのだった。アナウンサーは「球種」を尋ねたのだったが、通訳さんは「ホームランを打った球」を日本語の用語の球の通りに“what kind of ball”としたので「フットボールではなく、野球のボール」と意地悪をされたのだった。アメリカでは「球」は“pitch“が普通で“Here comes the delivery.“などという言い方もあった。

最後に矢張り文法的な揚げ足取りと言われそうな問題を。フットボールでもラグビーでも相手が投げたパスを横取りすることを、こちらでは「インターセプト」と呼ぶのが一般的だ。だが、アメリカで聞こえてくるのは“interception“と名詞形なのだ。それも当然で「インターセプト」(=intercept)は動詞形なのだから。同様に「インターフェアー」は一寸難しい“interference“という名詞で言うのが文法的に正確だ。

因みに、箱田勝良氏は株式会社イーオン法人部企業研修教務コーディネーターである方とネットで知った。また株式会社イーオンはスーパーマーケットのイオン(AEON)とは別個の企業である。