我が国は何をやっていただろう:
昨年11月からの前立腺がんの治療法の副作用に苦戦中なので、一寸不適当なことを言ってしまったかも知れないが、何とかしようとしている懸命の意欲をご理解賜りたい。
アメリカって凄いなと感じた:
一人旅:
1972年8月に生まれて初めてアメリカに渡った。最初に入ったジョージア州アトランタのMeadの事務所で「明日は君一人でアラバマ州フェニックスの製紙工場に行くように」と言い渡された。「右も左も分からない私がどうやって行くのか」と聞き返すと「明朝この鍵を持って空港に行って、我が社専用のロッカーを探して開けてみよ。そこに君の往復の航空券が入っている。到着した空港には迎えの者がいる」と言われた。
なるほど、Mead社専用のロッカーがあり、料金支払い済みの航空券もあった。帰りの便も指定されていた。「アメリカって凄いのだな」と感じた。フェニックスとはアリゾナ州にあるのだと思っていたが、アラバマ州にもあるのだと知った。
リモートコントロール:
次の驚きはコネティカット州のパルプ部の本部に行った際に、副社長の自宅に立ち寄ってから夕食となった。副社長は「ここが私のworkshop」と言って、工具が散らかっている部屋を自慢げに見せてくれた。彼が言うには「目下、テレビのリモートコントロールの開発中で、もう少しで完成する」のだそうで、実験して見せたくれた。「リモートコントロール」とは何のことか解らなかったが、今で言うリモコンのボタンを押すとチャンネルが変わっていくのだった。「アメリカ人って凄いな」と感じ入った。
ドライブスルー銀行:
1975年3月のことだった。ウエアーハウザーに転じて最初の本部出張が長引いて、持参したトラベラーズチェックを使い切ってしまった。そこで、本部で500ドルだったかを支給してもらうことになり、小切手を渡された。「これでは身動きが取れない」と上司に訴えると「5時過ぎに仕事が終わるから待っていろ」と言うのだ。「銀行が閉まってしまうのでは」と言っても相手にされなかった。
5時過ぎに彼はやおら腰を上げて私を車に乗せて動き出したかと思えば、銀行の支店の裏側に回った。そこで伝声管みたいな器具に「小切手を現金化したいのだ」と叫ぶと、蓋が開いて「そこに小切手を入れろ」との指図が来た。入れてみた。間もなく500ドルの札束が返ってきた。アメリカでは5時過ぎでも銀行は営業しているのだと知った。「凄いな」と言うよりも「能率的だな」と感心した。
日本は素晴らしい先進國なのだと確信していた:
それは1964年には東海道新幹線が開業していたし、優れた電気製品や自動車を次から次へと売り出して「アメリカ何する者ぞ」という勢いがあると信じていた。1979年のことではあったが、ソニーがウオーウマンを発売して世界を驚かせた。でも、初めてアメリカに来てみれば、どうもそうとばかり言っていられないように感じた。
ウエアーハウザーに来てみると、本社ビル内に本局があって、全アメリカ中の事業所、事務所、工場が内線で繋がるような電話のシステムが構築されていた。しかも、ワシントン州からニューヨークの取引先に電話をしても、ニューヨーク市内の公衆電話からかけたのと同じ料金で済むようになっていた。このシステムを作り上げるのにかかった「イニシャルコスト」は多額だったが「オペレーティングコストは低額で済む」と聞かされた。「アメリカの大企業って凄いな」と感心した。我が国にこういう発想があるかなと考えてしまった。
バブルが弾けて以来、我が国から何か世界を驚かすような開発商品が出たかなどと、つい考えてしまう。物を作るという技術的な面ではアメリカを凌駕したと思っている。だが、未だにGAFAMの域に達している企業が出ていない気がする。そうこうしている間に「チャットGPT」が出てきてしまった。AIは将棋の藤井聡太君の専用だと思っていたら、OPENAIという会社が「チャットGPT」を世に送り出してしまった。
インバウンド頼り:
正直に言って「これほど情けないものはない」と思っている。インバウンド様たちは我が国のみにしかないような世界的な商品が欲しくてお出でになっている訳ではないのだ。” Nobody created Mt. Fuji.“と言い切った人もいた。京都には大勢の外国人が来てくださるが「1000年以上も前にこんな建築ができていた」言うのは結構だが、観光客の出費に依存しているのはどうかなと思ってしまう。「何とかダンク」目当ての観光客のマナーが悪いと嘆くのはおかしくはないか。
エネルギーコストが上がったからと言って電気料金を値上げするとか、節電をしてくださいと政府が言うのは恥ずかしくないのか。福島でキチンと処理した冷却水の海への排水を何処かの国に何か言われると凹むのは、外交力が弱すぎないか。正しい情報の発信力不足と説得力の欠如ではないのか。外国人との論争がそんなに怖いのかと疑いたくもなる。正しいことをした方が何で直ぐにへこたれるのか。
「君は常にnegativeだ」と我が社のジャパンの社長に批判されたが、そういうつもりで言っているのではない。何とかできる限り改善していこうと言いたいのだ。これからの我が国を背負っていく年齢層にビル・ゲイツやスティーブ・ジャブズを追い抜いて見せようという意欲を出してほしいのだ。我が国にはそういう人材は豊富だと信じている。
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