本の読み方の設計図。

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論拠・主張

論証=事例、引用。

偏見を打ち破る希望の哲学 マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか?』

2019-08-10 19:14:45 | 2019年始動。革命のスタート。
なぜ世界は存在しないのか
Markus Gabriel
Warum es die Welt es die Welt nicht gibt


ずっと読みたかった本。相当久しぶりの哲学書。
はじめてのマルクス・ガブリエル。

学び:自分の価値観がそれぞれにフェティシズムであると気づくこと。
偏見から離れ、生きる意味をともにつくる希望の哲学。

本書:新しい実在論的な存在論の概要。25

ニーチェの構築主義と違い:
構築主義はとらえられるものだけが存在すると考える。61

<存在とは?>
◎ 存在すること=何らかの意味の場の中に現れること97
◇意味の場:何らかのもの、つまりもろもろの特定の対象が,何らかの特定の仕方で現象してくる領域のです。102
定義:何かが意味の場に現れている状態、それが存在するということ。76
およそ何かが存在すると言えるのは,その何かが世界の中に現れる時だけです。23


結論:★★★★★0-0-0書き出し
ポイントをはっきりさせていえば、人生の意味とは、生きるということにほかなりません。つまり、尽きることない意味に取り組みつづけることということです。
すべてを包摂する基本構造なるものを断念すること、その代わりに、現にみられる数多くの構造をもっとよく、もっと先入観なく、もっと創造的に理解するべき共同で取り組むことです。294

人生の意味に対する答えは,意味それ自体のなかにあります。わたしたちが認識したり変化させたりすることの出来る意味が、尽きることなく存在している-このこと自体が、すでに意味に他なりません。293

★ ★★★★★わたしたちは、無限に多くの意味の場のなかをともに生きながら,そのつど改めてその意味の場を理解できるものにして行くわけです。それ以上に何を求めるというのでしょうか。人間は、誰もが一人ひとりの個人です。しかし、同じようにそれぞれの個々のものであるさまざまな意味の場を、私たちは共有しています。ですからわたしたち一人ひとりが自分自身に閉じ込められている訳ではありません。ましてや自らの自己意識に閉じ込められているわけではありません。274

★★★★★「いっさいが生じる唯一の世界、何が実在で何が虚構かを決めている唯一の世界が存在する」という固定概念を超える解釈可能性。292

★ ★★★★すべてを描いている画家は、自らが描いている絵の制作に際して,まさに当の絵を制作している自己自身を描くことが出来ません。112

★★★★★わたしたちが経験しているのは,何ものにも束縛されない根底的な創造性に他なりません。そのような創造性には,原理的に限界はありません。わたしたちが考えていたよりも大きなものが,つねに存在します。さまざまな意味の場が、考えられるかぎりのさまざまな方向へと、果てしない入れ子状態をなして広がっているわけです。201

②世界は存在しないという理由★★★★★
<否定的な存在論の主命題:世界が存在しない理由>
◎無限に数多くの意味の場が存在し,無限に多様な仕方で入れ子構造をなしているという事実。114

「現実」とは、無限の入れ子構造をなす無限の大きな複眼のようなものではないでしょうか。126

<新しい実在論>
◎ 世界は数多くある。17
◎ 主観的心理もたしかに存在すると想定します。183
◎ わたしたちに気づかれているからこそ存在している訳ではありません。ほとんどのものは、たんにわたしたちに気づかれずに現象します。103

②-b★★★★★取り上げる。
★ ★★★★つまりわたしは、世界は存在していないということだけでなく、世界以外のすべては存在するということも主張したいわけです。19数多くの小宇宙は存在していても、それらのすべてを包摂するひとつの世界は存在していません。20

新しい実在論の出発点となるのは,それ自体として存在しているような世界を私たちは認識しているのだ,ということです。13

◎つまりは②-c★★★★★
世界は見る人それぞれにまったく別の視点で見える=存在しているという観点。

新しい実在論が想定するのは,わたしたちの思考対象となるさまざまな事実が現実に存在しているのはもちろん、それと同じ権利で、それらの事実についてのわたしたちの思考も現実に存在している、ということなのです。15


<世界:ヴィトゲンシュタイン>
◎たったひとつの世界なるものは存在せず、むしろ無限に数多くの諸々の世界だけが存在している。そして、それらもろもろの世界は、いかなる観点でも部分的には互いに独立し合っているし、また部分的には重なり合うこともある。87
定義A:世界とは,物の総体でも事実の総体でもなく,存在するすべての領域がそのなかに現れてくる領域のことです。存在するすべての領域は、世界に含まれている。69

定義B:世界とは、すべての意味の場の意味の場、つまりそれ意外のいっさいの意味の場がその中に現象してくる意味の場であり,もってすべてを包摂する領域である。108

世界とは、すべての領域の領域、すべての対象領域を包摂する対象領域である。55
◎ 世界とは成立している事柄の総体である。51
◎ 世界とは事実の総体であって、物の総体ではない。51

結論:
1. およそ存在するいっさいの性質を備えた対象は存在しうるのか。
2. どの対象も、ほかのすべての対象から区別されるのか。
この2つの対に対する、わたしの答えは「否」です。ここから導き出されることになるのが、世界は存在しないという結論です。第一に世界とは、いっさいの性質を備えた対象であるはずだからです。79

③世界を歪めるものフェティシズムとは?★★★★★
【答えを想定したがる原理:フェティシズム:宗教の意味】
「知っていると想定される主体」を人間は常に必要としている。〜ラカン206

◇ フェティシズム:取り上げる★★★★★
◎フェティシズムは,特定の対象が格別に崇拝されることではなく、およそ崇拝される対象が存在していることそれ自体にあるのです。フェティシズムは何らかの対象をいっさいのものの根源と同一化し,当の対象から、すべての人間がしい違うべき同一性の模範を導き出そうとします。215
★ ★★★★「フェティッシュ」とは、ひとが自ら作ったものです。それも、ひとが自ら作ったにもかかわらず、作った人自身が自らを欺いて、自分がそれを作ったのではないと思い込んでいる-そういうものにほかなりません。206

フェティシズムとは、自らの作った対象に超越的な力を投影することです。そのような投影によって、ひとは合理的な全体に自らの同一性を統合しようとするわけです。何らかの仕方で理解することのできる全体の伊一部分として自身を捉えることが出来れば,自分は孤立せずに守られていると感じられて安心できるからです。205

定義:フェティシズムとは,ポルトガルゴの「フェティース」に由来しています。この言葉は、そのもとになった「作る」「なす」といった意味のラテン語「ファケレ」が潜んでいます。

▲ 世界〜その無限なるものへの戯れ〜
★ ★★★★無限なのは宇宙だけではありません。宇宙にたいするわたしたちの立場のとり方も、やはり無限に多様にありうる。無限なものの直感は無限に数多く存在するし,したがって、そのような直感としての宗教も無限に数多く存在することになります。210

いかなる宗教もフェティシズムを完全に免れることはありません。無神論も-いや、無神論こそが-そうです。意味を持たない純粋に物質的な宇宙を崇拝する態度にも、まったく同じように宗教的性格があるからです。212

④偏見から逃れる術★★★★★
◇ 芸術:意味を問う営み〜フェティシズムを克服するもの
◎芸術の意味の場がわたししたちに示してくれるのは、さまざまな意味の中には、わたしたちが能動的に取り組まなければ存在しないものもある、ということです。245
芸術のポイント:古典的な美の概念を打ち破り,それによって「芸術とはある種の娯楽である」というテーゼに抵抗することにあるのです。

わたしたちが美術館にいくのは、美術館では、あらゆるものにたいして違った見方をするという経験ができるからです。244

◎ この世界全体とは何なのでしょうか?30
わたしたちは宇宙の中に存在しているが、その宇宙は空虚の中に、つまりどこでもないところに存在しているのだ。35

対象領域:捉えられるもの=宇宙の中には存在しない対象が数多くある。45
人間の認識というスポットライトの中に現れてくるものは人間にとってはどれほど大事なものであっても,全体から見れば、ないも同然なほどわずかしかありません。82


この哲学の出発点となる基本思想は、ごく単純なものです。すなわち世界は存在しない、ということです。世界は存在しないという原則には,それ以外のものはすべてのものは存在しているということが含意されているわけです。わたしの主張によれば、あらゆるものが存在することなるーただい世界は別である、と。8

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