○ 前回は中途半端な委員会設置会社制度について記載しました。日本は米国の制度のまねをし、指名・監査・報酬委員会を設置しています。では、米国の取締役会の委員会はどうなっているのでしょうか?<o:p></o:p>
・ 模範事業会社法の8.25条を見てみましょう。それによれば、取締役会は1つ以上の委員会を設置し、取締役の1名又はそれ以上の取締役を、その委員会の委員として選定することが出来るとしています。特に、指名・監査・報酬委員会を設置しなさいとは規定していません。また、日本の会社法では、400条で各委員会は委員(=取締役)3人以上で組織し、かつ各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければならないと定めています。即ち、米国では特にどういった委員会を設置しなさいという規定は無く、慣行的に種々の委員会が出来たのですね。各州の会社法で詳細が規定されているわけではありません。また、この慣行を踏まえ、New York証券取引所では、上場基準(上場会社マニュアルのセクション303A等)として コーポレートガバナンスの一環として各種委員会・委員の人数・独立取締役等を定めています。<o:p></o:p>
○ 模範事業会社法§ 8.25. COMMITTEES
(a) Unless this Act, the articles of incorporation or the bylaws provide otherwise, a board of directors may create one or more committees and appoint one or more members of the board of directors to serve on any such committee.
(b) Unless this Act otherwise provides, the creation of a committee and appointment of members to it must be approved by the greater of (1) a majority of all the directors in office when the action is taken or (2) the number of directors required by the articles of incorporation or bylaws to take action under section 8.24. (C)は省略
(d) To the extent specified by the board of directors or in the articles of incorporation or bylaws, each committee may exercise the powers of the board of directors under section 8.01.
(e) 利益配当・付随定款変更・総会付議案件等の重要事項は、取締役会のみの権限であり委譲(delegate)出来ない旨の規定(詳細省略)<o:p></o:p>
○ 米国では、委員会の数には制限がないので、いくつも設置できます。大規模な会社では、執行委員会(executive committee)、財務委員会(finance committee)、監査委員会(audit committee)、指名委員会(nominating committee)、報酬委員会(compensation committee)等を設置しています。ただ、監査委員会の設置を強制している州もあるようです。委員会の委員は社外取締役(outside director。最近は独立取締役)でなければならないという規定もありません。しかし、米国の大規模な会社では、取締役の過半数は社外取締役ですので、業務の執行についての執行委員会は社内取締役(inside director)によって構成されても(というか社内取締役でないと業務執行できない)、一般的には、監査委員会、指名委員会、報酬委員会は、社外取締役で構成されるのが普通になっています。日本は、この3つの委員会を法律で規定し、過半数は社外取締役としたわけですね。<o:p></o:p>
○ では、New York証券取引所の上場会社マニュアル(303A)に定めるガバナンスでは、どのようになっているのでしょうか。それは以下の通りです。
1) 取締役会の過半数は独立取締役(同マニュアルに定める独立性の要件を満たす)でなければならない。
2) 監査委員会は、3名以上の独立取締役だけで構成されなければならない。
3) 独立取締役のみからなる、指名(推薦)委員会・コーポレートガバナンス委員会を設置すること。
4) 報酬委員会についても、独立取締役のみで構成すること。
5) その他、一般的には、ストックオプションによる役員報酬については、株主総会の承認を得ること。<o:p></o:p>
日本には日本の事情があるので会社法で修正していますね。ガバナンスをどうするかというのは、なかなか厄介な問題ですね。<o:p></o:p>
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