まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

中途半端な委員会設置会社の制度

2011-07-18 21:58:26 | 商事法務

 久しぶりに会社法「けち」シリーズです。ご承知の通り委員会設置会社の制度は、  米国型のコーポレートガバナンス制度の物まねですね。旧商法特例法で委員会等設置会社の制度ができて暫くたちますが、取締役が代表執行役や執行役を兼任しています。監査委員会のみならず指名・報酬委員会の委員は、過半数を社外取締役にしないといけませんが、この要件を満たせば取締役は兼任ができます。監査役設置会社の監査役と委員会設置会社の監査委員の違いを整理すると以下でしょうか。

1) 監査役設置会社の取締役は当然監査役との兼任は禁止されていますが、委員会設置会社では監査委員は取締役の中から人選される

2) 監査役の任期は4ですが、監査委員は取締役なので任期は1年

3) 監査役は法令・定款違法と著しく不当な事項の監査ですが、監査委員は妥当性についても監査できる(と解されている)。

4) 監査役は独任制の機関であるが、監査委員の権限は監査委員会が選定した者が行使する。

 上記通り、よくこれだけ矛盾する内容を同じ会社法に入れ込んだものですね。例えば、監査役の任期は、その地位の強化と安定化の為に4年にまで延長されましたね。一方監査委員は1年。要するに、委員会設置会社と監査役設置会社とは矛盾するというか、相反する方向が逆の考え方です。世界の大半の制度は、いずれか一方の制度なのに、日本では中途半端で2つの制度を設けてどっちつかずなのです。

即ち、①二元モデル=取締役会とは別に業務執行を監督する機関(監査役)を設けて、株主総会が監査役を選任するものと、②モニタリングモデル=社外取締役を中心として、執行機関の業務執行を監督するモデルですね。二元モデルの典型はドイツですね。監査役会が取締役の選任・解任権限を有します。

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 ○ 米国の制度の物まねと言いましたが、別に米国の各州の会社法で委員会設置が決められ  ている訳でもありません。会社法上は委員会を設置する事ができるとしています。むしろ会社法では無く、証券取引所の上場規則の影響だと思います。またSOX法では、監査委員会は独立取締役のみにより構成するとされていますので、そういった影響もありますね。米国では独立取締役です。日本では形式的な要件を満たせばよい社外取締役ですね。これも中途半端な考え方です。その会社の事業に精通している訳でもない、少し有名な弁護士、学者、官僚出身者等が多いですね。あるいは取引先の代表取締役を社外取締役にしている例もあります。忙しい人も多いです。まともに社外取締役の職務を遂行出来るとは思いませんね。有名人を持ってくれば良いというものではありません。形作って中身不明、どういう方向で進むのかも不明、十分な議論も無しに制度をまねたという感じです。現在会社法改正が再度議論されています。日本政府と同じような朝令暮改・迷走はやめて欲しいですね。


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