表題は少し不正確ですね。短くしたからですね。正確に言いますと「準備金の額の減少決議に伴う債権者保護手続は遵守されているのか?」と言うことですね。 ○ 法448条には準備金の額の減少の規定があります。即ち、以下ですね。 ① 株式会社は、準備金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。 I 減少する準備金の額 II 減少する準備金の額の全部又は一部を資本金とするときは、その旨及び資本金とする額 III 準備金の額の減少がその効力を生ずる日 ○ この規定との関係で、449条では債権者保護手続が規定されていますね。 ① 株式会社が資本金又は準備金(以下この条において「資本金等」という。)の額を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができる。ただし、準備金の額のみを減少する場合であって、定時総会で欠損金額までの減少の場合を除いていますが。 ② 債権者が異議を述べることができる場合には、減少の内容などを官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。但し、異議申述期間は、一箇月を下ることができない。 ③ 前項の規定にかかわらず、株式会社が同項の規定による公告を、官報のほか日刊新聞紙・電子公告によりするときは各別の催告は不要とする。 ○ 一方ご承知の通り、資本金の額は登記事項ですね。資本金の額の減少のときは、変更登記をしないといけません。登記には添付書類が必要です。それには、債権者名簿や、異議申述公告をした掲載紙、各別の場合には債権者異議申述催告書の見本などですね。しかし、準備金は登記事項ではありません。即ち添付書類の用意は不要です。登記によって規制されていないと守らない会社も出てきますね。 ○ まあ、公告方法が官報の会社は、各別の催告ですから債権者が多い会社は手数がかかりますね。これをすり抜ける手だては簡単です。準備金減少の決議の直前の総会議案として、公告方法を日刊新聞に変更しその時点から定款変更の効力発生としてしまえば、日刊新聞紙により公告をし、かつ官報で公告すれば各別の催告が不要となります。普通は、信用調査会社を除けば、新聞・官報による公告など見ていませんからね。 つまり、債権者保護手続がきちんと取られた上で準備金が減少したかどうかは分からないわけですね。
○ 債権者にとって重要な事は、純資産ではありませんね。現・預金とキャッシュフローですね。まあ債権者保護制度などあまり機能していないといいますか、あんまり役に立つ制度ではないですね。
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