まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

基準日の規定は欠陥規定

2009-02-01 01:07:41 | 商事法務

  また会社法の規定への「けち」です。全く私は、けちな男です。「けちからん」ですね。(救いようの無い駄洒落?)。会社法124条には、基準日の規定があります。この規定は、学者のなかでもいろいろ批判の多い規定ですね。

     まず1項です。「株式会社は、基準日を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主をその権利を行使することができる者と定めることができる。」と規定しています。「定めなければならない」とは規定していません。「できる」ということは、してもしなくてもよいということです。

→これは、公開会社でない会社・合弁等、株主が少数で特定されており変動のないような会社としては、公告などする意味もありませんのでしなくてもよいという意味にも解釈できますね。

2項も、「基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から3箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。」としています。

定める場合とありますので、定めない場合もあるということですね。定めない場合はどうすれば良いのでしょうか??

     3項は以下ですね。「株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の2週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。」定時総会の議決権、期末配当・中間配当の基準日は定款に記載しますが、臨時総会等の基準日は定款に規定しませんね。従って、臨時総会を開催するときは、「基準日を定めたときは、基準日及び2項により定めた事項(議決権等の行使可能権利)を公告しなければならない。

→ よくわかりませんね。基準日を定めなければ公告はしなくていいんですかね。3ヶ月以内に行使するものに限るという条件があります。例えば、定款には3月末を基準日として6月の定時総会の議決権を行使すると定めていた場合、11月に臨時総会を開催するときはどうするのでしょうか。基準日を定めない場合は、本来なら総会の日の株主が議決権を持つのでしょうが、実際は招集通知の日の名簿上の株主になるのでしょうか?

     これに関連して、旧商法228-2条には、株券不発行会社について「公告ニ代ヘテ其ノ公告スベキ事項ヲ株主、端株主、株主名簿ニ記載又ハ記録アル質権者及新株ノ引受権又ハ新株予約権ヲ有スル者ニ通知スルコトヲ得 」と規定していました。これまた欠陥規定でしたね。株券不発行会社というのはおかしいですね。規定するなら、全株主を把握している筈の全株式譲渡制限(公開会社でない会社)とすべきだったですね。「公告に代えて通知でも良いです」ということですから、少しはましだったかもしれません。でも株券不発行会社は非常に少なかったから、この規定の恩恵はあまりなかったでしょうね。

・ 今の会社法でも、「公告←→通知」どちらでもよいとしている規定はいろいろあります。一例を挙げれば、804条とか806条にあります。

804④では、「消滅株式会社等は、株主総会の決議の日から2週間以内に、その登録株式質権者及び808③各号に定める新株予約権の登録新株予約権質権者に対し、新設合併等をする旨を通知しなければならない。」としており、⑤では「前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。」としています。

   なぜ、公告又は通知にしなかったのでしょうか?法案書いているうちに忘れた??

     4項はもう最悪の規定です。「基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。」としています。1)基準日後の株式取得者に権利行使を認めることと、2) 新株主の全部又は一部に認めたことですね。

・ 1)については、基準日の制度をないがしろにします。2)については株主平等の無視です。株主不平等扱いの規定です。一部の会社シンパの株主だけに恣意的に認めることも出来ます。経済界の一部の都合のよい会社法を求める人達の意見を取り入れたもののようです。困ったものですね。


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