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「語用論」4 日本語の挨拶表現

2016-12-05 16:58:57 | 国語
 放送大学の「語用論」の授業をを受けて、挨拶目を向けることによって、対人関係の距離をどのように表現しているのかを考察し、ここ数十年の変化について考察した。

 対人関係の距離という観点から特に挨拶について考察する。

 かつて地方では挨拶があまり頻繁には行われなかった。これは私自身が記憶していることでもある。「おはよう」などと言った記憶もあまりない。

 挨拶というのは、尊称に近いものであり、相手との一定の距離をしめすものである。昔は生活範囲が狭く、日常的に顔を合わせる人の数も比較的少なかった。だからみんなが顔見知りであった。挨拶をすると距離感が生まれ、逆に失礼になるという意識が働いていたのではないかと考えられる。

 近年になり、挨拶が頻繁に行われるようになった理由は3点考えられる。

 1つ目は、生活範囲が広がり、昔のような地縁の要素が薄れたためである。対人関係に距離感が生まれ、挨拶を自然に受け入れるようになったのだ。

 2つ目は、その一方で挨拶に対する敬意の低減化が進み、以前ほど挨拶によって距離感が生まれなくなった。挨拶が普通に行われることによって、もともと挨拶に含まれていた敬意が薄れてしまったと考えられるのである。

 3つ目は、学校教育における挨拶運動である。これは現在の日本社会が今日的な新しい学校を中心としたコミュニティを作り上げようとしているためである。昔はご近所(隣組)が地縁の最小単位であったが、今日では学校が地縁の最小単位になっている。人数も多く、地域的にも比較的広くなったコミュニティであるため、挨拶が必要になるのではないかと考えられる。

 つづく
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