とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

安倍総理の真珠湾訪問

2016-12-29 12:59:32 | 政治
 安倍総理が真珠湾を訪問し犠牲者を慰霊した。評価したい。安倍総理の言動には様々な問題があるが、外交面では積極的に活動しており、がんばっていると思う。
 その上で、今回のスピーチについて2点申し上げたい。
 1点目。あまりに詩的すぎる。私には政治家の言葉としては違和感を感じる。例えば次の部分である。

 75年がたったいまも、海底に横たわるアリゾナには、数知れぬ兵士たちが眠っています。耳を澄まして心を研ぎ澄ますと、風と波の音とともに、兵士たちの声が聞こえてきます。

 あの日、日曜の朝の明るくくつろいだ、弾む会話の声。自分の未来を、そして夢を語り合う、若い兵士たちの声。最後の瞬間、愛する人の名を叫ぶ声。生まれてくる子の幸せを祈る声。

 1人、ひとりの兵士に、その身を案じる母がいて、父がいた。愛する妻や恋人がいた。成長を楽しみにしている子どもたちがいたでしょう。それら、すべての思いが断たれてしまった。その厳粛な事実を思うとき、かみしめるとき、私は言葉を失います。

 そのみ霊よ、安らかなれ――。思いを込め、私は日本国民を代表して、兵士たちが眠る海に花を投じました。


 戦後生まれの安倍総理が、さもその光景を見ていたような表現をする。私にはこの表現には違和感を感じる。

 2点目。「希望の同盟」や「和解の力」という言葉は日米の2国間だけのことならばいいのであるが、それ以上の意味を込めているとすれば、さすがに傲慢である。日本にとっての中国や韓国、ロシアなどや、アメリカにとってのムスリムの国などに対してのメッセージが込められているというすれば勘違いであろう。たとえば次の部分。

 戦争の惨禍は、いまだ世界から消えない。憎悪が憎悪を招く連鎖は、なくなろうとしない。寛容の心、和解の力を、世界はいま、いまこそ必要としています。憎悪を消し去り、共通の価値のもと、友情と信頼を育てた日米は、いま、いまこそ寛容の大切さと、和解の力を世界に向かって訴え続けていく任務を帯びています。日本と米国の同盟は、だからこそ「希望の同盟」なのです。


 この発言は、いま現在、日本やアメリカと対立している国にとっては傲慢で不遜な発言のように感じられるだろう。今現在日本とアメリカはいい関係ではあるが、それを対立していたからこそうまくいったのだというふうにも聞こえてくる。その単純化した論理は納得できるものではない。日米同盟のためにいまだに苦しんでいる沖縄県民に対する配慮もかけている。

 今回の安倍総理の真珠湾訪問はプラスの部分が大きいと思う。しかし、同時にそれは別の問題も引き起こす。さまざまな問題解決への安倍総理の謙虚な努力を期待する。
コメント
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