映画『海辺の家族たち』を見ました。兄弟たちの関係をだらだらと描く退屈な映画かもしれないと恐れながら見たのですが、意外な展開があり、その展開が関係性を変えていくために、私にとってとても心地よい映画でした。お気に入りです。
監督
ロベール・ゲディギャン
出演
アリアンヌ・アスカリッド
ジャン=ピエール・ダルッサン
ジェラール・メイラン
(あらすじ)
父が突然倒れた。女優のアンジェルは久しぶりに故郷に帰ってきた。海沿いに町である。家業である小さなレストランを継いだ上の兄のアルマンと、最近リストラされて若い婚約者に捨てられそうな下の兄のジョゼフ、兄妹3人が集まった。意識はあるもののコミュニケーションが取れなくなった父、家族の思い出が詰まった家をどうするかなど、たくさんの話し合うべきテーマを語りながら、それぞれが胸に秘めた過去があらわになっていく。町の人びとも巻き込んで、家族の絆が崩れそうになった時、兄妹は入り江に漂着した3人の難民の子どもたちを発見する。
この映画は不思議な転換点がいくつかあります。ひとつは隣人の夫婦の心中と思われる死です。死の描かれ方が日常的であり、だからこそせつなく印象に残ります。ふたつめはアンジェルに恋焦がれる漁師の青年の姿です。この青年の純粋な愛の告白も日常的でありながら、ドラマチックです。そして3人の難民です。これは日常的な出来事ではありません。しかし、その3人の描き方、そして3人の面倒を見る大人たちの姿はとても日常的です。
日常の中に非日常があり、非日常の中に日常がある、そんな感覚の映画です。その展開は無理があるはずなのに、無理を感じさせません。それが私にはとても心地よいものとなっていました。